溺れていくマーメイド。
【私は…。呪われている…。】
郵便受けに入っていた手紙に書かれていた内容でー。
ソレを知った…。
心当たりはある。きっと文化祭の時だったと思う。
私は北ヨーロッパのクォーターだ。母方の母。つまりは私の祖母が北ヨーロッパで生まれ育った。と聞いている。幼い頃から子守唄の様に聞かされていた話があった。
マーメイドの話だ。
マーメイドとは、人魚の事を云う。
水域に棲み人と魚の特徴を併せ持ち、美しい声で歌を歌う、御伽噺に出てくる幻獣の事だ。上半身が人で下半身が魚類の事が多い。きっと今日に良く知られている外観のイメージ。つまりは伝説や物語に語られる人魚の多くは、マーメイド(若い女性の人魚)になっている。
それは、16世紀から17世紀頃のイングランド民話を起源とするイメージでありー。
それより古いケルトの伝承ではー。
人間とマーメイドの間にはー。
肉体的な外見上の違いは無かったとされている。
つまりは容姿に変わりは無かったと云う事。
祖母は私に良く話をしてくれた。
「おばあちゃんが産まれたデンマークにはね。マーメイドの像があるんだよ。ユキの声はとても美しいから、マーメイドの生まれ変わりかも知れないね…。」
私は祖母が好きだった。
「マーメイドの生まれ変わり。」
その言葉を信じて、私は歌を歌う歌手を夢見た。
私は歌う時にー。
祖母が良く見せてくれていた祖母の祖国の風景を思い浮かべている。とてもとても美しい風景。空の青をその水面に映す、澄み切った海。もしマーメイドが泳いでいたとしても違和感の無い、それこそ御伽噺に出てくる様な幻想的な風景。
文化祭で歌を歌う事になった。
高野くんに想いを込めて…。
LOVESONGを歌った…。
願いが届いたのか…。
歌い終わると…。
高野くんは声をかけてくれた。




