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勇者がいなくなったドマンド王国



と最初ある王国の玉座にて…



玉座に座る青年に向けて、騎士が膝をついていた。



「…勇者がいなくなっただと?」



「はい」



騎士の1人が、自分たちの王へ報告を行なっていた



「他パーティーメンバーから話を聞いたところ、数日前に突如別れを切り出されていなくなったと…」



「…あの役立たずがっ…」



チッと、悪態をつく若き王。



「いかがなさいますか?、すぐに捜索隊の準備でも…」



騎士の提案は至極当然のものだ。



勇者パーティーは、対モンスター用のスペシャリスト。



モンスター達に対して、有効となる手札を持っているかいないかで戦況も戦術も大きく変わってくる。



だからこそ、そのリーダーが居なくなったのだから探すのは当たり前なのだが…



「…いや、放っておけ。どうせ、モンスターどもを駆逐するぐらいしか役に立たん存在だからな」



「……はっ…」



まさかの、探すなという命令…



思わず呆気に取られるが何とか返事をした兵士。



「…はぁ…せっかく王となった俺が目をつけてやっていたと言うのに…これしきでいなくなるとは…情けないっ」



その言葉に怒りを覚え、握り拳を作る。



自分は立場上、勇者と関わりがあったため、たびたび言葉を交わすことがあったが…



良き女性だった。



優しく、強く、モンスター相手に引けを取らない強い意志が…



その身の危険を顧みず、沢山の命を救ってきた勇者パーティー…



彼女達の事を知っているものからすれば、誰も貶してよい相手ではないと感じているのに…



この王は情けないと言ったのか…この若造はッ…



湧き上がる怒りに飲み込まれそうになるが、必死に抑える。



ここで暴れたとしても何もならないからだ。



「…王よ、発言よろしいですかな?」



側に控えていた宰相が、王に話しかけた。



「ん、なんだ?」



「勇者がいないという状況は、他国からの印象が悪くなってしまいますのでかなりまずいかと…」



「…ならば捜索隊を出せと言うのか?、あんな役ただずが死んだところで問題はないだろう」



なら、魔王と戦い勝利して見せよと言いたくなる。



「その通りですが、役ただずであろうと勇者という肩書は大きいのです。ここは代理を立てるのがよろしいかと」



「…ふむ…代理か…」



代理など誰が務まるというのか…



確かに、勇者という存在がいないのは他国受けしないが…



本当の目的は…



「候補はおるのか?」



「はい。ちょうど先日、マージャル公爵の御子息が武闘大会で名をあげたばかり……貴族の身分も十分の物ですし、適任かと……」



「ふむ…なるほどな」



「問題としては、勇者パーティーに対して“これまでの運用の仕方”はできないですが……それ以上に、高貴な存在を勇者として扱えるのはかなり大きい……件の現勇者を罪人として扱い、追放したと周りに知らせてから、新たな勇者として御子息をあてがえばよいかと…ちょうど都合よく、魔王が討伐されたばかりですからね」



「…なるほど、今までやらせてきたことの罪を全てなすりつけるわけか…ならば他の不祥事も全て押し付けてしまおうか。それで、俺の元からさった不敬は無しにしてやるわっ、ハッハッハッハッ!」



酷く歪んだ男の笑い声が響く。



勇者パーティーは国宝レベルの貴重な存在なのに…



この王にとっては使い勝手の良い、替えのきく道具でしかないようだ。



心底反吐が出る…



しかも、この愚王は目先のことばかりで問題点に気がついていない。



勇者パーティーが出撃しなければならないような相手が出てきた場合、対抗出来る力を有していないことだ。



“これまでの運用”という言葉が気にはなるが…



「さっそく王命を出せっ!。多少強引なやり方でも問題はあるまいっ、なんせ罪人が叫んだところで痛くも痒くもないのだからな!」



高らかに愚王が叫ぶ。



…心底やりたくない事だが…



俺は行動に移すしかできず…



とにかく、その時は今ではないと割り切りながら行動に移した。



…必死に、汚名を着せる事を…心の中で謝りながら…


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