新たな生活は異世界で
『今年入学予定の諸君には私の世界、諸君たちにとっては異世界というのかね?
諸君たちの4年間を私の世界で過ごしてもらうのが、諸君たちの学生生活となる。』
自分を含めた50人の人物に対して最初にかけられた言葉がこれだ、訳がわかるはずもない。自分もおそらく似たような表情をしていると思うが、見渡した限り全員が困惑した感じだった。
その状況にもかかわらず、声の主は気にした様子もなく話を続ける。
『困惑しているのはわかるが話を続けさせてもらおう。
君たちは知っていると思うが、説明会に招待された時点でこの大学の合格通知と同じというものだ。あれに関しては全くその通りだと言わせてもらおう、私自身が気に入った者にしか説明会を行う気がないからな。
ついでに自己紹介をさせてもらおうか、私はこの大学の理事長というか最高責任者だな。』
訳が分からないが、噂が本当のことだということだけ理解できた。そしてこの巫山戯た人物がこの大学の理事長であるということも。
しかしながら疑問点も新たに浮かび上がる。この場所に来る際に乗っていた船にはもっと人数がいたはずだ。理事長自ら話をするなら、その全員が揃っている場所で説明なりなんなりすればいいと思う。
その疑問に対し答えるようにその人物は話を続ける。
『この場にいる者には少し詳しい話をするために他の者とは別れてもらった。それが最初の言葉につながるという訳だ、心して聞いてくれたまえ。
私はある世界の創造神に当たる存在でな、私の世界にはとある問題があったのだ。
簡単に言うと停滞、私の世界にいる人類はこの世界と比べ発展と崩壊を繰り返すスパンが短くてこれほどの文明が築けないまま滅んでいくのだよ。
私を含め神の位にある者たちで手を尽くしてみたが、ほんの少しの期間維持できるだけで変化をもたらす程の影響が見込めなかった。まだ諦めてはいないので干渉しているがな?
それで私が他の世界から何か知恵を探しだす、という名目でこの世界に来ている訳だ。
私はこの世界に来た際にこちらの世界の神々に接触してな、この国で学んでみてはと言われてこの大学という形式を選んでみた訳だ。
そして招いた人間から望んでいた知恵を得た際に嬉しくなってな、思わず自身の権能を振る舞った結果が今の現状につながるという訳ではあるがそれはどうでもよい。
私が選んだ知恵というのはステータスという概念だ、自身の情報を確認できるのだろう?その考えが我々の中にはなくてな、衝撃を受けたのだよ。
仲間を通じて人類にその能力を与えてみたらどうだ、発展速度は変わらないものの伝えてから今まで一度も滅びはしなかった。それが非常に嬉しくてな、こちらの神に感謝ということでこの大学を残すことにしたのだよ、元々は知恵を獲得した直後に廃棄する予定だったからな。
そうしたら今年になってこの日の本の神が以前から交渉していたことを受諾してくれてな。
内容は少数のこちらの世界の人間を私の世界に招きたいというものだったのだが、こちらの神は大学という形式を利用して4年の間だけ許可してくれることになったのだ。
そうして最初の言葉に繋がる訳だな、諸君らは私の世界へ4年間いくことになる。
勿論諸君には私自らある程度力を授けることとなるが、個人それぞれ受け入れることのできる力の容量は違うのでどのようなステータスになるかは私の世界に移った後で確認するといい。
君たちは質問したいことで頭の中がいっぱいだろう、しかし一つとして質問を受け入れる気はない。
早速ではあるが、私の世界に君たち全員を飛ばそうと思う。その際少しの間意識は飛ぶが問題ないよう努めるので安心してくれていい。
それでは、私の世界を楽しんでくれたまえ。
そうそう、この世界の4年は私の世界では40年ほどになるがこちらに戻る際は4年分の肉体成長状態で戻すので気にせずに行ってくるといい。』
最後の言葉に大声で文句を言いたかったが、その機会もなく意識は沈んでいくのであった。
次話投稿がかなり遅くなってしまってますが、地道にやってきていますので気長に見守っていただけたら幸いです。
感想も受け付けておりますので、どしどしよろしくお願いします。