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晴香の黄色い青春  作者: じゅん
9/10

卒業

それから数日後の学校帰り、晴香と真澄とじゅんは三人で帰宅していた。


『うんうん…だよねー。』

他愛のない話を晴香とじゅんがしていると、真澄は後ろに誰もいないことを確認してから、晴香のスカートの中に手を入れておむつを確認した。いうまでもないが、それは晴香が粗相をしてしまったのでとった行動である。


『またしちゃったわね。寮まで我慢できる?』

耳元でじゅんに聞こえないように言うと晴香が手をぎゅっと握って答える。


『そう。じゃあ、頑張るのよ。』

真澄の返答から察するに、イエスということのようだ。


すると、今度は晴香がじゅんのズボンを後ろから撫でる。同じようにじゅんに聞くと、じゅんは小さく頷いた。


それを見た真澄は不審に思うが、すぐに謎は解決したようでその後晴香を眺めるとクスクスと笑いだした。


『ねぇ、二人とも。今からこのままカラオケにでも行きましょ。これからの事も話し合わないといけないしね。』

後半は意味深な口調で続ける真澄。

まだ話していなかったが、実は三人は高校卒業後、シェアハウスをして大学生活を送る予定になっている。

真澄の言い回しからするにシェアハウスの事を言っているが、その含みのある口調は晴香とじゅんには全く別のことを連想させた。


『えー。一度帰ってからにしようよ〜』

晴香はお尻の不快感から反論する。


『ダメよ〜。早く行かないと高くなるもの。じゅんもそれでいいわよね?』

お尻を撫でながら言う真澄。


『え、ボ、ボクも今からでいいよ。』

不意にお尻を触られて驚いてイエスと答えてしまう。


『さ、そうと決まれば急ぐわよ〜!』


♢♦︎♢


カラオケルームに通された三人は、じゅん、晴香、真澄、の順で部屋に入る。

部屋に入ると小声で晴香が真澄に耳打ちをした。

『ねぇ…なんでおむつ替えてくれないの?』


『そうね。やっぱり隠し事は良くないからよ。』


『え…?…!?』


真澄が言い終えると晴香は理解できなかったようで首をかしげる。その間、約1秒。晴香が口を開いた瞬間だった。


真澄が晴香のスカートをめくってじゅんに中を見せる。

そこには、黄色く染まった可愛らしい柄のおむつがあった。そのおむつは中央に線が入っており、下の方は青色を示していたが、おへその方に行くにつれて黄色になっていた。いわゆる、お漏らしサインである。


『いやぁっ…。ま、真澄!?』

咄嗟に前を抑える晴香だが、その光景はしっかりとじゅんの目に収められていた後なので、すでになんの効果もない。


『晴香…ボクの事…。晴香だって同じだったじゃん。』

晴香のそれに目を奪われたじゅんは、次の瞬間裏切られたかのような気持ちになり、どうしていいのか自身ですら困惑していたのはいうまでもない。

しかし、じゅんが最も驚いたのは意外にも、同じおむつを使っていたということだった。


『え…その…ご、ごめんなさい…グスン。』

じゅんに対する罪悪感と、じゅんに対する優越感が心の中で音を立てて崩れ落ちた事で気持ちが溢れると、晴香は我慢できずに涙を浮かべていた。


『はるかちゃん…?いつからじゅんのおむつのこと知ってたのかしら?』

真澄は、子供がいたずらした時に叱る母親のような口調で晴香を問い詰める。


しかし、この時唯一晴香だけは頭にクエスチョンマークが浮かんだことだろう。

(真澄は、じゅんのおむつのことを知ってるの?)


『あら、はるかちゃん。あなたもしかして私がじゅんのおむつのことを知らないとでも思ってたのかしら?』

まるで晴香の心を見透かしているかのように先読みする真澄。これでは、本当に考えの浅い幼児の行動を読みきっている母親のようである。


『あのね、はるかちゃん。私はじゅんのおむつのお世話もしてるのよ。といっても、はるかちゃんよりも、すこしだけおねえちゃんだから自分でもできるのよ。本当に偉いわ。最後におむつ替えてあげたのは…遊園地の時のトイレだったかしら?あそこのトイレ、多目的トイレがあったから替えてあげられたのよ。』


事情を説明しきると、やっと晴香の脳は状況を把握した。

そして、晴香は先ほど心の中で崩れたものは完全になくなり新しく、じゅんに対する劣等感の塔が完成していた。

それは“毎回替えてもらっている晴香”よりも“自分でもできるじゅん”のほうが“おねえちゃん”ということからきていた。

もっとも、真澄はじゅんのことを妹として扱っているため、おねえちゃんと表現しているが実際は男の娘、つまり男であるが、それはあまり関係のないことである。


♢♦︎♢


それからというもの、晴香の生活はじゅんを妹扱いしていたときの反動でそれまでの生活よりさらに幼い子供扱いされることになっていた。

それは、じゅんを騙していたお仕置きという名目で真澄に強要されることになっていたが、卒業する頃にはすでに慣れてしまっていた事はすでに想像に難くないだろう。


♢♦︎♢


『卒業証書、授与!』

教頭がマイクに声を通して体育館全体に響かせると、卒業生は一切に起立をする。

その中には一人だけお尻を幾分膨らませて立っている卒業生がいた。

また、一人は他の卒業生に比べて優しい雰囲気をまとっておりとても大人びていた。その様子は同じ年齢を重ねた物よりも頼り甲斐があった。

さらにもう一人は心配そうに立っていた。そのお尻は膨らむことさえないが、まだ不安なのだろう。


『以上、○○○名。』

教頭がまた声を響かせると、卒業生は再び席に着く。


つまらない校長の話や、頭の堅そうな教頭の指導。厳しすぎる生活指導や、雑談の多すぎる教師。そんなものも今日で終わり。そう思うと、不思議と校長の話はつまらなくなくなり、感動を呼ぶ…なんてこともなくあっさりと卒業式を終えた三人はそれぞれの親へお礼をいい、すこし話をすると三人で新居へと足を進めた。


左から、じゅん、真澄、晴香の順で歩く三人。右の一つのお尻が卒業証書授与の時よりも膨らんでいた事は三人しか知らない。


大学へ行っても、三人は変わらず親友のままであるだろう。


『ね!卒業式前に卒業旅行行ったばっかりだけど…大学の入学旅行にも行こうよ!』

晴香が目を輝かせながらそう言う。


もちろん、二人は異論はなく可決された。


貯金は十分の三人は明後日から旅行へ行くそうだ。

卒業旅行ではあんなことがあったのにもかかわらず、依然として晴香は楽しそうだった。


♢♦︎♢


おっと、卒業旅行の話は番外編であったが筆者もたまには口が滑ってしまったようだ。口が滑ったついでと言ってはなんだが、もう読者の皆さんも気づいているだろうと思う。物語冒頭で現れていた黒い影は真澄のことである。そして、晴香の風呂上がりのコップが波を立てていたのは、真澄があるルートで手に入れた利尿剤である。

つまり、晴香のおねしょは仕組まれたものであったのだ。さらに言うならば、途中から真澄は薬を使うのをやめた。しかし、晴香の体はおねしょすることを覚えてしまった為、すでに薬の力は借りずとも自然としてしまう体になっていたのだった。世ではこれを“逆トレーニング”という。

晴香の目線からは全く気付きもしないところで既に運命が決められていたのであるが、それを知るのは真澄と、読者だけである。筆者の私が喋りすぎてしまったようだ。


♢♦︎♢


既に三人は新居にて眠りについたようだ。寝顔はこれからの大学生活へたいする希望に満ちていた。さらには、明後日からの旅行への期待に。


完成した形の三人は、明後日の旅行を最後に新たな物語へと歩みを進めることだろう。


しかし、筆者はこの旅行を最後に一度ペンを置くことにする。いや、ここで言うならば、指を離すという表現のほうが適切かもしれない。

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