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晴香の黄色い青春  作者: じゅん
8/10

公園で躓いて

遊園地に行った日の夜。晴香は疲労からすっかり深い眠りについていた。


『晴香…我慢しなくていいのよ。』

寝ている晴香の耳元で囁く。


『…。まだ…早かったかしら…。』

独り言をつぶやく。次の瞬間…


“しゅわぁぁぁぁぁぁぁ”


音は晴香の股のあたりから響く。


真澄は口元を不敵に歪めると 、その温もりを確認してから自分もベッドへ入った。


余談だが、今日も晴香の風呂上がりのコップは揺れていなかった。


♢♦︎♢


『おはよう。晴香。おねしょしてない?』

知っていながら聞く真澄。


『ん…してる。』

すっかり慣れてしまった晴香は羞恥心を感じることなく答えてしまう。慣れとは恐ろしいものである。


『じゃ、取り替えようね。』

淡々とおむつ交換を済ませる真澄にはもはや、最初以上の心の高揚はない。


そういったある意味平和な日々を何気なく消化していく日々が続く。しかし、何気なく消化されていく日々も、角度を変えれば劇的なストーリーが生まれるものであるが、それは読者の皆さんは知らないことである。

この日から一度も晴香の風呂上がりのコップが波を立てることはなかったが、晴香のおねしょが治ることはなかった。


♢♦︎♢


数日後。


『じゃあ、私行ってくるね。』

晴香は真澄にそういうと、じゅんとの約束の為最寄の公園へ急ぐ。

今日は、晴香とじゅんの二人でカラオケに行くのだという。真澄はなにやら用事があるとかで来れないらしい。


『気をつけてね。いってらっしゃい。』

エプロン姿で見送る様子はセリフなどを含めると、既に“お姉ちゃん”よりも、“ママ”の方がしっくりくるのだった。


公園へ着くと、まだじゅんは来ていなかった。

(急がなくても平気だったかな。)


約束の時間を5分過ぎる頃、じゅんのシルエットは公園へと近づいてきた。

やがて、近くまで来ると手を振りながら寄ってくる。慌てた様子で、顔からは申し訳なさが伝わってくる。


『ごめん。少し遅れちゃったよね、ボク。

実は…あっ。』

視界はぐるりと回転して焦点があわない。体の衝撃に備えて目は反射的に瞑る。


“ドテッ”

じゅんは、転んでいた。


『いたた…』

起き上がろうと、手に力を込めた時。


『え、じゅん…それって…。』

晴香はじゅんのスカート中を指差す。

転んだ拍子にめくれてしまって中身が丸見えであった。それを見た晴香は一瞬戸惑うが、晴香自身それを目にすることは珍しくないのですぐに冷静な頭に戻る。


『え…?あっ…!!』

状況を飲み込めていなかったじゅんが、晴香より数秒遅れて自覚するが、時既に遅し。

全ては晴香にばれてしまった。


そう、じゅんはなんと“おむつ”をしていたのであった。


♢♦︎♢


カラオケルームに入ると、曲も入れずに晴香が問い詰める。


『ねぇ、アレどういうことなの?』

極力優しく聞く晴香は悩んでいた。


『実は…高校生になった頃からトイレに間に合わなくなり始めて…。夏頃にはすごく悪化してたから…そのおむつ履くようになって…。でも、二年生の春くらいからは頑張って治そうとして二年生の冬くらいは結構治ってたの。でもやっぱり、三年生の春休みからまた悪化してきて…それで逆戻りしてまた履くようになってたの…。ごめんね、友達がこんなで。幻滅したでしょ…?』

やがて、観念したかのように喋り出すじゅん。一度しゃべると最後まで一気に喋り終えた。


『なるほどね…。でも、平気よ。私だってお…うんん。』

晴香は暫く考え込んだ。


『私は友達を見捨てたりしないよ。一緒に治す方法考えよ?』

後半は真澄の受け売りだが、そのまま引用している。


『でも〜秘密にして欲しかったら、私の妹になってよ。』

真澄から妹扱いされていた晴香はここぞとばかりに真澄の真似をし始めるが、自分の状況と重ね合わせると、じゅんにかけた言葉はそのまめ跳ね返って自分にも刺さることを痛感する。


『い、妹?…。秘密にしてくれるなら…いいよ』

突然の欲求があまりにも予想外であった為、秘密にしてくれるという条件にすがることにした。



はれて、じゅんは晴香に妹扱いされてしまうわけだがそれは三日天下であった。



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