XVIII
灰色の髪の青年はビルの屋上に静かに立っていた。
ギラギラと太陽が照りつけていたが、青年は汗1つかいていなかった。
傍に浮かぶ翼を生やした少年は、脇目も振らずに携帯ゲームを触っている。
「1人消えたな。」
「そうか。」
「薄い反応だな。」
「ゲームしながら話すやつに礼節を尽くす必要があるか?」
「んー…ないな。」
「わかってるならいい。」
少年は片時もゲーム機から目をそらさずに話し続ける。
青年はそんな少年をゴミを見るような目で見ていた。
「ルリアの様子はどうなっている?」
「さぁ?魔力を使ってる感じはしねぇから、まだ遊んでるんじゃないのか?」
「はぁ…。またかよ…。」
「まぁまぁ、良いじゃねぇの。そういう年頃なんだし。仕事だけこなせってのも無理だろ?」
「じゃあこの際聞いておくが、お前はそういう事をしないといられない年頃なのか?」
「いや、俺には年齢という概念はない。」
「そうかよ。」
「しっかしこの機械は面白いな。天界とは比べものにならねーよ。」
「俺もお前に会うまでこんなどこにでもいそうな間抜けなやつが天使だとは思わなかったよ。」
「今は褒め言葉として受け取っておいてやるよ。」
「言ってろ。」
少年は初めてゲームから顔を上げ、その幼い姿からは想像できないような鋭い視線を青年に向けた。
青年はその眼光を全く気にせずに街並みをぼんやりと眺めていた。
「そろそろ東洋人狩りといくか。」
青年は誰ともなくそう呟くと、目を閉じる。
一瞬のうちに2人の姿は嘘のように搔き消え、元からそこに何もなかったかのように世界は今日も流れ続けていた。
第2章はここまでとなります。
正直なところ大変でした。
今第3章頑張ってるところです。
ここまでお付き合いくださってありがとうございました。
ではまた。
感想書いてくれると嬉しいです…。




