ダンスなんてしたくない
思いつきから書き始めてしまいました。亀更新になるかと思います。楽しく読んでいただけたら幸いです。
「君、ダンス上手だね。」
目の前にいる高貴な方、ここエフェルナンド皇国第三皇子ルーデンス殿下を前にしたら言う言葉は一つしか無い。
「お褒めいただき、光栄です。」
淑女の礼と共に私は言葉を述べていた。はあ、次はこいつと踊らなくちゃいけないのか。
ただでさえダンスなんて踊りたくもないのに。
もう二度と会うことは無いだろうが、会いたくも無かった。
まあ、今後の話のネタの一つを仕込めたと喜んでおくべきか。
出来るだけ床を見ているのでチラッとしか見ていないが、淡い金色の短髪に翠色の瞳&キラキラした皇子スマイル、王族にだけ許された紫の徽章。貴族年鑑に記載されていた通りだわ。似顔絵より本物の方がずっと格好いいけど。
さっきの宰相家の令息ロベルト様といい、何で私がダンスを踊る組にこんな格上の方々が混ざっているんだか…それも格上オーラを隠して、いや封印して混ざっているとは人が悪い。まだ他にもいるのかも知れない。これ以上関わってはいけないと私の本能が告げている。最低限失礼で無い範囲で対応してすべてスルーしなければ!
あと3日で私は貴族でなくなるのだから。
貴族として得た知識は今後の役に立つかも知れないが、貴族の知り合いはこれからの生活に必要ないのだから。