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3話  雌伏の日々

やっと3話目です、ゆっくりですが休まずに書いていきます。

 誤字脱字等ありましたらお知らせください。

 感想ありましたらよろしくお願いします。

 良ければ評価などもお願いします。



 一行は山より降りて街道を進んでいく、

途中に待ち受ける一群を遠くに認める事となる。


祖父おじい様!」


その中に見知った顔を見つけ若君は声を上げる。


「良くぞ無事で!良かった・・・」


無事を喜び、祖父は孫を抱きしめるのであった。





「では城代はあくまでに襲われた若君の救出に向ったと言うのですか。」


祖父の城に迎えられて状況の報告を受けた若君一行はその後の状況を知る事となった。


「若君と御方様を討つ事あたわず、彼の者は保身のためそのように抗弁しておる由にて。」


彼らに相対して座っている眼光鋭い男が語る。


「本城は、御当主様方はいかが思われて居られますか?」


「御当主様以下重臣皆城代討つべしとなったのだがそうも言えない事情が出来てな。」


男の語るのは今朝方訪れた急使の話であった。


「隣国の守護殿が先の公方(将軍)様を庇護しておいでなのは知っておろう、

その守護殿から先の公方様を旗頭に都の偽公方を討つという檄文が届いたのだ、

もちろんその上洛軍に加わるようにとのことだ。」


「それは、一大事ですね。」


「もちろん我が家だけでなくこの国の守護以下すべての領主に送られておる。」


祖父が悔しそうに話す。


「そうなると城代とその一族を討つとなると。」


義母がつぶやくと対面の男は頷いて言葉を続ける。


「檄文には公方様の御教書の写しもついておった、その命に背き私戦などすれば、

討伐の対象になろう、上洛のための露払いにでもされかねん。」


「兄上・・・」 義母の斜め後ろに控える弟が呻く、対面の男は義母とその弟の兄で、

家を継ぐ長兄に当たる人物である。


「悔しいが和を結ぶしかあるまい、城代の一族はすべて結集すると我が家だけでは手に余る、

もちろん城代に同心する一族は多くはないが、戦とならばそこはどう転ぶかは判らぬでな。」


当主を支える後見を務める祖父は冷静に情勢の判断をしているようだ。


「まあ、あの一族の宗家の当主は我が家の御当主を支持しておるから和議の方は問題なかろう。」


「城代とその一族に関しては此方が探りを入れますので。」


長兄が祖父に話す。


「すまぬの。」


「なんの、妹と若君のためですからな。」


長兄はそう言って初めて笑みを浮かべるのであった。





あの深夜の道行きから一年が過ぎた、その間に城代との和議は進められ一応の決着がついた。

若君が元服するまで城代が城を預かる事になり、若君はそれまで本城の城下に住まう事になった。

無論本意ではないが妥協できる限界といった所である。


ここで若君は書を読んで教養を着け、体を鍛える日々を送っていた。

城下の領民達は若君に同情し哀れんでいるものと、城を追われた寄る辺のない身を笑い、

「城無し若殿」と渾名をつけるものと半々であった。



「よく城代がそれを飲みましたな。」


弟が義母あねに尋ねる。


「元服までまだ数年ありますからね、それまでに・・・と言う事でしょう。」


「なるほど、しつこいですな。」


「ですが此方も同じ事、その頃には御当主様も頼もしくなられておられましょう程に。」


「そのための時間稼ぎですか。」


「そうです、そして若君に武将として領主としての見識を高めてもらおうと思います。」


そう言いながら若君の部屋に向う、戸を開けると中で書見をしている若君が居た。


「どうですか?太平記は?」


義母はは上、やっと十二巻まで読みました。」


「そうですか、今から少し話があります、よろしいですか?」


そう言って二人は若君に相対して座り、話を始めるのであった。




「旅に、ですか?」

若君が問う。


「ええ、元服して分家当主となっては余り自由には動けないでしょうから、

今のうちにと思いまして。」


それを聞いた若君はぱあっと笑顔になった。


「では、海も見ることが出来ますか?」


「もちろんです、若君にはまずは海こそ見てもらおうと思っていますので。」


「はいっ!楽しみにしております。」


「旅支度を始めて準備が出来たら参りましょう、若君もそのように。」


そう言って席を立つ義母と弟であった。





若君の部屋から離れた部屋に戻って、弟は義母あねに尋ねる。


「ああは言いましたが本当は・・・」


「ええ、京への遠征軍が出立するのは次の月の好日となっていますね、

そうなればこの本城からも多くの者達が御当主に随身するでしょう、

そうなればここの守りが薄くなったと判断して城代が動きましょう。」


「刺客が来ると?」


「ええ、万が一に備え若君はここに居ない方が良いのです、

もちろん、これは兄上の策ですよ。」


「では?」


「城代は高い代償を払う事になりますね。」


「なるほど。」


「旅には貴方も随身するのですから、支度のほうもよろしく頼みますよ。」


「承知いたしました。」





ここまで読んでいただいて有難うございます。

誤字・脱字などありましたらお知らせください。

感想や評価などあれば今後の励みになります

よろしくお願いします。

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