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無能力者からの英雄物語  作者: 有瀬
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第4章 白い少女は直ぐそこに

俺はAGPを倒した後、直ぐにミチャエルのところに駆け寄る。幸い意識ははっきりしているようで、炎能力(プロミネンス)を用いた応用の治癒能力を使用しているようだった。

「ちょっとここ戦場じゃないでしょ…な、何があったの…?」

ミチャエルは辺りをキョロキョロと見回しながら倉木に尋ねた。彼女はどうやら倉木とロザンヌの死闘の中、傷の痛みによって気絶していたらしい。

「いやぁ…お前さんを担いで何とか建物に入ったらその辺一体を蹂躙してぶっ倒れちまった。にしてもミチャエル、お前重いぞ」

「言い残す言葉はそれだけか小僧」

火炎放射のように炎打ち出すのは洒落にならないです。

「ちょ、ストップストップ!それより傷大丈夫なのかよ、枝が刺さっていたよな炎の治癒能力で何とかなるのか?」

「ふ…まあLV3だしね…余裕よ余裕」

うわぁ…出たよ能力万能ですよドヤ顔。ただ、俺もロザンヌとの対決でとんでもないモノが出来るようになったしな

「LV…6…」

「え?真、もしかしてLV6になりたいとか仰られてるの?天と地がひっくり返るわね」

「うるせえ!少しは無能力者に夢見させろ!」

少し脳内から周囲に能力を展開させてるけど周りの地形から何まで手に取るようにわかる。やはり先生の言っていた『ストッパー』だろうか。唯、この能力、あまり口外するわけにはいかないな。研究機関に出汁されかねんし。その影響がミチャエルとかに及ぶ危険性もある。でもミチャエルならいっかなあ…しかしどうしたら…


「えーと夢から覚まさせていい?真くーん?Wake up♡ですよー♡」

「つくづくムカつく炎女だな、そうだ例の女の子は…ん?近くにいる…のか?」

「え?近くに!?いやなんでそんなこと…」

その時だった。

「ちょ、なに!?」

耳を劈くような轟音が突然、近くの高速道路の上から聞こえてきた。音は何度と響いておりまさか高速道路の柱さえこのままでは危ういといった感じだ

「取り敢えず向かうぞ!これはまたAGPの連中だ、数は数人。レベルもLV4辺りがゾロゾロいる!」

「いやだから真、何でわかるのよ!?数は音から特定出来るのはまだしも、能力のレベルの詳細までは看破出来ないでしょ!?」

「いいから!ここから階段伝えに高速道路に上がれる!」

高速道路には避難の際の階段が数百メートル毎に置かれており、そこからは緊急時しか使えないのだが『念動力(テレキネシス)』で「内部」を捻じ曲げておいたところだ。本来なら飛んで行きたいところであるが安全に飛行出来るかが危ういので使用は控えてる。階段の音をダンダンと響かせながら高速道路を見渡すとAGPが道路中央、幅20mもある巨大な道路に3人やはりいた。だが意識は此方に向いておらず認識はされていないようであった。彼らの視線は一つに集中されていた。白い長い髪の女の子。整った目鼻立ちと透き通るような肌、だが表情は怯えているような顔をしており目線はあちこちを見ている。どうやら逃げ場を探しているようだ。あの子だ、と真は思った。

「俺の鉄操守(メタル=ガード)には、何も効かぬし、逃げ場など、無い、大人しく、ここで、やられろ」

「………心内騒乱(メンタル=ジャミング)…を使用するです」

「絶体絶命!三人!さぁさぁ!殺されるなら僕の身体強化の内の『速』はちょっとツマラナイから、『絶速』なら?どう?」

「トラオ、嬲り殺しはやめてです。トラオの殺しは趣味が悪いです。一撃で……機密資料はわたしが殺害後、心内検索で記憶…するです」

「へいへいエミリーちゃん!んじゃガター、周囲囲んどいてねー『絶速』速すぎて僕も操りきれないところがあるから」

「了解、した」


「お、お姉ちゃん…た…すけ…て」

その時、AGPが着々と殺しの準備に入ってる中ポロリと一言発した。途切れそうな今にも消えてしまいそうな声で

「くっ…」

うちの妹と同じくらいの少女だろうか…AGPの一人が辛そうに顔を歪め、逸らした。

「真…!私が行くからここで待って……真!?」


「あ?機密資料何か盗んだやつに未来があるとでも?あるのは『死』のみだよん」

軽快な笑い声と共に身体をバネのように捻じ曲げるやうにして…トラオがかき消えた。ナイフはもう少女の目の前だ。ミチャエルは後悔した。どう考えても火柱を上げてもコンマ0.2秒レベルで足りない。


なら俺の能力であいつより速く動くだけだ。



真は音を完全に置き去りにした。ナイフを振りかざして少女の胸に突き刺さる5cm手前のところでトラオの懐に入り、拳をイメージして能力を『発現』させた。

「なっ!!こいつなん------!?」

トラオはそのまま平行に30m以上吹き飛んだ。手加減を加えていたので死ぬことは無いだろう。


俺は驚き、怯えて俺を見る『白い少女』に出来るだけ優しく話しかけた。

「大丈夫だよ、安心して、君を助けに来た。」

少女は追われていた怖さからだろうか顔がくしゃっとなってその場に崩れ落ちるように、啜り越えを出しながら泣き出した。

そして駆け寄ってきたミチャエルが隣から

「後でその『能力』についてキッチリ教えて貰いますからね!」

「へいへい、ではやりますか。」

「!?、貴方方、AGPに手を出すとは何の真似ですか、公務執行妨害罪及び傷害罪に当たるですよ」

「エミリー、俺が行く、手を出すな」

大男は木の幹より太い腕をちょうど中断構えをとる格好で能力を『発現』させた。

地面からドンッ!ドンッ!と次々に鉄の刃が打ち出され、此方に向かってくる。


「ちょ!鉄剣!?何て危ない物突き出すのよ!」

ミチャエルが炎の応用、『爆炎』を発現しようとする前に右腕で制し、右腕を前に突き出すこともなく、ただ押し潰すイメージを脳内に描くと

ザザンッ!と連続してコンクリートにヒビを入れながら叩き潰した。


「何だ、何が、起きた、貴様が、やったのか?」

言葉は淡々と零しているが表情は驚愕に染まっている。

「ガター、あの子の心をわたしの能力でも見たわせないです。何かしらの能力者であることは確かだけど未知数です。ここは素直に退いた方がいいですね」

「だが、これでは、ターゲットを、見逃す、ことに」

「未知数の敵がいる上に此方は一人、トラオが欠けているです。それにあの子の隣にいる女の子も相当の腕前と見たです」

俺としては能力の事も暴露ていないので退いて貰えるならば願ったり叶ったりであった。

「ただ、まあ隣のやつが許すかと考えると許さないだろうしな、ボコボコにされる前に俺の手でやられとけ」

今度は右腕を前に出すと『電雷』で縛る。途端にAGP二人の体にバチバチと電撃が流れ顔を苦痛に歪める。ん、あれ二つ目…

「むぅ、身体が、動かん…」

「こ、これは退避不可能ですね」

「あ、そうそう、ロザンヌっていうAGPのエアロブラスト使いも倒しといたから。多分交差点辺りに転がってるよ」

「!?」

ついでに脊髄に微量だが電撃を流し、気絶させる。

「ちょっと燃やさせなさいよ、女の子を虐めておいて縛って気絶だけ何て甘っちょろいわ」

「確かにそうだけど、テイクダウンだけでもいいよ、今はその少女の話を聞くことが先だ」

俺たちは少女を同時に辺りを探し出すと、コンクリートの影に隠れていた例の少女が現れた。同時に視線をぶつけるとビクッとなったように再びコンクリートの影に隠れてしまった。


ミチャエルが其処に駆けていき微笑みながら幾つか言葉を交わすとゆっくりと岩陰から出てきた

「あの助けてくれて…ありが…とう」

「ああ…大丈夫だった?にしてもAGPの連中から良く逃げられたな」

「その…私の能力、『身隠』だから…AGPのあの人には…破られちゃった…けど」

「『身隠』か…確か、全国にも20人ほどしかいない貴重な能力で心身を隠す他に精神に作用するものも隠せるとか…凄いな

褒められると表情に出やすいタイプなのだろうか。白い肌を赤く染めて、俯いて長い髪に顔を隠してしまった

隣から聞いていたミチャエルも

「凄いじゃない!私も光を操る能力の応用で屈折させて姿を消すやつは見たことがあるけど、精神作用の能力まで弾く『隠』の能力は見たことないな〜、それにとっても可愛いし」

「そ、そんな…!こと…ないです…!」

俯いていた彼女が今度は少し反論した。だがこれがミチャエルをまたキュンとさせたようで髪を撫ではじめた。こいつ危ないな。

「あ、そうだ!お嬢ちゃんは何てお名前なんですが?デュフフ!言えますか?この後お家くる?」

とんでもない声出すなよ。最後にサラッと犯罪者の戯言を言ってやがるし。

「名前…私の名前は…エレナです…」

恥じらったようなソプラノ声で彼女は名乗る。

「エ・レ・ナちゃ〜〜〜ん!?♡カワイイーー!!♡」

ダメだこいつ…そろそろ飛びかかろうとしてる。

「おい犯罪者予備軍、そのワキワキさせてる両手を抑えろ。完全にエレナがビビってるだろ」

「だ、誰が!犯罪者予備軍よ!ってエレナちゃん!?な、泣かないで〜!」

「ほら言わんこっちゃない…」

ミチャエルの犯罪者性を感じたのだろうか、目尻に涙を溜めてヒックヒックと嗚咽を漏らしはじめた。…通報しようかな

「と、取り敢えずこの真お兄ちゃんのお家に行きましょ!?お菓子とか一緒に食べよ!」

「必死だなおい。にしても待て何故俺の家何だ!妹居るし何が起こるかわからんぞ…」

妹は俺に関してかなり嫉妬する。以前、ミチャエルを招いた時なんて

『お兄ちゃん、ガールフレンド…?ふーんいいと思うよ!別に…!」何て言って一週間録に口を聞いてくれなかった。正直この期間は死ぬほどキツかったのでミチャエルを招く時は妹がいない時と決めていたのだった。この鉄則を今から破ろうとしてる上に10歳に満たないような少女を連れていく…?完全に消される。家庭内から消される。

「妹が結構嫉妬深いんだよ。ミチャエルの家にしようぜ」

エレナが妹とと聞くとピクっと反応したような気がしたが気のせいかな。

「ダメよ私の家、執事が彼方此方にいるし、中にはAGPに繋がってる人もいるから。」

「そうか…うーんならどうしようか-----」

「何方もダメよね…」

と、打開策を打ち出すために思考を頭の中で回してると


ミチャエルがエレナに何かボソボソと話しかけていた。すると

「ま、真お兄ちゃん…!お家お邪魔したい…です」

「!?」

「あら〜?エレナちゃんは真お兄ちゃんのお家がいいみたいよー」

「くっ!何か吹き込んだな?悪魔だなお前は。というかこんな申し出Yesというしか無いだろこんな純真な目で見つめられて!」

ロリコンじゃないけどな!断れる筈がない!

「ありが…とう!」

屈託の無い笑顔でエレナが笑った。彼女が初めて見せた笑顔だった。いやあ…抗えないわこれは。

久々の投稿です。


ちょっとばかし修正入れてました。


何というか真くんは変な目をお持ちのようで

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