第2章 白い女の子
登下校の道を疾風の如く翔る(俺)とミチャエルはやっとのことで定常高校に着いた。(俺)というのは殆ど引きずられているからです。校門は既にAGPに封鎖されていたようなので裏門から侵入することに。
本来ターミナルバスとか高速機関で向かった方が12分くらいで着くので速いのだけれど、近辺には無かったので走りに。実技バリバリの体育会系のミチャエルさんに常識は通用しないようです。15分で裏門につきやがった。
「はぁ・・はぁ・・死ぬ・・」
「くたばってないで立ちなさいよ。Lv3とかLv0とか走力には関係ないでしょ?」
「大ありだ!どうせ火炎能力の熱量を足下に集中させて運動力に変換とかいうアスファルトのコンクリートが熱されてダメになることを考えないセコイやり方で走力を上げてたんだろ!」
「な、そんなことしてないわよ!ちょっと速くしなきゃと思ったら自然にそうなったの!」
「じゃあLv0とかLv3とか出すなよ!落ち込む!」
超能力。2015年にエドワード・フランデというアメリカの物理学者と高橋学という日本の数学者らを中心として行われた研究プロジェクトがあった「世界能力開発」。通称『WWAI』。能力はLv0からLv6で構成されており、そこから能力の程度を分類する。だがLv5といった化け物レベルの能力者は今だに12人しかいない。LV6などというのは本当に一論に過ぎないもので存在するはずがないとさえ言われている。そしてLV5のその一人が『WWAI』で生まれた初めての高能力者、レベルLv5の念動力。えーと…確か名前は…
「ちょっと真!さっさと入るわよ!」
「へいへい」俺らが来て裏門に誰も居なかったのも既にAGPの人達によって安全が取られていたために事件現場に安全確認のためにやってきたのだ。
10分後、ミチャエルの後輩の安全を確認した俺たちは裏門から出て元の通学路に戻っていた。ミチャエルから聞いたAGPの印象が後輩達曰く
「AGPのイケメン隊員かっこいいっ!!キャーーーー!」だそうだ。
いつの時代もイケメンはクソだな。目的はまだわからないけど目立った被害もなく。後輩も無事だったようだ。
「にしてもやっぱりAGPって凄いなぁ、あっという間に安全確保しやがった」
「ああそうそう。そのコトなんだけどね、どうやら犯人をとり逃したらしいのよ。」
「本当かよ!?AGPがとり逃した?」
「それに…負傷者が出たようね。ってそこまで驚くことなの?」
「当たり前だ!子供のころから彼らの訓練場に見学に行ってたけどあれは人間ですか?こいつら?ってレベルだぞ」
AGPはLV3から入れる治安維持機関。東京都からも途轍もない額の援助を受けてると聞く。LV5も二人所属してる。あの時行ったのは支部だったけど。
「ふーんそこまで凄いんだ。前に見学した時は何だこの程度か…みたいにちょっと落胆してたんだけどなぁ」
「なあ、お前の化物性はわかったからとり逃した犯人ってどんな奴だったとか何か無いのか?」
AGPと真っ向から逃げ切る犯人。きっと俺じゃなくても気になる。
「今発見したようで追ってるらしいのよ。でもちょっと信じられないのよね…」
何かモジモジとハッキリ言わないミチャエル。普段は真っ直ぐでハキハキと物をいう奴なんだが…
「どうした?も、もしかして知り合いとかか?」
あり得るこいつの家庭もしくは親戚ならあり得る。こいつの家族に限ってはAGP数人なら簡単に捻り潰しそう。ミチャエルお父さんはLv4と聞きました。はい。
「な、な訳ないでしょ!そ、そそ、そんなことだったら私のお父さんにぶっ飛ばされるわよ!」
ガクブルされておられる。Lv4お父さん何なのマジで
「じゃあ何なんだそい…」
と、言いかけた途中にミチャエルが時代遅れな電子端末の画面を俺に見せてきたそこに写ってたのは…
「女の子?」
画面に写っていたのは本当に10歳もしくはそれ以下の背丈しかない少女だった。特に印象的なのが髪。白い髪。真っ白で長さが腰よりさらに下にある。足にまでついてしまいそうなくらい。服も白のワンピースを着ており街中出会ったら確実に目が留まるような姿かたちだ。まるでこの世のものではないくらい。
「そ、女の子。この女の子を事件の容疑者ってことで追いかけてるそうよ。大勢の大人で。容疑者っていえど女の子なのに…」
最近聞いたことだけど荒波区にあるAGPにはネットでだが黒い噂を聞いたことがあった。
『AGP側に多大なる被害が出た場合、生死を問わないと。』
負傷者は5、6人。正直、このままだったら結果は目に見えてる
「今どこにいるかわかるか?」
「え?どうするつもりよ?まさかこれから向かうってわけじゃ…」
「向かう」
「アホか!あんた一人が行ったところでLv0の能力なんか役に立たないでしょ!」
「それでも向かう」
何か出来ることはあるはずなんだ。この非力な力でも何か出来るはずなんだ。一人の少女に向けて暴力が振るわれるのが良いはずが無い、向かって止める。
「ほんっっと!!アホね!!分かったわ!じゃあ私も行く!」
まあここは頼ろう。
「何だか惚れちまいそうです」
ノリで言ったぞ俺は。
「な、ななな、何言ってんのよ!さ、さっさと向かうわよ!」
「おう!」
俺たちはまた走り出した。
一日一話投稿!を目指して頑張っていますが中々に楽しいところがあってこの先どうしようかなと妄想が止まりません。
超能力にも徐々に触れ始めました。真くんはThe 正義の味方ともいうべきキャラ設定にしてみました。ヒロインらしさが出てきたミチャエルにも少し焦点を置いてくれると幸いです。