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チャック的~新説西遊記~

 あるところに孫悟空という力の強い猿がいましたが、あまりにも悪戯ばかりするので、怒ったお釈迦様が岩の下に封印してしまいました。

 ある日、500年の間岩の下にいた悟空の前を三蔵法師という偉いお坊さんが通りかかります。


悟空「殿下、助けてください」


三蔵「ア、アレン!?…どうしたんだ、その岩重くないのか?」


悟空「岩ですから、それなりには重いです。骨が数本砕けてしまいましたし」


三蔵「………み、身が出ているように見えるんだか…」


悟空「ああ、ソレは気にしないでください。

   ……釈迦とやらに神の教えを説いていたら、この岩の下に閉じ込められたのです。

   殿下、どうか私を助けてくださいませんか?」


三蔵「あ、ああ、分かった!!………どうやれば良いんだ?私では持ち上げられないと思うが…」


悟空「適当に“お経”という呪文を唱えれば良いのです」


三蔵「“お経”?何だ、それは?」


悟空「東の国の魔法ですよ」


三蔵「魔法か……。あんまり得意じゃないんだが………仕方ない、頑張ってみる!」


悟空「頑張ってください。殿下なら、きっとできます」


三蔵「ありがとう!…“チンカラ、ホイッ!!”」


 なんということでしょう!

 三蔵法師が色々ギリギリなお経(?)を唱えると、悟空の上に乗っていた岩が……。


悟空「………何も起きませんね」


三蔵「な、なぜだ!?……くっ、なら、このとっておきの魔法で!

   “オープン・セサミッ!!”」


 岩が………。


悟空「仕方ありません。…………………よっと。

   ああ、ありがとうございます、殿下。あなたのおかげで助かりました」


 岩が持ち上がり、悟空の上からなくなりました。

 さすが、三蔵法師ですね!


三蔵「…っ!?わ、私の見せ場がっ!!」


悟空「何を仰っているんですか?……これは殿下がなさったことですよ」


三蔵「………う、うん。そうだな、ありがとう…」


悟空「では、私は釈迦に話がありますので……」


三蔵「ちょ、ちょっと待ってくれ!私と一緒に世界平和のために世直しの旅をしてくれっ!!」


悟空「そんな旅などせずとも、この国は平和ですよ」


三蔵「……“女神”殿と“神獣”殿も待っているぞ!………たぶん」


悟空「殿下、何をしているのです!!早く行きますよ!!!」


 助けてくれた三蔵法師に感謝した悟空は、三蔵法師と共に天竺へ行くことにしました。




 旅をしていると、“豚の妖怪に娘を攫われてしまう”と嘆く夫妻に会いました。

 2人はその妖怪を退治することにします。


三蔵「よしっ、頑張るぞ!!」


娘「よろしくお願いします」


三蔵「スズメ、私達に任せておくと良い」


悟空「……それにしても、善良な女性を攫うとは許しがたい妖怪ですね」


三蔵「ああ、きっと凶悪な妖怪に違いないな。懲らしめてやらなければ!」


娘「法師様……本っ当に頑張ってくださいね、イロイロと」


三蔵「…?ああ、任せてくれ!」



 悟空は娘に化けて、妖怪を待ちます。

 そして、夜になると豚の妖怪・猪八戒がやって来ま…。


悟空「ああああっ!!!神獣様っ!!!!!このようなところでお会いできるとは!!」


八戒「嫌ーっ!!変態がいるなんて聞いてないよぉー!」


 やって来ました。

 しかし、さすが悟空。早くも八戒は負けてしまったようです。


悟空「ああ!お待ちください、神獣様っ!!」


八戒「ううっ、王子と相棒とのほのぼの旅行って言われたのに……っ!騙された!!」


三蔵「な、泣かないでくれ。大丈夫だ、神獣殿のことは私が守ろう!!」


八戒「おう…三蔵!ありがとう!!」


悟空「殿下!神獣様を誑かすとは、何事ですか!!」


三蔵「誑かしてなどいないぞ!?え、冤罪だ!!」


悟空「ハッ、大罪を犯した者ほどそう言うのです!」


三蔵「ええっ!?………アレン、私は本当に罪など犯してはいない。

   さあ、そんな話はもう良いじゃないか。神獣殿も一緒に旅を続けよう」


八戒「三蔵……。スルースキルを覚えるなんて、さすがだね!

   キミが守ってくれるなら、ボクも一緒に行くよ!」


三蔵「はははっ!私だって、日々成長しているんだ!!」


悟空「殿下……、罪は償うべきだと思いませんか?……神獣様への不敬、このアレンが許しませんよ!」


 八戒も仲間に加わり、賑やかな旅になりそうです。




 3人は旅の途中で川に通りかかりました。

 その川には河童の妖怪がいて、人々に悪さをしていました。


悟浄「ここの川を通りたくば、有り金全部置いて行ってください」


八戒「え、山賊!?…って、相棒!こんなところで何してるのさ!!」


悟浄「バイトです。ふぅ、自分の食い扶持を稼ぐのも大変ですね」


八戒「何そのバイト!?

   ……あのね、三蔵がきっとお金くれるからさ…一緒に旅に行こう?」


三蔵「ええっ!?私が払うのか?………まあ、資金は潤沢だから構わないが…」


悟浄「行きます」


八戒「即答!?……まあ、いいや。さあ、皆で天竺を目指そう!!」


三蔵「ん?“女神”殿がいるのに、アレンはどうしたんだ?」


八戒「“ボクに仕えさせてあげるから、静かにしてて”って言ったら、さっきからずっと黙ってるよ?」


三蔵「おおっ、その手があったかっ!!さすがだ、神獣殿!!!」


八戒「でも、何か大事なモノがなくなった気がする……」


 こうして、三蔵法師と愉快な仲間たちは旅立ちました。

 彼らの旅は、まだ始まったばかりです。




 そんな彼らの前に悪い2人の妖怪が立ち塞がりました。


金閣「さあ、三蔵一行。私、マリアンナが皆様を地獄へと誘って差し上げましょう」


八戒「キミが言うとシャレにならないよっ!!帰って!!!」


銀閣「おい、金色。ハルカ以外は全員地獄へ送ってやれ。

   ハルカ、バイトは終わったのか?」


悟浄「ああ、まだバイト中なんで話し掛けないでください」


銀閣「……………いつ、終わる?」


悟浄「この話が終わるまでですね」


銀閣「………………………」


金閣「まあ、情けないですわ、銀閣。三蔵一行を始末すれば、話は終わりますわよ?」


銀閣「黙れ、金色。ハルカに危害を加える気なら消すぞ」


金閣「なら、悟浄様は家に持って帰れば良いのでは?」


銀閣「……………ハルカはバイト中だ…」


金閣「ふぅ、仕方ありません。あなたはそこで見ていなさい。私が、話を見事終わらせてみせましょう!」


悟空「マリアンナ殿、少しお話が…」


三蔵「マリー!もう悪いことはやめるんだ!!」


八戒「無理だよ、前から悪かったもん」


金閣「ふふっ、この“ひょうたん”であなた方の魂を吸い取ってあげましょう。

   ………あっ!?」


銀閣「ハルカにそんなモノを向けるな」


金閣「何をするのです。銀閣、裏切る気ですか?」


銀閣「ハッ、俺は初めからハルカだけの味方だ。おかしな妄言を吐くな、この年増が」


金閣「役に立たない男は、奥方のお尻にでも敷かれていたらどうですか?

   しかし、“ひょうたん”がなくなってしまったら、私に勝ち目はありませんね。

   私、か弱い乙女ですから」


八戒「ホントにおかしな妄言だ!!キミのどこが“か弱い”のさ!」


金閣「あら?何か文句でもお有りですか?…ユニ☆スター様」


八戒「………ヒ、ヒドイ…」


悟空「神獣様の仇は、このアレンが討ちましょう!」


銀閣「金色、帰るぞ。話が終わらん」


金閣「もう少し活躍したかったんですが……残念です」


 悟空の活躍により金閣・銀閣は倒されてしまいました。




 三蔵法師達は燃え盛る火の山に到着しました。

 どうやら、山付近の住民達が困っているようです。


三蔵「な、何だ、あれはっ!?」


八戒「ヤバイよっ!!ボク、燃えちゃう!!!」


悟空「なっ!?神獣様と女神様のことは私がお守りします!!」


三蔵「そうだな、神獣殿は私達の後ろに!」


八戒「三蔵……っ!ありがとう!!」


悟空「殿下!神獣様をたぶ…」


八戒「変態、約束したでしょ!」


悟空「……………」


三蔵「神獣殿、強くなったな…」


八戒「この旅がボクを強くしてくれたんだ!」


悟浄「そんな茶番は良いので、早く話を進めてください」


八戒「あ、そ、そうだね。…変態、団扇盗って来て」


悟空「お任せください!」


 悟空は住民達を救うために、羅刹女から芭蕉扇を借りることにしました。




 筋斗雲に乗り、悟空は羅刹女のもとに来ました。


悟空「芭蕉扇を渡して頂けますか?」


羅刹女「ええ、構いませんよ。………スズメがお世話になりましたし」


悟空「ありがとうございます」


羅刹女「いえ。三蔵に“さっさと旅を終わらせろ”と伝えてください」


悟空「分かりました」


 羅刹女はなかなか芭蕉扇を渡そうとしませんでしたが、死闘の末に悟空は芭蕉扇を手に入れました。

 さあ、山火事を止めなくては!




 三蔵法師達のもとに戻って来た悟空は、早速持っていた芭蕉扇を使って山火事を止めます。


悟空「煽げば、むしろ燃え上がるのでは?」


悟浄「そうですね。酸素を送り込むことになるので、フツーは爆発的に燃え上がることになるんじゃないですか?」


八戒「……きっと、すごい団扇だから火を消せるんだよ。マジックアイテムってやつじゃない?」


三蔵「そ、そうだぞ!この“取扱い説明書”とやらにも、使っても大丈夫だと書いてある!!」


八戒「それ、台本じゃないの?」


悟空「あ、殿下。宰相殿から伝言です。…“さっさと旅を終わらせろ”と」


三蔵「………ギルが羅刹女だったのか…」


悟浄「そんな感じの人ですよ、宰相サマって。

   さあ、次に行きましょう」


 火事を止め、住民達に感謝されつつ、三蔵法師達は先を急ぎます。

 天竺まで、あと少し!




 旅を続ける三蔵法師達の前に、凶悪な妖怪・牛魔王が現れました。


牛魔王「ん?……お前らが三蔵一行か?」


悟空「…………っ!?」


悟浄「ああ、負けてしまいました」


八戒「大丈夫だよ!話せば分かる人だから!!」


三蔵「レイ!もう悪いことはやめるんだ!!」


牛魔王「おいおい、俺は何もしてねえぞ?」


三蔵「な、何っ!?…では、私達は誰を退治したら良いんだ?」


牛魔王「いや、別に誰も退治しなくて良いだろ。…お前らが目指してるのは天竺じゃなかったのか?」


八戒「そうなんだけど、三蔵はよく分かってないみたい。“世直しの旅”とか言ってたし」


牛魔王「………三蔵、自分がどこに行くかくらい把握しておけよ」


三蔵「ええっ!?わ、私は、世直しの旅だと思っていたのだが……」


悟浄「あの、私はもう帰っても良いですか?

   さっきから、ジークがメールで“大丈夫か?早く帰って来い、待っている”って鬱陶しいんですが」


八戒「悟浄……それ、惚気っぽいよ」


牛魔王「さらっと言えるとこがすげえな。さすが夫婦」


三蔵「完全な惚気だったな。………少し、独り身には辛いが…」


悟浄「愛されてますから」


牛魔王「ま、幸せそうで何よりだ」


八戒「…………団長が報われてて良かった」


三蔵「なら、女神殿のためにも早く天竺とやらに行こう」


悟空「待ってくださいっ!!女神様をあの悪魔のもとに…」


牛魔王「アレン」


悟空「…………」


牛魔王「三蔵、コレは俺が引き取ろう。もうすぐ天竺に着くだろうし、いらないよな?」


三蔵「ええっ!?…ア、アレンも大切な仲間なんだっ!置いて行く訳には……」


八戒「良いよ!!喜んで、置いてくから!」


 牛魔王を倒し、三蔵法師達は天竺へと向かいました。

 そうして、三蔵達は天竺でお釈迦様からありがたいお経を貰い、それぞれの居場所に帰りましたとさ。



 めでたし、めでたし。




 キャストロール


三蔵法師:レオンハルト

孫悟空:アレン

猪八戒:着ぐるみ

沙悟浄:ハルカ

娘:スズメ

金閣:マリアンナ

銀閣:ジークフリート

羅刹女:ギルバート

牛魔王:レイナルド


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