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地獄転生  作者: 睦月 始
第壱章 Go To Hell
2/3

おっと。ついにお迎えが来たかな

連続投稿です。

 翌朝。


 といっても俺が身体を置き去りにしたのは深夜2時ぐらいだったから大して時間は経ってないけど…。


 魂って、いや霊体って夜型なのかな、日が出てからといい異常な程の睡魔に俺は今襲われている。飛びすぎたせいかな、魂って疲れるものなのか?

まぁいいや。

とりあえず……


 眠い‥、眠すぎる。

「うん。寝よう。」

 ただ、さすがに空中で寝るのもなんだか気恥ずかしいので木陰で寝るか。



 3時間後



「‥‥っと、‥‥‥さい」

 ん?誰か怒鳴ってる?

「こら!起きなさい!」

 あぁなんか懐かしいなぁ怒鳴られて起こされるのって‥

「いいかげんに‥‥目を覚まさんかあああぁぁぁぁ!!」


 そろそろ頃合いかな。

「ふわぁ~あ。ん~よく寝た。く~久しぶりに熟睡した~。あっ、お早うございます?」

俺はわざとらしく目をこすりながら両腕を挙げて伸びをし、欠伸をした。


「お早くないわあああぁぁぁぁ!!!そんなことよりあんた、どうして死んでるのにまだこの世界にとどまってるの!」

よく叫ぶなぁ。この目の前の少女らしき‥‥人?


「う~ん?どうしてと言われても俺はあの世への道順なんて知らないし、お迎えを待っていたわけだし。」すると少女は。


「あんっったねぇ死んだら皆が皆迎えが来ると思ってるなんて甘いこと考えてるんじゃないわよ!」


 へぇ、そうなんだ。

「じゃあ、どういった場合に迎えが来んの?」小首を傾げて質問したら


「そっそりゃあ、普通寿命で死んだりとか病気で死んだりとか事故で死んだりとか。そういう人達に迎えが来るのよ!!あんたみたいな自殺者に迎えが来るわけないでしょ!」

自殺者って酷い言いようだな。


「失礼な。俺は自殺ではなく、れっきとした事故死だぞ(間抜けな事故死だけど)」胸を張って答えてやった。


「そんなこと堂々と言われても‥‥っていうか、情報では、あんたは自殺ということになっているんだけど。高所落下と自殺ってあんまり変わらないじゃない!!」


「いやいや、そんなことないと思うぞ。自殺は最初から死ぬことを前提に飛び降りているが、高所落下は例えどんな落ち方でも、事故は事故だ。それより、どっから情報が来るんだ?」ドヤ顔で諭しつつ頭に疑問符を浮かべる。


「し、死人に諭された‥‥もうだめだ。生きていく自信がない死のう‥‥。」少女は俯いた。


「何もそこまで落ち込まなくていいだろう。そんなことより、あんた‥‥誰?」

「あ、あたしは地獄省現世監視課転生局局員の鬼咲(キサ)。あんたの名前は?」


 『地獄省』って初めて聞いたよ。そんな組織がこの世に‥‥ああなるほど。地獄っていうくらいだからあの世にあるのか‥‥。


「ねぇ。無視しないでよ。名前は?」

 ああそうだった。俺の名前は

「俺の名前は十河(ソゴウ)志紀(シキ)。よろしく。」と、握手を促してみる。


「ん。よろしく。ああでも死人と握手したら穢れが移るって言われてるから、握手はしないわ。」


 穢れって‥‥‥酷いなぁ。いつの時代の話だよ。平安時代だったっけか?、まあいいや。

「じゃあ、握手がだめなら‥‥頭を撫でるとか?」


「頭を撫でる!?どう考えたらそうなるのよ!!」

「そりゃあ、鬼咲の髪綺麗で触り心地が良さそうだったから」

彼女の髪は紅みがかった黒色で腰の辺りまで流れ、妖艶さを醸しだし、彼女の真珠の様に白い肌と絶妙にマッチしている。


「な、ななな、何!?か、髪綺麗って。て、てていうかいきなり呼び捨てはないでしょ!」

何この狼狽えぶりなんか楽しい。


「いや~鬼咲さんってなんか、さ行が続いて噛みそうだったから」


「だったらほかの呼び方ないの!?」


う~ん。

 

「じゃあ『キーサン』ってのは?」


「大して変わってないじゃない!?」


「じゃあ『ヒステリック鬼咲』ってのは?」


「誰がヒステリックなのよ!?だったらもう、呼び捨てでいいわよ。次会う時までに考えときなさいよ!?」


 呼び方なんてどうでもいいじゃん。というか、次会う時って‥‥。


「なぁ、鬼咲。俺に次ってあんの?多分もう会う機会ないと思うんだけど。」

「次?それはあんたの意思次第だけど。」

「意思次第?何に対しての?」

「それは、転生に決まってるじゃない。そのために、あたしがここに遣わされたのよ。」


転生か‥‥‥。


「次を生きるには転生しないといけないのか?」

「言ったでしょ。転生はあんたの意思で、どうにでもなるって。次を生きたいなら転生することを望めばいいし、次を生きる意思がないのなら転生しなくてもいいわ。まぁ、後者を選ぶなら、あたしも仕事が減って楽なんだけど‥‥‥。」


「じゃあ、『次を生きたい。だけど、転生はしない』っていうのも可能なのか?」


「それは、要するにこの世界に未練があるってこと?」

 「いや、未練があるわけでは無いんだけどさ、そういう選択肢もあるのかなって、思っただけで」


「一応可能ではあるけど。あんたの場合は、魂を入れる器が無いからその選択肢は、まず無理ね。」


「じゃあさ。鬼咲みたいにあっちの世界で、組織に属したりして、時々こっちの世界の様子を見に来る。っていうのは?」


「できないことはないわ」


 マジか、やった。と一瞬喜ぶも


「だけど、絶対に成仏することもできなくなるし、転生することもできなくなるのよ。あんたの魂がぼろぼろになって朽ち果てて消えるまで、ずっとこの世界に縛られるのよ。それでもいいの?」


「別に構わないけど?」


「えっ!?即答!?」


「俺さ、生きていた頃は、人の命を救う仕事がしたかったんだ。だけど、俺死んじゃったしさ。だったら今度は人の魂を救いたいって思ったんだ。だから自分の魂が朽ち果てるまで魂を救うことができるのなら、本望だよ。」


「わかったわ。あんたが覚悟しているってこと。あたしについて来なさい。あたしの上司に紹介してあげる。」


「上司って閻魔大王とかか?」


「へっ?そうだけど?」


「マジかよ!?」


冗談のつもりだったのに。


「そうそう、閻魔大王は結構変わった性格でね愛称で呼んだら喜ぶわよ。」


「閻魔大王を愛称で呼ぶ度胸なんてねぇよ。」


「大丈夫、大丈夫。すぐに慣れるから。」


 

「ついでに聞くけど、鬼咲は何て呼んでんだ?」


「あたし?あたしはね、閻さんって呼んでるけど。」


そうですか‥‥。


「じゃあ、その閻さんに紹介してくれる件についてなんだけど。俺は、何をしたらいい?」


「何もしなくていいわよ。それにもう紹介は終わってるし。」


「えっ‥‥?」


「さっき、使い魔送っといたから。それに紹介しなくても、多分あんたのことは転生局の皆が知っていると思う。」


「何で!?見ず知らずの誰かに俺の個人情報流出されてんの!?」


「何でって、あんたみたいな自殺願望者には転生局からマークされてるのよ。」


「俺は自殺願望者じゃねぇよ!!」


「こんな夜中に怒鳴らないでよ。うるさいじゃない。」


「ああ。悪りいな・・・・ってちげぇよ!?」


「なんなのよ。夜な夜な建物の屋上に上がっては下を見下ろしているような奴に怒鳴られる筋合い無いんだけど。」


背筋が凍りつくような冷たい目で睨まれた。そして新しい扉を開きかけた。


「くっ。ごめんなさい。」


「素直でよろしい。」


鬼咲は右手で握りこぶしを作り夜空高く上げて・・・。

「さてっと、あたしの使い魔も戻ってきたことだし、それじゃあ、今から地獄に行きましょう~~~。」


「テンション高!?」


「そりゃあ、高くもなるわよ。やっと帰れるんだから。やれやれ残業代出るかしら。それより、今から地獄に行くわけだから喰われないように気をつけなさいよ。」


くわれる?‥‥喰われる?


「何‥‥に‥‥‥?」


「ふふふ。まぁ色々よ。」


「えっ!そんな色っぽいニヤついた顔で言われたら、めちゃくちゃ照れる‥‥じゃなくて、めちゃくちゃ怖いんですけど‥‥‥‥。」


「心配しなくても、なんとかなるわよ」


「‥‥え~~~!?」




ありがとうございました。

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