こんな夜更けに
掲載日:2026/10/23
みんな、寂しがりやなのよ
独身貴族で霊感のある叔母に幽霊が見たいと相談した時、叔母は淹れたばかりの紅茶を見つめながら呟いた。
私が家に訪ねるといつも紅茶とその時焼いた焼き菓子を振る舞ってくれる。
どういうこと?と僕は焼きたてのスコーンを食べながら尋ねる。
もしあなたがある日急に誰からも気づかれなくて、声をかけても、触れようとしても、誰にも分かってもらえなかったら寂しいでしょ?
だからあの人たちはみんな自分を意識させようとするの。
それがちょっといきすぎちゃう人もいるから困ったもんよね。
言い終えて紅茶を啜る叔母。
叔母さんは見えてるんでしょ?助けてあげないの?
僕の言葉に悲しそうに目を伏せる。
だって私は何もしてあげれないから。
期待させちゃうと何も出来なかった時の絶望がしんどいでしょ?
だから私は見えても見えないふりをしているの。
もしあなたが見えるようになったら手の届く範囲で助けてあげてね。
叔母がなくなったのは僕が25の歳だった。
会社帰りの交通事故で即◯だったそう。
そして今、叔母は僕の部屋にいる。
潰れた顔に骨や臓器が飛び出て変形した身体でずっと部屋の隅に座って僕を見つめている。
叔母さん、ごめんなさい。僕は何も出来ません。
今日も僕は彼女の視線を無視することに必死なのだ。




