第1話|62歳、職業訓練校で“再スタート欲”が芽生えた日
ブラック企業を辞めて、3年が過ぎていた。
介護と編み物で、世界を小さく畳みながら生きていた。
介護が一区切りし、
「やっと自由だ〜♡」
と湯たんぽを抱えて冬眠する予定だった私。
……のはずなのに、
何もしない一日が、思ったよりずっと長く感じた。
気づけば私は、ハローワークの自動ドアの前に立っていた。
これぞ、人生のバグ。
「え? 私、働きたいの?」
心のどこかで、ぽつっと芽が出たんです。
“社会復帰してみたいな……”と。
このアラカンの小さな好奇心が、
このあと人生を丸ごと揺らすことになるとは、
この時はまだ知らなかった。
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1|ぽっかり空いた“穴”が、人生のターニングポイントになる説
介護と編み物イベントで全力疾走してきた数年。
すべて終わった瞬間、心の中にぽっかり穴があいた。
「編み物、楽しい。でも……これだけじゃない気もする」
はい出ました。
アラカン特有の “ちょっとだけ社会復帰したい欲”。
✔ 世界をもう一度広げたい
✔ ちょっとお金も欲しい(←本音)
✔ 誰かの役に立ちたい(←建前8割)
この3つが混ざると、もう止められない。
人生の再スタートって、
大声の決意より、小さなしょんぼりの隙間から始まるものなんですよね。
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2|求人票との“にらめっこ地獄”で悟る、私の“わがままスペック”
勇気を振り絞ってハロワへGO。
求人票の大見出しには【年齢不問】。
……なのに端っこに米粒サイズで
「※40代活躍中」
いやいや、それ年齢不問じゃないから。
応募しても面接に呼ばれない。
派遣会社からもスルーされる。
理由は分かってる。
・朝早い仕事 → 起きられない
・介護 → 義母の介護が終わったばかりでムリ
・パソコン → WordとExcel=“呪文”
……はいきた、わがまま就活プラン。
でもこれは、
甘えじゃなくて
“無理を知っている大人の条件”なんですよね。
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3|友人のひと言が放った“クリティカルヒット”
落ち込みながら友人に愚痴LINE。
元キャリアアドバイザーの彼女から即レス。
「ハロワ行って“職業訓練校”、行きなよ」
この時点で刺さるのに、追い打ち。
「希望通りの仕事は難しいよ」
「でもスキルつければ選択肢は広がる」
「パソコンできるかどうかで人生変わる」
……はい、致命傷。
そして最後のトドメ。
「学び直しに年齢は関係ないよ」
このひと言で、
私の背中はドーン!と押された。
人生で必要なのって、
“大きな応援”じゃなく、小さなひと言の魔法なんですよね。
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4|軽いノリで申し込んだ“職業訓練校”。しかし罠は深かった。
「無料でパソコン習えるカルチャースクールでしょ?」
くらいの軽いノリで申し込み。
……が。
このあと、
**「筆記試験 & 面接」**というガチの関門が
ドドンと立ちはだかるとはーー
思ってたんと違う。
いや、違いすぎる。
この時はまだ知らなかったけれど、
職業訓練校って
「優秀な人のため」じゃなくて、
一度立ち止まった人のための場所だったという事を。
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【質問】
もし「今から学び直す」としたら、
パソコン、正直どう思います?
この頃の私は、
「のんびりパソコン習えたらラッキー♪」程度の気持ちでした。
でもね、
人生でいちばん何かが動き出すのって、
**“軽い気持ちで始めた瞬間”**なんですよね。
次回は――
y=ax+b? √?
いや、60代=老眼+肩こりでしょ。
筆記試験で白目をむくアラカン。
逃げる寸前の私を救ったのは――
ハロワ職員の「面接だけですよ♪」の神ひと言。
お楽しみに。




