第10話 メール認証パニックと“まさかの尊敬”
――落ちこぼれだった記憶と、若者のたった一言
「メール認証」
――ただそれだけなのに、
アラカンの胸をえぐる事件になる日が来るとは。
午前は孤独と焦りで泣きそうになり、
午後は若者から尊敬されて泣きそうになるという、
感情ジェットコースターな一日でした。
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1|午前:メール認証パニック
1時間目のタイピングは好調。
薬指もようやく「働く」という概念を思い出した。
そして2時間目、
運命の “メールアドレス作成”。
先生:「では電話番号に認証番号が届きます」
私:スマホを凝視。
……来ない。
来ない。
来ない……!!
周りは次へ進んでいくのに、
私だけスマホを抱えて ポツン。
胸の奥がぎゅっと縮む。
この「置いていかれる感じ」、ずっと苦手だ。
先生:「あとで一緒に見ましょうね」
その優しさが逆に沁みて、泣きそうになる。
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2|蘇る“20年前の落ちこぼれ記憶”
その瞬間、ふっと思い出した。
――20年前。
ニチイで電子カルテを習っていた頃。
電源ボタンすら分からず、
個別指導を宣告され、
「落ちこぼれ」という言葉が頭をよぎった日。
悔しくて、情けなくて、
帰りのバスでひっそり泣いた。
でも3ヶ月後には
少しだけだが、なんとか使えるようになっていた。
資格より大事だったのは、
“続けた経験”という筋肉。
あの時の自分、意外と強かった。
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3|リベンジ成功
今回も同じ結末にはしない。
深呼吸。
番号を再入力。
……ぴこん。
認証番号、来たーー!!!
張りつめていた胸がいきなり軽くなる。
「え……ただの押し間違い!?」
そう、人生の山場ってだいたいこんなもの。
でも、 “ひとりで乗り越えた”という実感がじわっと自信に変わる。
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4|午後:まさかの“尊敬”される
午後の授業は「職業倫理」と「健康管理」。
鬱病の事例について話し合っていると、
クラスメイトたちの過去の苦労が次々に溢れてきて、
胸の奥がじんわり熱くなる。
討論後、私は軽くこう言った。
「若い子と組ませてごめんね〜」
すると21歳男子が、
少し照れながら口を開いた。
「今回の訓練で……初めて“高齢者”を尊敬しました」
……高齢者??
それって私の事?
言い方ァ!!!(笑)
隣の50代女子は涙流して爆笑。
でも私は――
胸が、じんわりあたたかかった。
21歳の彼からすれば、62歳の私は立派な歴史上の人物みたいなものかもしれない。
とは言っても、「おばさん」でも「お年寄り」でもなく、
「尊敬の対象としての高齢者」という言葉を選んでくれた彼のまっすぐな敬意が、
不器用で、なんだか無性に愛おしかった。
たった1日の中で泣きそう → 誇らしいの振り幅を味わえる。
それが学び直しの醍醐味なのかもしれない。
一発逆転じゃなくても、人はちゃんと巻き返せる。
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【質問】
あなたは最近、
“思いがけず褒められて嬉しかった瞬間”
ありましたか?
小さくても、ぜひ聞かせてください。
明日も教室へ向かう勇気になります。
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◆今日のミニ考察
・ 失敗は、一度深呼吸すれば意外と突破できる
・ 資格より“積み重ねた経験”が自信になる
・ 弱さを見せても、人は離れない
・ 62歳だって、本気で尊敬される日が来る
次回予告|第11話
USB保存忘れ=データ即死の“絶望システム”に震えるアラカン。
書類マナーは全項目アウトで満貫負け。
昼休みは「62歳って微妙だよね」判定で精神HPゴッソリ減少。
でも大丈夫。
USBは爆弾、年齢は重力。
それでも心だけは、軽くいく!




