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(新連載スタート)第0話「人生の踊り場へ、ようこそ」

【前作「御殿もの語り」を読んでくださった皆様へ】

先日まで『御殿』での戦いを綴っておりましたが、

その前日譚ぜんじつたんとして、私の心のリハビリ期間の話をさせてください。


職業訓練校は、人生に疲れた人の「中継地点」だった――再出発しなくてもいい場所の話。


3年前に長らく務めた職場を辞めたあと、 人生はバラ色になると思っていました。


……なりませんでした。

誰にも怒鳴られない。

サービス残業もない。

なのに、なぜか毎日が物足りない。


拍子抜け、とはこのこと。

頑張らなくていいと言われたのに、

「じゃあ私は何をしていればいいんだ?」という問いだけが、心に居座り続けました。


……これ、たぶん「ブラックを抜けた人」あるある。

自由=即ハッピー、ではない。(むしろ、戸惑う)


これから始まるこの物語は、

「職業訓練校でスキルを身につけて華麗に再就職!」

……みたいな、キラキラ成功物語ではありません。


そもそも、当時の私はこんな状態でした。

就活に自信なし

パソコンは呪文(詠唱失敗多め)

意欲はあるような、ないような

でも家でじっとしてるのもしんどい

という、非常に中途半端な疲れ具合。


横になりたい。

でも、このまま横になり続けるのも不安。


――なんとも、めんどくさい大人です。

訓練校って、やる気満々の優等生が集まる場所だと思っていませんか?


私もそう思っていました。

でも、違ったのです。

そこにいたのは、

人生で一回コケた人

二回目の人

三回目だけど、もう笑うしかない人

「ここが最後の砦かも…」と静かに座っている人


年齢も、経歴も、事情もバラバラ。 共通点はただひとつ。

「全員、ちょっと疲れている」ということ。


職業訓練校は、人生を劇的に変える魔法の学校ではありません。

キラキラもしないし、拍手も鳴らない。


でも代わりに、急かされない、比較されすぎない

「今はこれでいい」が許されるという、現代社会では希少な空間がありました。


ブラックで削られた人間にとって、これはもう立派な「回復装置」。


やる気なんて、あとから勝手に出てきます。

(出ない日もあります。人間だもの)

まず必要だったのは、安心して座れる「イス」でした。


このシリーズでは、

訓練校という不思議な制度の話、

理不尽なルールや謎のシステム、

クセが強すぎる仲間たち(←主役級)

アラカン世代の、ちょっと遅い青春

これらを、時に可笑しく、時に「あるある」と頷きながらお届けします。


そして最後に、こう思うはずです。

「再出発って、そんなに気合を入れなくてよかったんだな」と。


ここは、人生を立て直す場所ではありません。


いったん、立て直さなくていい場所。

肩の力、抜いてどうぞ。



椅子、あります。


次回、第1話「62歳、職業訓練校で“再スタート欲”が芽生えた日」。

さてさて、どんな騒動が待ち受けていることやら。




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