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クラスのアイドルは俺にだけ嘘をつく  作者: 砂糖流


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7/10

7話 推しのライブ

 休日――俺は一人で紫乃ちゃんから貰ったチケット握りしめ、ライブハウスに来ていた。


 無論、ルミナスのライブを見に来たのだ。


 キャパ数百人程度のスタンディングというルミナスにしてはかなり小さめのライブ会場。


 ルミナスは稀にこうして小さめの会場でライブを催すことがあるのだ。当然ルミナスくらいになると、チケットは即完売。


 つまり俺はかなりの希少品を無料で貰ったということだ。本当に紫乃ちゃんには感謝してもしきれない。


 でも今回は普通に楽しむだけじゃダメ。


 そう。流川さんにバレてはいけないのだ。バレてしまえば一発でファン判定を食らう。


 ハイネックの服に帽子、そしていつもの眼鏡。さすがにこれでバレまい。


 そもそも推しからバレるなんておこがましい話かもしれないけど、念には念を。


 前から五列目の中央辺りで、俺はいつもの癖で購入した青色のペンライトを下げる。


 何せ――


 赤、紫、黄、赤、緑、黄、紫。


 見た感じ、青色のペンライトを持っている人が自分以外見当たらなかったからだ。


 ペンライトを持っていない人もちらほらいるが、寒色系を持っているのは自分のみ……。


 これだと目立ってしまう。それに青のペンライトだから尚更である。


 俺は持っていたペンライトの光を消し、完全に自分を抑え込んだ。


 ◇◇◇


 お姫様をコンセプトにした青色の衣装を身に纏いながら息を整える。


 この瞬間はいつまで経っても慣れない。


「そろそろスタンバイお願いします」


 スタッフさんから声がかかる。


 私含むメンバー五人は舞台袖でスタンバイする。


 数分後に、私たちの舞台が始まる。


 私は深呼吸をして心を落ち着かせる。とそこで、反射的に肩が跳ねた。


「ねぇ、青澄」


 隣でスタンバイしていた紫乃に触れられたからだ。


「な、なに。驚かせないでよ」


「あぁ、ごめんごめん。でもそれより――」


 目を見合わせていた紫乃が不意に前を向いて、微かな照明で顔を照らす。


「今日、凄いもの見れるよ」


「えっ。それって――」


 詳しく訊こうとした瞬間、反対袖からスタッフさんの合図がかかる。


 それと共にメンバーの皆がステージへ駆け出した。少し遅れて私もそれに続く。


「みんなー! 今日は来てくれてありがとー!」


 赤色担当の赤音(あかね)がマイクを構えながら早速叫ぶ。


「「「「「あか姉ーーー!」」」」」


 それに応えるかのようにファンの皆も雄叫びを上げる。


「じゃあ早速だけど一曲目ー!! 輝くプリンセス!」


 何度も練習したイントロが流れて、私たちはそれに合わせて踊り、ファンたちを魅了する。


 スピーカーから流れる大きすぎる音楽、生ぬるい風、そして……様々な光をリズム良く振るファンのみんな。


 紫、黄、緑、赤、黄、紫、赤。


 いつもの如く青色の光は見当たらなかった。


 やっばり今日もか……。


 私は特段人気がないわけではないけど、ルミナスの中で圧倒的に人気がないのは明らか。


 だから練習もみんなの倍以上頑張っているのに、どうにも上手に笑顔が作れない。作れても中途半端な笑顔。


 それでも……せっかくファンの皆がわざわざお金を払ってまで見に来てくれたんだ。


 もっと私を知ってもらうために。もっと私を見てもらうために。


「すごっ。なにあれ」


 紫乃(しの)ちゃんのソロパート中、黄色担当の萌黄(もえぎ)ちゃんから感嘆の声が聞こえてくる。


「あんなの初めて見た……」「わぁ……」


 続いて、赤音と緑色担当の心緑(ここみ)が同様に声を上げる。


 一体なんのことを指しているのかは、観客席を見れば一目瞭然だった。


 本命の私たちよりも存在感を放っているファンの一人――圧倒的存在感のあるその人は、まさかのペンライトを六本も持ちながら左右に振っていた。


 そのペンライトの色は私の色を表す、私だけの色を放っていた。


 ペンライトの光でその人の顔はよく見えなかったけど、誰だか判断するのはそれだけで充分だった。


 私はそのペンライトから目を離すことができなかった。


 私は彼に向かって、サビ前の最大級の台詞と最大級の笑顔をぶつけてやった。




「大好きっ!」

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