第1話 2025年7月14日 素麺(そうめん)
本日の晩飯、素麺!
素麺。それは細麺に汁をつけて啜る、いたってシンプルな食べ物。
しかし!工夫の仕様はある!。
(わさびがある!)
食卓に出された調味料はただ1つ!わさびのみである。
素麺に汁と言う味に飽きてしまわぬよう用意された一品!しかし、わさびが苦手な者も少なくはないだろう……。
だが!。
(俺は少量のわさびならイケる口だ!)
わさびを手に取り少量、混ぜる、汁に!。
(な、なに!)
混ざらない!汁とわさびが!
チューブから捻り出された固形のわさびは混ざることなく、汁に沈む。
(仕方ない混ぜるか……)
箸を手に取り沈んだわさびを念入りに混ぜる。
(もういいかな……)
頃合いを見て、素麺を掴み、汁に浸す。
汁から素麺を出しズルズルと啜る。
(こ、これは……)
いつもと変わらぬ素麺の味、その中に確かにある。
(わさびの痛くない風味がある!)
汁に浸された素麺に絡まるわさびの風味、それが素麺の旨さと楽しさを強くしてくれる。
(美味しい)
素麺の旨さに舌鼓を打つ、しかしなにかが足りない。
(もう少し味変したいけど、おかずがないな……仕方ない、わさびを追加するか)
わさびを手に取り再び汁へ……!
(さっきと同じように)
混ぜる、汁が暗く見えにくくともおおよその位置で感覚を頼りに!。
先程と同じように素麺を汁に浸け、啜る。
「っ!!」
瞬間!顔から頭に届く程の痛みが流れる。
(ぐああああああああ!わさび!わさび!わさびが流れてくる!)
致命的なミス、2度目のわさびが混ざりきらず、存在する固形のわさび!。
まさしくそれが、素麺と共に浸かった汁の中から流れてくる!。
後悔する、2度目のわさびを……。
(も、もう俺には無理だ!)
「……ごちそうさま」
こうして本日の晩飯、終了。