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64.平和

 相変わらず栄えている街ではあるが、しかし以前よりも更に活気が増しているような気がする。


 以前訪れた時は冒険者たちが忙しなく動いていたが、今はそのようなものは見られない。結界に反応がないから当たり前ではあるが、しかし嬉しいことである。


「相変わらず栄えてるな。それに、平和そうで何よりだ」


 ウェイド辺境伯は朗らかな笑みを浮かべている。


 私も私でどこか安心していると、一人の町人がウェイド辺境伯の姿を見る。そしてすぐに他の人間にも声をかけ、さながら波紋のように喧噪が広がっていった。


「ウェイド辺境伯! あんたのおかげで街は救われた! そして嬢ちゃんもだ! 結界が効いているからか、危険な魔物も出てこねえ! ありがとよ!」


 一人の男の声と同時に、今度は冒険者も声を挙げた。


「緊急の招集もなくなったぜ! 気楽に冒険者活動もできて、こっちも最高よ!」


 わーわーと民衆たちが盛り上がっている様子である。その様子を見て、ウェイド辺境伯も嬉しそうにしていた。


「シセ。これも君のおかげだ。俺も話題に上がっているけれど、俺は些細なことしかしていない」


 謙遜するウェイド辺境伯。全く、彼は少しばかり優しすぎる。


「私はウェイド辺境伯を尊敬していますし、人柄もとても好きです。だからこそ、ずっと着いてきていることは忘れないでください」


 ちらりと彼は見て、恥ずかしそうにしながら頭をかいた。


「全く……こりゃ一本取られちまったかな」


 彼は街の人達に手を振りながら、ストリートの奥を見据える。


「さて、本題はここからだ。ノーブル伯爵の屋敷へ行こう」


 優しげな笑みを私に向けて、そんなことを言う。


「屋敷ですか。一体何をしに?」


「ああ、言ってなかったか。ほら、ノーブル伯爵は魔族に領地を売ろうとしていただろ。当時は詳しいことはドタバタで調べることができなかったが、何かしら屋敷に取引の形跡があるかもと思ってね」


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