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46.少しの違和感

 ウェイド辺境伯邸に戻った私は、早速寝袋を準備していた。と言っても、床に寝袋を敷いて、その中に入るだけなのだけれど。


 その様子を興味深そうに見ていたセラスは、じっと寝袋を見据えている。


「シセ様……もしかして床で寝るのですか?」


「寝袋ってそういうものだと思うのですが」


「そうなんですか!? でもでも、シセ様が床で寝るだなんて……」


 どうやらかなり心配されてしまっている様子。まあ確かに中世風の世界観だと、寝袋なんて概念はなかなかないだろうし、特に貴族の家だとそういうものは尚更ないだろう。


「触ってみてください。ふわふわですよ」


 私が誘導してみると、セラスは恐る恐る寝袋に触る。


 触った瞬間、セラスは目を見開いて驚いた。


「す、すごい! これならどこでも寝られるじゃないですか! これ……あまり見かけない素材ですけど、なんなんでしょうね……」


 どうやらセラスも感激した様子である。素材のことが気になっている様子ではあるが、まあ少なくともこの世界にはないものだろう。


 寝袋をよく見てみれば、素材などが書いてあるタグを切った後がある。これを見ても、大方異世界から持ってきたものなのだろう。


 異世界……日本円でも結構な値段がしそうな質の良さもあるし。


「それじゃあ私はこれで寝ます。セラスもゆっくり休んでください」


「はい! よければ、私も隣で眺めていてもいいでしょうか! 寝袋で寝る様子、観察したいです!」


「それは本当にやめて」


「そうですか……」


 セラスは残念そうにしながら、部屋を去って行く。さて、私は寝袋に入って熟睡タイムにでも入ろうか。


 とはいえ……ちょっと今日やることは普通とは違う。


 ノーブル伯爵領へと展開した結界の維持も作業内容に入ってくるからだ。とはいえ……数が増えたとてやる作業は変わらない。


 多少なりとも工程は増えるが、私は無理のない範囲でのみ結界を展開しているから特段問題になるようなことはない。


 それに……ウェイド辺境伯には大変お世話になっているし、彼のためならばなんだってしてもいい。


 私は寝袋の中で目を閉じて、すっと集中する。現状、ウェイド辺境伯領、元ノーブル伯爵領ともに問題はない。結界も……傷がついたところは修復を続けている。


 魔物の群れも落ち着いていて比較的安全。これならいつも通りで進めても問題ないはずだ。


 だけど……なんだ。少しだけ違和感がある。


 魔物の群れ? それとも魔族? 現状分からない……だが、こればかりは様子見するしかないだろう。念のため、ウェイド辺境伯に伝えておくか。


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