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45.寝袋使います(一部ルヴィン王子視点)

 ギルドマスターはかなり思案していたようではあるが、しかしながら領地の宣伝という意味では強いのは事実である。


 ひとまず私の方でまとめるから、一度君たちは休むといいと言われた。


 というわけで、私たち二人は自宅へと戻ることにした。


 ウェイド辺境伯は頭を掻きながら、あははと笑う。


「しかし寝袋……使わなかったね。意外と高かったんだけどな」


 ウェイド辺境伯は少し残念そうにしている。まあ確かに想像以上に早く片がついてから、寝袋を使う機会はなかった。


 しかし寝袋自体は本当にありがたいことだし、使いようはまだまだあると思う。寝袋を販売した人間も気にはなるが、しかし今はお互い疲れていることだし聞くのは辞めておこう。


「寝袋、もしよければ私が預かってもいいですか?」


 私が言うと、ウェイド辺境伯はきょとんとする。


「いいけれど、何に使うんだい? ベッドもあることだし」


「ベッドもありますが、少し使ってみようかなって」


「使うのかい!? いや、嬉しいよ。よければ感想も教えてよ。俺も使ってみたいからさ」


 ウェイド辺境伯にそう言われて、私は少し考える。


「私が使ったのを使うのですか?」


 そう言うと、ウェイド辺境伯は慌てて説明する。


「いや! そうなんだけど! わ、悪い……嫌だったよな。配慮が足りなくてごめん」


 ……なんて可愛いのだろうか。確かに私と共用っていうのは、男性にとっては気を遣うことなのかもしれない。


「私は気にしないのでいいですよ。ウェイド辺境伯は別に嫌じゃありません」


「あ〜……そうかい? なんか申し訳ないね……」


 全く、ウェイド辺境伯は気にしすぎだ。私たちはもう家族みたいなものなのに。


「それじゃあ、借りますね。寝袋」


「ああ。ぜひ、使ってみてくれ」


◆◆◆


 ルヴィン王子は、最悪な日々を送っていた。シセリアを連れ戻すために、何人かの護衛を引き連れて向かおうとしていたのだが、誰も手を挙げなかったからだ。


 ルヴィン王子のような人間と歩いていると、俺たちの地位にも関わる。


 誰もがそう言って、ルヴィン王子の護衛につきたがらなかった。


 もちろん王族の護衛は最重要任務であったが、国王すらもルヴィン王子に護衛を付けるように動こうとはしなかった。


 とどのつまり、宮廷には、王都には。ルヴィン王子の味方は存在しないのだ。


「クソ……クソォ!!」


 ルヴィン王子は荷物をまとめながらも、耐えられなくなって思い切りバッグを投げた。壁に当たり、大きな音がなるが誰も心配して覗きに来ることもない。


 使用人すらも無視を決め込んでいるからだ。


 ルヴィン王子は拳を握りしめながら、投げたバッグを手に取る。


「分かったよ……一人で行くよ……! アンナだって……僕の味方をしてくれない……!」


 ルヴィン王子は涙を流しながら、宮廷の外に出る。ゴミを投げられ、石を投げられ、そんな中歩きながら、馬車へと向かった。


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