43.土下座
転移魔法で、私たちはノーブル伯爵邸へと帰ってきた。使用人たちが私を見るなり、目を見開いて驚いている。どうやら使用人たちもグルのようだ。
まあ別に構わないけれど。
ノーブル伯爵の自室の前に立ち、私はノックをする。
すると、返事と一緒に面白いことを返してきた。
「入って良いぞ! なんせ、私は今機嫌がいいんだ。ウェイドも処分できたし、私はもう大満足だ。そうだ、魔族に領地を売った金、お前にも少し分けてやるよ! だから入ってきたまえ」
どうやら、私たちを使用人か何かだと思っているようだ。というか、そもそも私たちが帰ってくるとも思っていないのだろう。
どちらにせよ、これにはウェイド辺境伯もご立腹だろうな。
私は扉を押し開く。すると、ご機嫌だったであろうノーブル伯爵の顔が青ざめていく。
「き、君たちだったのか……!? ど、どうやって戻ってきた……!?」
私が答えるよりも先に、ウェイド辺境伯は前に出た。
「魔族は倒したよ。ノーブルさんよ、こりゃ大変なことをしちまったな」
ウェイド辺境伯の表情は怒りに満ちている。しかしノーブル伯爵はまだ引き下がらない。
「そ、それがどうした! 別に王家は私を処分できないさ! なんせ、証拠も残っていないしな!」
「証拠? そんなの関係ないよ。俺がお前をぶん殴って、もう二度と立てなくしてやる」
「馬鹿言え! そんなことしたら、君も立場が危うくなるぞ!? もう少し冷静になったらどうだね……!」
どうやらまだ舐められてしまっているようだ。これなら一度、ぶん殴って黙らせた方が話は早いだろう。
「ああ。だから……お前が正式に領地を俺に明け渡すというまで、お尻ぺんぺんするだけさ。なんせ俺は平民上がりだから、こういうやり方は得意でね」
「ま、待て! 待ってくれ! ま、待って!?」
可哀想に、ノーブル伯爵。まあ少し辛い思いをしてもらうことにはなるけれど、領民と領地を魔族に売るということを理解するべきだ。
その行為は、人類にとって大きな巨悪となり得る。
「うわぁ……ウェイド辺境伯があそこまで怒ってるのは初めて見たなぁ……」
「エリックも、あまり怒らせないようにしましょう」
「そ、そうっすね……」
◆
「誠に申し訳ありませんでした……領地は正式にウェイド辺境伯へと明け渡します……」
というわけで、ノーブル伯爵はボコボコにされました。まあ、しっかり反省したようですし、これでよしとしましょう。
土下座をしているノーブル伯爵を見ながら、私はウェイド辺境伯に聞く。
「しかし、領地の管理が大変になりますね。私は構わないですけれど、ウェイド辺境伯は大丈夫ですか?」
私の問いに、ウェイド辺境伯は苦笑する。
「大変……だけど、領民が平和に暮らせるなら俺はなんだってするさ」
ほんと、ウェイド辺境伯はお人好しなんだから。
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