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42.なるほどね

 私は二人に基礎ステータス上昇と魔法反射バフを付与する。見ての通り全力で潰しに行く構えだ。


 というのも、魔法反射はかなり魔力を使うバフであり、長時間使用は絶対にできない。できたとしても五分程度が付与の限界だ。


 しかし、魔法特化の相手にはこれほど強力な魔法はない。


「よし! 《炎のエンチャント》——《紅蓮矢》!」


 エリックの炎の矢が真っ直ぐと魔族へと飛んでいく。


「弓矢程度、どうってことないわ」


 魔族は魔法陣から同じ炎を飛ばし、相殺しようと動く。しかし残念ながらそう上手くはいかない。何故なら、反射魔法は本人だけでなく、その人物が放つ物体にも付与されているからだ。


「なっ!?」


 魔族が放った炎は反射され、矢と炎が同時に魔族へと着弾する。胸に直撃したようで、血を流しながら地面に突っ伏す。


 もちろんそれをウェイド辺境伯は逃さない。接近していたウェイド辺境伯は、魔族の首筋に剣を当てる。


「俺たちの勝ちだな。さて、死ぬ前に話して貰おうか」


 相手はかなりの致命傷を負っている。ウェイド辺境伯は手を下さずとも、じきに死ぬ命だ。


 私は魔族に近づき、しゃがんで顔を覗き込む。


「あなたの意味深な話、詳しく聞かせて貰えますか?」


 私が尋ねると、魔族は怯えた様子で頷く。どうやらもう完全に屈服してしまったようだ。


「私は……ノーブルっていう人間に交渉を持ちかけたのよ……領地の一部を買わせてくれないかって。どうやら彼、お金に困っていたようですぐに承諾してくれたわ……」


 交渉か。魔族が使う手にしては珍しいな。魔族は交渉なんかせずにぶんどった方が早いって思考の奴が多いから、そんな真似はしないのだけれど。


 まあこの魔族がしそうなことではあるが。


「ノーブルは言ったわ。その土地に住んでいる人間皆殺しにしていい。自由に使えってね」


 その言葉を聞いて、ウェイド辺境伯の表情が引きつる。


「なんてクズな……」


 悔しそうに拳を握りしめていた。ウェイド辺境伯は民のことをよく思っている人間だから、到底許せる行為ではないだろう。


 しかしだ。


「なら、ノーブル伯爵が私たちを寄越したのは裏切り行為になるのではないでしょうか? それはどういう話なんです?」


 尋ねると、魔族はくすりと笑う。


「知らないわよ。まあ考えるに、自分にとって邪魔な人間を消したかっただけなんじゃないかしらね?」


 なるほど……つまり私たちは上手いこと利用されたということなのだろうな。ノーブル伯爵も私たちが生き残るとも思っていなかったのだろう。


 そういうことだと、あの態度は理解できる。


 なんて思っていると、魔族はケラケラと笑い出す。


「でもねぇ! 私はまだ負けていない!! 今自爆技であなたもろとも——」


「分かりました。情報提供、ありがとうございます」


 私は冷静に魔族の首を切り落とした。経験上、冷静に対処しないと面倒くさいことになるのは分かっているからだ。


 ふうと息を吐いて、ちらりとウェイド辺境伯を見る。


 ウェイド辺境伯は怒りに満ちた表情を浮かべていた。


「ノーブル……絶対に一度ぶん殴ってやる……」


 これは……ノーブル伯爵も可哀想に。


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