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40.魔女帽の魔族

 二階の階段を上がっていく私たち。ミシミシと軋む階段の音が、どこか幽霊屋敷のような雰囲気を見せている。


 ともあれ、出てくる魔物は幽霊のようなものなので、あながち間違ってはいないかもしれない。毒ガス……というのが厄介極まりないけれど。


 私はため息を吐いたあと、深呼吸をして息を整える。というのも、先程の魔物を倒してから、若干だがジャマー魔法が弱まったからだ。これならギリギリ、向こうを逆探知することは可能かもしれない。


 慎重に、冷静に魔力を高める。


「二人とも、屋敷の主であろう反応を確認しました。奥の部屋です」


 私の視線の先には、一際豪勢な装飾が施されている扉があった。


 ウェイド辺境伯とエリックは緊張した様子で頷く。


「さすがだシセ。というか、こんなあからさまな扉の奥にいるなんてね。なんだか堂々としているな」


「堂々……ってことは、きっと強さに自信があるんすね」


 まあ、そういうことだろう。こんないかにもなことをしてくるなんて、弱い魔族は決してしないことだ。


 しかし私たちも弱いとは思っていないので、正面切っての勝負と行こう。


 私は扉の前に歩いて行き立ち止まる。


 念のために扉の罠が仕掛けられていないか確認してみたが、どうやらそのようなことはしていないようだ。


 扉に手をかけて、ぐっと押し開く。


 刹那、パッと部屋が明るくなった。真っ赤な絨毯が奥まで続いている。


 その最奥には、豪勢な椅子に座った魔族の姿があった。


「ようこそわたしの屋敷へ。お待ちしておりました。ええと、今はシセ様でしたっけ?」


 大きな魔女帽を被った魔族は、ゆっくりと立ち上がる。


 しかし、どうやらこの魔族は私の身分を知っているようだ。まあ、それもそうではあるが。


「あなたがこの領地を脅かしている魔族……ということでいいんですね?」


 私が尋ねると、魔族はくすりと笑う。


「部分的にはそう……部分的には間違っている。そんな回答しか今はできないのだけれど、やっぱり気になるかしら」


 意味深なことを言うな。どうやら、何か隠し事をしていると見てもいいのだろう。


「そうですか。それでは、どうしたら教えてくれるのでしょうか」


 私は淡々と述べる。魔族はくつくつと笑いながら、ぐっと伸びをした。


「どうしたら教えてくれるのかなんて分かっていることでしょう? あなたたちは別に私と楽しいお茶会がしたくて来たわけでもないでしょうに」


 楽しいお茶会で済むのならそうしたいところだが、相手が相手なのでそういうわけにもいかない。そもそも向こうはお茶会だなんてものをするつもりもないだろうが。


「分かりました。それでは、あなたを懲らしめてから事情聴取をさせていただきます」


ついに四十話に到達しました!ここまで執筆することができたのも、本作を読んでくれている読者の皆様のおかげです。これから先、王子やノーブル伯爵含めてスカッとする展開にしていきますので、引き続きよろしくお願いいたします!

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