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33.ノーブル伯爵との対面

「どうも……とりあえず案内してもらえますか。ノーブルさんも待っていることでしょうし」


 ウェイド辺境伯は警備兵に言う。警備兵は眉を潜ませながらも、鼻で笑った。


「強気なのはいいことだ。もし弱気になっていちゃあ、こちらも頼るに頼れないからな」


「そりゃどうも。こっちもおたくらに嫌われないように必死さ」


「ふん。通れ。ノーブル伯爵も待っている」


 そう言って、警備兵が門を押し開く。私たちは門をくぐり、ノーブル伯爵が待つであろう部屋へと向かうことにした。


 とはいえ、こういう時ってのは使用人が出迎えてくれるものだと思うが、誰も案内に来てはくれない。


 自力でたどり着けということなのだろうが、まあ不親切である。というか、自力なんて言われたら間違った部屋にでも入る可能性だって大いにあるだろうが、まあその時は理不尽に怒られるだけなのだろう。


「大丈夫だよシセ。以前来たことがあるんだ。場所は分かる」


 どうやらウェイド辺境伯は場所の把握はしているらしい。まあそれなら安心かな。


「しかしまあ、なんとも立派な邸宅だ。なんだか比較しちゃうね全く」


 ウェイド辺境伯は邸に入り、廊下を歩きながらそんなことを言う。


 まあ確かに、貴族らしい邸だとは思う。高そうな絵画に綺麗な装飾。


 ウェイド辺境伯とは全く違う。まああくまで趣味の違いといったところだろうが。


 ウェイド辺境伯は一つの扉の前に立ち止まり、はあと息を吐く。


「ここだよ。エリック、しっかり礼儀はわきまえとけよ。俺みたいにしたら、下手すりゃ処刑だ」


 その発言を聞いて、エリックは震えながら答える。


「りょ、了解っす!」


「よろしくな」


 そう言って、ウェイド辺境伯は扉をノックする。


 少し待つと、中から返事が返ってきた。


 さて……行くか。


 ウェイド辺境伯が扉を押し開く。


 そこには、意地の悪そうな男貴族の姿があった。


「待っておったぞ、ウェイドくん?」


「どうも、ノーブルさん。久々ですね」


 ウェイド辺境伯とノーブル伯爵がお互いに睨めつけあい、明らかに牽制しあっている状況下になっていた。


 でも状況は理解できる。なんたって、ノーブル伯爵にとっては問題児との対面。ウェイド辺境伯にとっては、自分を忌み嫌う厄介な貴族なのだから。


 まあ……私とエリックができることは、せいぜいウェイド辺境伯の格を下げないようにする程度だ。


 しかし、そこはしっかりとしておくべきである。


 私は得意な方なので、ひとまずはエリックに気を遣いながらやっていくことにしよう。


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