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32.ノーブル伯爵邸へ


 私たち三人は準備を終え、気合いを入れて並ぶ。


「それじゃあ、行きましょうか」


 私の言葉に、二人がこくりと頷く。私は目を瞑り、集中する。目的地への場所をイメージし、点と点をつなぎ合わせるように道を切り開いていく。


 すると、目の前にパッと転移魔法陣が生まれる。


 よし。ひとまずは成功と言って良いだろう。


 私は先導して転移魔法陣の中に入る。時空が揺れ動く音とともに、目的地であるノーブル伯爵領への転移が完了した。後ろからウェイド辺境伯とエリックも出てくる。


 ノーブル伯爵領の首都に転移した私たちは、周囲の光景を眺める。


 伯爵領とはいえ、中心地はかなり栄えているようにも思える。


 しかし、それと同時に冒険者が忙しなく動いている姿も見える。


 やはり魔物が跋扈しているのは本当と見ていいだろう。


 ちらりとウェイド辺境伯を見ると、少しばかり緊張してしまっているようだった。


「大丈夫ですか?」


 私は気になって聞いてみる。すると、ウェイド辺境伯は慌てながら横に首を振った。


「あ、ああ。不甲斐なくて申し訳ないが、ノーブル伯爵にはかなり色々言われててね。先方も俺たちが来るのを知っているだろうが、対処できるのが俺たちしかいないから、仕方なくって感じだろうし」


 どうやら、かなり不安を覚えてしまっているようだった。まあ無理もない。私だって、自分のことをよく思っていない人間に会いに行くのは辛いところがある。


 ここは、私とエリックが前に出て話すのがベストだろう。


「とりあえず、ノーブル伯爵邸はこっちです。私が前にでて言うので、間違ったことを言ってしまった場合にはアシストをお願いします」


「すまないねほんと……俺もどうにか話してみるよ。まあ……墓穴を掘らないように気をつける」


「よろしくお願いいたします」


 話はまとまったので、ノーブル伯爵邸へと歩き始めた。道中、街の人達の視線がウェイド辺境伯に集まっているのが分かる。


 やはりというか、領民にまでも悪評は広まってしまっているらしい。


 ……なんか、悲しいな。こういうのを見ると、自分の正義が本当に正しいのか分からなくなる。誰かの為を思ってしたことも、反対の効果が現れる可能性だってあることを思い知らされる。


 ノーブル伯爵邸の門が見えてきた。門の前には、二人の警備兵がいる。


 私……というよりは、後ろにいるウェイド辺境伯の姿を見て、険しい表情を浮かべた。


「待っていたぞ、ウェイド辺境伯。素早い到着は、褒めてやっても構わん」


 ……貴族に対しての発言とは思えないな。どうやら、相当ウェイド辺境伯は舐められてしまっているようだ。


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