30.セラス怖い
私はベッドで眠りながら、結界の確認をしている。実際問題、危険な魔物の反応がなくなったのは事実のようだ。
特に顕著な結界への攻撃は見られないし、あくまで並程度のように思える。
ひとまずは、ウェイド辺境伯領に対する魔族の侵攻はなくなったと見て良いだろう。
私はゆっくりと目を開き、ぐっと伸びをする。やれやれ。聖女になってすぐは、眠っているようで眠っていない、常に起きっぱなしのような状態ではあったが、しかし今となってはこの状況下でも体は元気である。
人間は慣れる生き物だというが、しかし本当にその通りのようだ。
とはいえ、子どもの頃のようにぐっすりと眠り続けるのに憧れないわけでもないが。
しかし……。
「おはようございますシセ様!」
隣を見ると、目を輝かせながらこちらを見ているセラスの姿があった。
……いつからいたのだろうか。
「あの……どれくらい見ていたんですか?」
「ん〜三時間くらい前ですかね」
「怖いんですけど……」
三時間前って、それはもう狂気である。私の寝顔なんて見て、何が楽しいのだろうか。
私には人の寝顔をぼうっと眺める趣味なんてないから、全く分からない。
というか、そんな趣味がある人間に会ったことがない。
うん、怖い。
「そんなことよりも!」
そんなことよりもじゃないが。怖いんだが。
「ノーブル伯爵領に向かうんですよね! ギルドマスターも恐ろしいですね。ノーブルさんって、かなり王家寄りだからウェイド辺境伯のこと嫌っていたと思うんですけど」
さすがは噂話が好きなセラスである。
とはいえ、まあ王家よりの貴族はウェイド辺境伯のことは好きではないだろう。
「まあそれも踏まえてな気がしますが。私もギルドマスターのことを詳しく知っているわけではないのであれですが」
私が答えると、セラスはこくこくと頷く。
「私もそう思います! さすがはシセ様! 天才ですね!」
何かする度に褒められているような気がするが、それは悪くないので置いておくことにしておこう。
「それじゃあ、私はウェイド辺境伯のところに向かいます。セラスも……お仕事頑張ってください」
そう言うと、セラスは目を輝かせる。
「うおおお感激です! お仕事頑張ります! きっちりベッドメーキングしておきますね!」
ははは……まあセラスはいつも通りのようで何よりだ。
問題はウェイド辺境伯。多分、色々と思うところがあるだろうな。
【あとがき】
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