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27.討伐完了

 私は冷静に防御魔法に衝撃属性を付与。刹那、少年のような魔族は弾き飛ばされる。地面を転がることも思ったが、冷静に着地して受け身を取った。


「怖いね〜! ほんと意味分からないことするな、この女は〜」


 ひとまず呼吸を整える。体を落ち着かせ、その他四体の魔族を見る。うん、多分この程度ならウェイド辺境伯たちでも倒すことはできるだろう。


 問題はこの少年の魔族。


 こればかりは私が対応しないと、私以外が全滅する可能性だって大いにある。


「ウェイド辺境伯、エリック。四体の魔族は任せました」


 そう言うと、二人はこくりと頷いて魔族たちと相対する。


 さて……大玉は私が処理しよう。


「来なさい、魔族さん。私も少しばかり本気で戦ってもいいですよ」


 私の挑発に、少年の魔族は眉をぴくつかせる。どうやらイラッときてしまったようだ。


「舐めやがって人間風情が。女だからってこっちも優しくしてばかりだと思わないでよ〜!」


 魔族は斧を構えて、にやりと笑う。刹那、光速が如く速さで私に迫ってきた。その間一秒にも満たない。


 だが、私にとっては必要十分な速度だった。


 軽く斧に触れ、同時に衝撃を発する。斧はあらぬ方向に飛んで行き、壁に突き刺さった。


「なっ!」


 少年の魔族は動揺を呈する。私はそれを見逃さず、相手の懐に入り込んで胸部に手を触れた。


「《印・火炎》」


 唱えると、相手の胸部に赤の魔法陣が記される。刹那、少年の魔族の体が真っ赤に燃えた。


「あああ!! ぐああああっ!?」


 魔族は地面を転がり、最終的に焼け焦げた。


 息絶えそうになっている魔族に近づき、私は確認を取る。


「もうこれで、ウェイド辺境伯の魔物被害はなくなるんですよね」


 聞くと、魔族は苦しみながら答える。


「へへっ……終わるよ。ウェイド辺境伯領だけはな」


 ウェイド辺境伯領だけ……は。


「もしかして、他の領地でも」


「みなまで言わなくても分かるだろ? まあ……よかったな。お前らの領地は助かって」


 そう言って、魔族の体は灰になって消え去った。


 ……不完全燃焼だ。どうやら私たちは、何も解決できていないようだった。


 しかし……私たち以外の領地にも同じ被害が出ている可能性がある。


 確かに私たちの仕事ではないかもしれないが、しかしながら知ってしまった以上はある程度やっておく必要が出てくると思う。


 ちらりとウェイド辺境伯とエリックを見ると、汗を流しながらもどうにか四体の魔族を倒すことが出来たようだ。


 さて……私たちも色々と共有しなければならないことができたな。


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