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26.魔族との戦い

 その後の魔物も、ウェイド辺境伯とエリックが処理をしていく。私がやってもいいのだが、最終的に二人からは魔力を維持するように頼まれている。


 それもそうで、結界とバフを維持し続けるのは多少なりとも負担はある。だからその分の魔物退治は自分たちがするとのことらしい。


 しかし、二人の戦闘技術はかなりのものだ。バフはあるにしろ、動きなどはかなり洗練されている。


 エリックはまだしも、ウェイド辺境伯はどこでそんな技術を身につけたのだろうか。貴族は少なからず剣術の訓練をするが、ウェイド辺境伯のそれは実戦経験を踏まえての動きのように思える。


「皆さん、この先から五体の魔族の気配を感じます。更に気を引き締めてください」


 私がそう言うと、二人は緊張した様子でこくりと頷く。


 私たちが踏み込もうとした瞬間のこと。


 突然足下に赤の魔法陣——すなわち炎系のものが展開される。


 私は咄嗟に魔法陣を逆探知し、完全に無効化した。


 恐らくはトラップ系のものだろう。


「あらら〜破壊されちゃった。君、もしかしなくても件の魔族がお世話になった人だよね〜」


 コツンコツンと足音が響く。奥を見据えると、そこには少年のような身なりをした魔族と、その部下らしい魔族四体が出てきた。


「逆探知なんて、人間にはされたことがないな〜。少なくとも君って、人間の中でも高位な存在だね」


 私は冷静に相手を見る。飄々としているが、明確な殺意がある。


 私はちらりとウェイド辺境伯とエリックを見る。


「分かってるよ、シセ」


「確実に殺しに来てるな」


 二人も分かっているようだ。少年のような魔族は、残念そうにしながら首を振る。


「油断してくれてないなぁ……普通の人間なら騙せるんだけど……」


 そう言って、少年のような魔族は魔法陣から巨大な斧を取り出して握る。


「それじゃあ、お前らの首。全員刈り取らせて貰うね」


 刹那、少年のような魔族が私に迫ってくる。私は冷静にドーム状の防御魔法を展開し、相手の攻撃を完璧に防いだ。


 だが、あくまで私を足止めしたかっただけのようだ。


 他の四人の魔族がウェイド辺境伯とエリックに迫ってくる。


「っつ!!」


「あっぶね!!」


 ウェイド辺境伯は剣で防ぎ、エリックは弓矢で魔族を射止めた。


 なるほどね。どうやらこいつらや、数で勝負しようとしてきているようだ。


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