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24.件の場所へ


 翌日。私とウェイド辺境伯は魔族が出入りしていたという場所の探索のために、パーティを組むことになっていた。


 ギルドに集まり、ギルドマスターの前に立つ私たち。ちなみに、探索部隊は私とウェイド辺境伯だけじゃない。


 隣を見ると、緊張した様子のエリックも参加していた。


 ギルドマスターはくいとメガネを上げて、冷静に私たちを見る。


「無事集まってくれて何よりだ。今回の目的は理解しているだろうが、魔族が出入りしていたであろう洞窟の探索だ。本来ならば、シセリア単独での依頼だったのだが」


 ギルドマスターはウェイド辺境伯とエリックの姿を見る。


「彼ら二人からの強い要望があった。それに、万が一シセリアが敗北した場合、単独だと生きて撤退は不可能であり、それであればシセリアとの行動に比較的慣れている二人をあてがうことになった」


 ウェイド辺境伯とエリックは、その言葉を聞いてふふんと笑う。全く、二人は私に甘いんだから。でも、万が一何かあった際の手助けはかなり助かる。


 それに、彼ら二人に常にバフを付与し続ければ、私以上の戦力にはなり得る。


 ある意味、三人パーティはありがたいとも言える。


「君たちには回復薬などの薬を我々から支給する。必要に応じて、使用したまえ」


 そう言って、控えていたギルド職員が私たちに薬を手渡してくれる。なるほど、ここまで色々としてくれるものなのか。


 まあ、この領地の今後に関わってくることなのだから、ここまでして貰えるのも当然と言えば当然ではあるが。


「以上。君たちは我らギルドの筆頭級エースだ。存分に働き、最高の成果を上げるのを期待している」



 ギルドマスターの激励の後、私たちは件の洞窟へと向かおうとしていた。場所は把握しているため、あとは馬車で近くまで向かおうということになっている。


「馬車じゃなくて、転移魔法で行きましょう」


 馬車に乗ろうとするウェイド辺境伯とエリックに対して、私はこんな提案をした。


「師匠! 転移魔法ってかなり高度なやつだぜ? 使えるやつなんて見たことねえ」


「うーん。でも、シセはできるんだよね?」


 あれ。もしかして、疑われているのだろうか。まあ確かに転移魔法は高度なものだ。私はまだ才能があったから、ある程度の努力でできるようになったのだが、疑われる理由も納得できる。


「できますよ。場所も分かっていますし、これなら御者さんに被害が出るような可能性もないと思います」


 その言葉を聞いて、ウェイド辺境伯とエリックはふむと頷く。


「それじゃあ頼むよ」


「師匠、よろしく!」


 ということなので、私は転移魔法を発動した。パッと目の前が輝きだし、大きな魔法陣が展開される。


「行きましょう」


 私がそう言うと、恐る恐る二人は魔法陣の中に入っていった。


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