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17.かくれんぼ事変

 ひとまず私たちはじゃんけんをして、誰が鬼をするかを決めることにした。とはいえ、自分で言うのもなんだが、私はかなりじゃんけんが弱い。


 どれくらい弱いかと言うと、給食のデザート争奪戦で一度として勝ったことがない。保育所の頃から中学生まで全て含めてだ。


 あまりにも荒唐無稽で誰も信じてくれないのだが、間違いのない真実である。


「あ……」


 そして案の定負けた。敗北数更新である。


 というわけで、私が鬼になった。目を覆って、ウェイド辺境伯や少年が散っていく足音を聞きながら数字を数えていた。


「よし、探すか」


 目を開き、気合いを入れる。なんたってこの公園はかなり広い。ともなれば隠れる場所は大量にあるわけで、探すのは一苦労である。


 とはいえ、そこまで遠くはいっていないはずだ。三十秒しか数えていないのだから、たったそれだけで遠方に隠れるのは不可能。


「……魔法を使ったら一発だけど、ズルか」


 探知系の魔法でチートをできなくはないが、さすがに諦める。だが……まあ使う必要はなさそうである。


「ウェイド辺境伯……」


 爆速でウェイド辺境伯を見つけてしまった。というのも、茂みの中に隠れてはいるのだが、思い切り頭が出てしまっている。


 それも、目を輝かせながらこちらを見てきている。


 これ、逆に罠だろうか? なんだかとても罠なような気がしてきた。


 とはいえ……指摘しないとゲームは進まないだろうし。


「ウェイド辺境伯、見つけました」


「え!? 嘘!?」


「ええ……」


 どうやら罠ではなかったらしい。ウェイド辺境伯は悔しそうにしながら出てきて、「すごいねシセ。もしかして魔法でも使った?」と聞いてくる。


 いやいや……ここまでくるとすごいのはウェイド辺境伯である。


 完璧人間にも見えるウェイド辺境伯ではあるが、どうやら少しポンコツなところもあるらしい。まあ弱点がかくれんぼというだけで、何かあるわけでもないが。


「いや〜次は坊主だね。僕は応援しながら見ているよ」


「ふふん。すぐに見つけます」


 私はそう言って、少年を探し始めた。遊具の影、木々の影、茂みの中。


 あらゆるとこをを探し続けた。


「……」


 しかし、見つからない。確かに私の時代にもかくれんぼ系がすごく上手い人はいたが、これ以上探す場所なんてありそうにもなかった。


 その様子を見ていたウェイド辺境伯は焦った様子で私に聞いてくる。


「シセ、さっきあそこの遊具の裏見に行ったよね?」


「は、はい。全て確認しました」


 その言葉を聞いて、ウェイド辺境伯の表情が険しくなる。


「おかしい……あそこに隠れていたはずなのに」


 ウェイド辺境伯の言葉で察して、私はすぐに探知魔法を発動する。


 ……少年の気配が公園の外にある。それも、かなりの速度で移動している。


「ウェイド辺境伯! 公園の外です! しかも……到底あの子が走るよりも速く移動しています!」


「なっ!? シセ、追うぞ!」


 私は頷き、急いで気配を追う。不味い……まさか辺境伯領でこんなことになるとは思わなかった。


 間違いない。少年は今、誰かにさらわれている!


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