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15.セラスが語るには

「ほとんどかぁ……」


 私は仰け反りながら額を押さえる。しかし……まさかここまで広まっているとは。まあでも、相手は一国の王子なのだ。


 王子がしたことがこの速度で広まるのには納得がいってしまう。ともなれば、王都の方ではちょっとした騒ぎになっているのだろうか。


 いや、でも私程度が婚約破棄されたところで何かあるとは思えないが。


 とりあえず、気になるのは確かなので彼女から色々と話を聞いてみようか。


「やっぱり、向こうでは騒ぎになっているんですか?」


 聞くと、彼女は何度も勢いよく頷く。


「もちろんです! シセ様がこちらへ来て以降、王都の結界はアンナが維持しようと動いたようですが、全く上手くいっていないようで。アンナはもちろん、ルヴィン王子への糾弾が飛び交っているようです!」


「ははぁ……やっぱりか」


 アンナが代わりに結界を維持するだとかなんとかを言っていたが、到底アンナにはできないと思っていた。


 自分が予期していた問題が、こうも早く明るみに出てくるとは。


「ですが……少し厄介そうでして」


「何がですか?」


 セラスは言い辛そうにしながら口を開く。


「王都の人間もシセ様、もといシセリア様を連れ戻すために動くべきだという話題が大きくなっているようでして……もしかしなくても、面倒事になるかもしれませんね……」


 なーるほど……頭が痛くなってきた。もうここまで来ると頭痛が痛いとでも言って良いだろう。


 この様子だと、ルヴィン王子が国王から何か指示されていてもおかしくはない。しかしルヴィン王子本人が来るとも思えないが、事態が事態である。


 万が一本人がこちらまで来ると考えると……はあ、またあの人に会わなければならないのか。


 考え込んでいると、セラスがけらりと笑う。


「まあでも考えすぎかもしれません! 国家が各地から聖女を集めて結界の維持を試みてると言う話もあるので、杞憂かもです!」


 うーん……まあ、それならいいが。王都はとにかく大きいし、敵からも狙われやすいから結界を常に維持しようともなると並の聖女一人じゃ無理だ。


 どれほどの聖女が集まるかは分からないが、複数人でやればどうにかなるかもしれない。まあ……私から動いてどうにかするということもできなくはないが、それだとルヴィン王子に都合がいいだけだ。


 さすがにそれは私もしたくない。


「ともあれ! シセ様なら大丈夫です! 何故ならシセ様だから!」


 しかし、このセラスという人は私に対する信頼が凄まじいな。その気持ちはとても嬉しいから、悪い気は全然しないけれど。


「あ! そういえばウェイド辺境伯がこんなこと言ってましたよ!」


 セラスが指をピンと立てる。


「『明日は例の坊主とかくれんぼでもしようかな』って! 可愛いですね、ウェイド辺境伯も!」


 かくれんぼ……ああ! そうだった、確かギルドに向かう途中にあった男の子とそんな話をしていたっけ。やっぱり、あの人は領民に優しいんだな。


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