表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/60

14.メイドさん

 エリックとは一度解散し、私たちはウェイド辺境伯邸にまで戻ってきていた。時間はまだ余裕はあるが、念には念をというウェイド辺境伯の気遣いによるものだ。


 私は自室に戻って、軽く本を読んでいた。というのも趣味の読書というよりは、ここ近辺に存在する魔物について色々と探ってみようと思ったからだ。


 まあ……読んでみた限りだと、特別何か変わったようなものはない。本を読むだけで解決するならば、もう既に解決しているだろうと言えばその通りなのだが。


 コンコン。


 そんな音が部屋に響いた。誰かが部屋をノックしたのだ。私は小首を傾げる。ウェイド辺境伯だろうか。


「どうぞ」


 とりあえず言ってみると、「お邪魔します」という声とともに一人のメイドが入ってきた。黒髪のメイドはぺこりと頭を下げた後、私に迫ってきた。


「あ、あの! わたし、シセ様とお話してみたくて!」


「え、ええ!?」


 あまりにも唐突で、私は思わず引いてしまう。


 一体何用だろうか。


 私がそんな目で見ていると、メイドは慌てて説明する。


「あ、わたしセラスと言います! ここのメイドをやっていて、シセ様のファンです!」


「ふぁ、ファン?」


 私は困惑してしまう。別にファンができるようなことはしていないし、こんな同性に好かれるようなこともしていない。


 悩んでいると、セラスがむふふと笑う。


「まさかシセリア様がここにやってくるなんて……あ!! すみません秘密でしたよね! 大丈夫です、ここ付近に人間はいません!」


 そこまで言われて、やっと理解する。なるほど、この子は私が聖女をやっていた時代のファンなのだ。


 というか……尚更その時代の私にファンなんていたんだな。正直全く知らなかった。


 まあ悪い気はしないのは確かだ。人に嫌われるより好かれる方がよっぼど難しいからな。よくもまあ自分はファンなんて抱えることができたものだ。


「ですが……色々とあったんですねシセ様! わたし、あのアンナってやつが許せません! 妹とはいえ、死罪ものですよ! もちろん、シセ様の元婚約者、ルヴィン王子も!!」


 え……なんかやけに詳しいな。私、そんなこと誰かに話した記憶なんてないんだけど。


「あの……どこまで知っているんですか?」


 私は恐る恐る聞く。セラスはにこりと笑い、


「ほとんどです!」


 と言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ