12.妥当じゃないのですが
「え、ええ!?」
ギルドまで無事戻って来られた私たちは、ギルドの受付嬢に依頼の報告をしに来ていた。しかし受付嬢は私のことを言うなり、驚きのあまり言葉を失ってしまっているようだった。
これくらいで……とも思わないが、他のみんなの反応を見ていて分かった。私の能力はあまり普通ではないようだ。
受付嬢はあわあわとしながら、どうにか依頼の処理をしていく。
「シセさん……もしこれが本当なら、今すぐにでも冒険者ライセンスを付与して、正式に冒険者になってほしいのですが……」
そんなことを言ってくる受付嬢。冒険者ライセンスということは、本当に雇われの冒険者になるということである。
まあ……なってもいいけれど、しかし私はあくまで聖女なのであって、冒険者の業務ができるかと言われると怪しい。
「籍だけでもいいので……! お願いいたします!」
「ええ……」
私が困っていると、隣に立っていたウェイド辺境伯が笑う。
「別にいいじゃあないか。この様子だと、本当に籍を置いてほしいだけらしいし、多分君がいるだけで他の冒険者のモチベも上がるだろうしね」
ウェイド辺境伯が言うと、受付嬢が何度もこくこくと頷き始める。なるほど……まあそれならやってみてもいいかもしれない。
私がいるだけで本当にモチベが上がるのかは謎だが、まあやらないよりかはやった方がいいくらいのことだろう。
「分かりました。いいですよ」
私がそう言うと、受付嬢はパッと表情を明るくする。
「本当ですか! ありがとうございます!」
というわけで、私は冒険者ライセンスを手に入れることになった。ライセンスカードを眺めてぼうっとしていると、ふと気になることが書いてあった。
それは冒険者ランクという項目である。
そこには、Sランクと書かれていた。
Sランク……Sランク……どう考えても最高ランクじゃないか?
私が困っていると、エリックがちらりと見てくる。
「やっぱ師匠はSランクからかぁ。さすがだな〜」
「こ、これ。一番上のランクだよね?」
「そうだな。妥当だよな〜」
何が妥当なんですか? どこも妥当じゃないんですが。