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『貼りついた感覚』――プロローグ
『貼りついた感覚』――プロローグ
いつの頃からだったか、はっきりとは思い出せない。
気づいたときにはもう――足の裏に、違和感があった。
右足。かかとでもなく、つま先でもなく、その中間。ちょうど土踏まずの、少し外側。
そこに「何か」があるような気がしてならなかった。
歩くと、薄い膜のような感触がついてまわる。
裸足でも靴を履いていても、同じだ。
まるで、透明なフィルムが1枚、皮膚に貼りついたままになっているような――そんな、誰にも説明できない感触。
風呂に入っても落ちない。
指で触れても何もない。
医者にも相談したが、「気のせいですね」と片づけられた。
だが、自分には分かっていた。
これは、“気のせい”なんかじゃない。
この感触は、日に日に強くなってきている。
ただの違和感じゃない。
“何か”が――
俺の足の裏から、体の奥へと、ゆっくりと入り込もうとしている。
そして、それが始まってからだ。
夢の中に、あの“場所”が、毎晩現れるようになったのは――。