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プロジェクト:異世界isekÆi  作者: 魔法烏新聞 幽玄会社
第四部 異世界×駆け出し漫画家 前編
89/124

第九話 長寿のエルフは気が利くらしい




   【新たな転生者 辰川翔也】




髭に跨ること小一時間。


「えー、本日はリュウノヒゲ009便にご搭乗いただき誠にありがとうございます。当フライトは世界樹海を抜け、キャラメルシティ近くの荒野に着陸予定です。もう後2時間ほどのフライト予定です。ごゆるりと」



等とセガラが少しふざけ始める。

結構な高さだが、何か結界のような物が辺りに張られ、向かい風も上昇時とは違い無い。

少し内股がピクついてる気もするけど、この絶景、さすがに文句は出ない。強いて言うなら髭。



「ねー、暇なんですけどー!!」



お、珍しくジェムがぶーたれてる。かわええな。



「じゃあー、エルフしりとりするか?」



なんやそれ



「おっけー!!」

「よーし、行くぞ!!」

「「エルフエルフエルフエルフセルフエルフエルクエルフトゥエルブエルフエルフエルフ…」」



なんでいきなり二人で一斉にエルフ連呼してんの?

しりとりっつったやん?



「おい、トゥエルブは禁止だろ」

「えー、この前あった木霊達はアリって言ってたよ」



わからんわからん

ルールわかってないそばからローカルルールの話をするんちゃう



「トゥエルブなしの、シェルフ有りだろ普通」



ごめん、何言ってん?



「でたー…、もうじゃあそれでいいよ!」


「よーし、行くぞー」


「「エルフエルフエルフセルフシェルフエルフエルク…」」


「あーくそ!!負けたー!!!」


「やりー!!俺の勝ち!!」



ごめん、何やってん?

二人のエルフの連呼を聞かされることしばし。

異世界はすでに年末らしく話題はそちらに。



「まぁー、年末と言えばやっぱり魔導水晶で見る年末特番だよなー」



へー、なんかエルフも人間とおんなじ様な年越し行事やねんな



「やっぱりエルフクイズ正解は百年後!が面白いよな!」



違った。

ちょっとお兄さんの知ってる番組とは規模感もノリも全然違った。



「今年は確かエルフスプレスリーが言ってた百年物のボジョレーの値段賭けてたよねうちら!」



まぁ見た目はロリショタでもまぁまぁ高齢なんやろうなこの2人



「今年こそは負けねーぜ!!」


「負けた方は八年間洗い物係だからね!」



だから一々罰ゲームの時間単位えぐいて

等と時間を潰し、気がつけば目的の街付近に到着。

髭から降り、街へ歩いて向かう。

街に着く頃には夕暮れ、てかそれにしてもさすが上空、西陽が眩しかったー…



「何食べようか?」


「カラペボ!!」


「ピスタチオ!」


「ウィスキー!」



どれも飯ちゃう。



「翔也君は何が食べたい?この街なら何でもあるよ!」


「セガラのお財布事情では食べれるものは限られてるけどね!」



こらヂェム、現実味のあること言わないの。お兄さん危うく寿司とか言いそうやったでしょ!



「なんか、適当にうどんとか…」


「うどん?」


「なにそれー!?」


「確かうどんは鳥のをご飯の上に焼いて乗せ、卵と閉じたもんじゃなかったか?」



それはそれでうまそうやな。

ただの安価で上手い庶民の味方やで。なおおかずトッピングはかしわ天、青葉、れんこんがベスト(異論はしぶしぶ認める)



「なんだか美味しそうだけど…、あったかなー…?」


「あ、食べモグに評価星4のうどん屋さんあるよ!」



異世界もおんなじシステムか



「星4か…、意外と3.8位のほうが当たりだったりするがのう」



異世界もおんなじシステムか



「そこにしよーぜ!!!」


「えっとね、こっち!」



スマホ片手に道案内するロリエルフという中々な光景に導かれ我々勇者はうどん屋へと向かった…

と、道中セガラが前方に立っていた一人の男に声を掛ける。ん、あれ日本人ちゃうん?



「もしかして君翔也君と同じ日本人かい!?」



セガラの尻尾と耳がブンブン揺れて可愛い。



「あ、え、はい。え?、はい。」



絶対陰キャや。俺も同じ反応になるからよくわかる。



「奇遇だなー!!僕はセガラ!こっちはヤックとヂェム、アンソニーに、そして日本人の翔也君!!!」


「夜露死苦!!!」


「よろしくなーーーー!!!!」


「よろしく頼むぞい」


「あっ、ども」


「うす。」



字面だけにしてもどいつが日本人がわかる。なにせコミュ障。



「僕達これから夕食のう・ど・ん!を食べに行くところなんだけど、よかったら君もどうだい!?」



セガラはん、コミュ力高けぇー…



「あっ、えーっと…、その…」



日本人は少し後ろに隠れたようにしている女の子の方をちらっと見る。あ、なんかお邪魔やったっぽい?

それにしても随分としっかりした厨二病をお拗らせになられた天使……、天使!?

なんやと!?天使!?いやでもあの輪っかほんまもんやんな…なんか光ってるし、浮いてるし…、ネオンのインフルエンサーが好きそうな照明とは明らかに光の種類が違う…なんか、光が細い線で細かく刻まれてる…



「…、ねーこれから行くお店屋台らしくて、店主さんキャラメル街の人じゃないから多分大丈夫だよ?」



何やらヂェムがパタパタと天使の女の子の方に飛んでって説明している。なんか凄い神々しい光景を俺は目の当たりにしてるような…



「そ、そうですか。それなら…」



天使っ娘は何か納得したみたいやけど、なんかあんの?

東京の薄味舌に合わんわーみたいな?



「安心しろよ、最悪俺等が幻影魔法で店中の人間の脳みそパァにしてやるからさ」



なんかヤックがものすごい怖い事言い出してんねんけど、え?



「はぁ…、ヤックって本当に子供!そういう問題じゃないの!デリカシーないなー!!!」


「なんだよ!ぶっちゃけそのほうが早ぇだろ!大体あの時だって!」


「はいはい!二人共!お腹減ってイライラするのは分かったから!とっととうどん屋へレッツGO!!!」



一瞬剣呑な雰囲気になりかけたロリショタエルフを止めるセガラ。

正直こういう人尊敬する。なんか喧嘩とか、気まずい雰囲気を一言で空気の入れ替えするみたいに変えれる人。

うどん屋に着くまでに自己紹介を済ませる。



「ねーお名前なんて言うのー?」


「あ、俺はケントです。」


「…、私の事は今は適当にめ組のひととでも呼んでください。」



デカグラサンか。

にしてもなんか訳あり感満載やな、後でこっそりセガラに聞こうかな



「なげーよ、なんか短いの無いのー?」



ヤック、多分空気を読むべきやで。



「じゃあ、気軽に天才魔法少女でも構いませんよ」



うん、読まなくてオッケー。

こっちはこっちで問題児やった。

ま、取り敢えず腹ごなしにしましょか。セガラパイセンが奢ってくれるらしいし!



それにしてもイマドキ屋台とは風流やな。

着いたそこは街の外れ。さっきまで歩いていた『inn』とか『休憩処』の看板が多く並ぶ通りの先には小川が流れていて、そこに提灯を付けた屋台がぽつんと湯気をミニ煙突から登らせてやっている。

すでに揚げ物と、出汁の香りが鼻を包む。セガラは隣でよだれを垂らし、ロリショタエルフ達は何か喜びの舞的なものを踊ってらっしゃる。



「おっちゃん!俺うどん!」「あいよ!


「店主、取り敢えず熱っついの一本つけてくれ」「あいよ!」


「私天ぷらうどん!」「あいよ!」


「僕も天ぷらうどんにしようかな、後煮卵トッピングで!」「あいよ!」



俺何にしよかな、やっぱここは通ぶってとろろうどん…、いや、牛すじうどんかな「あいよ!」

なんで心を読めんねん



「あ、じゃあ僕も天ぷらうどんで」「あいよ!」


「私は天ぷらうどんにおにぎりセットもください!!」「あいよ!」



結構な人数だが、屋台のカウンターとは別に用意よく外に竹のテーブル席も用意してある。

俺とアンソニー、ヤックはカウンターに座った。



「じゃ、まあ乾杯じゃな!」



それぞれソフトドリンクなども頼み、各々が長旅の疲れを癒し始める。



「いやー、それにしても明日は内ももが筋肉痛じゃな…」


「えー、情けなーい!私全然余裕だったよー!」



実を言うと俺も歩き出してから内ももと首の後ろがやばいことに気づいた。



「それで、君は日本の何というところから来たんだい!?もしかして上下総かずしもうさの国かい!?それとも夢の国!?」



おんなじな、そこ

前の転生者はまじで余計な事しか吹き込まん



「あ、一応東京ってところなんですけど…」


「私東京知ってるー!!確かその国にある塔に行ったら『人がゴミのようだ!』って言わなきゃいけないんだよ!」



多分そのアマツさんはツイ廃やな。多分やけどな。



「あと確かカボチャの祝日にはお化けの格好してトラックをひっくり返す低脳ザルが出現するって言ってた!」



ロリエルフ、取り敢えず忘れなさい。そして三鷹の森に行ってきなさい。いいとこもいっぱいある。



「僕の居たとこ結構郊外の埼玉ってとこに近かったからなー…」


「ねー!うどん美味しい!!」


あ、陰キャのリプが宙に舞った…


「上手いな!チュルチュル」


そうだなショタエルフ


「最高の喉越しじゃな!グビグビ」


あんただけなんか違う。いつの間に生も頼んでたんや


「どう?美味しー?」


不安げに厨二病少女の顔を覗き込むショタエルフ。眼福。


「あっ、美味ひいれすね!ズルズルッ!!」


意外と食うな、さては。てかたまにいる摂取量と体の線の細さが比例しないタイプの人間はなんなん?まじで天使なん?この娘?


「おいセガラ、何遠慮しとんじゃ、御主も飲まんか!」


「あ、いや僕は今晩書き上げなきゃいけない原稿が…」


「酒飲めば執筆も一瀉千里いっしゃせんりと捗る!それにドワーフと竜の注いだ酒は飲めば髭と寿命が伸びるというじゃろ、ほれ前祝いじゃ」



それであんな髭が生えてこられても困る。

腹ごなしを終え、ご満悦の俺等、すっかり出来上がった大人組。

セガラは昭和ドワーフの酒ハラに呆気なく敗北を期し、ほろ酔い加減で「これから宅飲みだー!締切なんて知るかー!」とヤケクソの様子だ。

なんて既視感。いやだわ。



「本当にご馳走様でした。このお礼は必ず…」



ケント君がそろりと帰ろうとする。



「まぁまぁ、夜は始まったばかりじゃないか?どうせ泊まるところもまだ決まってないんだろう?うちに来なさい!ガシッ!」



ケント君の肩に手を回し懐柔を試みるセガラはん。



「そうじゃ、一期一会、次会うのはいつかわからんのじゃから今日はとことん飲むぞー!!」



反対側から両脇を固めにかかるドワーフ。完全な酔っ払いや…

でもケント君はそんな嫌そうにしていない…と思う。さっき話した感じやとマジで泊まるところは見つかってないらしいし、それに同じ陰キャやからわかる。

さっきの言葉の中にあった、名残惜しいなって気持ちがな。

こうして皆で宅飲みをする事になった。こんな異世界も悪くはない。



「いいのか?セガラまたウォルクさんにカーカー言われちゃうぜ?」

「良いんじゃない?いつものことだし」



とエルフ達がヒソヒソ話しているけれど多分セガラは聞いてない。まぁ後はあの天使っ娘やけど…



「お父さんとお母さんに連絡出来るなら一応説明とかいれるけど、てかそもそもこんな時間まで外おって大丈夫なん?」


「そ、それは…」



言い淀む天使っ娘、あれ?もしかしてガチの家出少女やったりした?



「ね、大丈夫だよ!皆聖戦の事は知らないし、私たちも似たようなもんだから!!」



ロリエルフの一言で天使っ娘は顔を明るくする。

なんかわからんけど事情があるんやろな、まぁ俺も来たばかりで何も知らんし、大丈夫、邪険にしたりはせえへんよ。ケント君も。

そもそも陰キャは喋らんしな。









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