第七話 竜のチョビ髭
「「「たっだいまー!!!!」」」
ロリショタエルフたちが口元にそれは盛大にチョコソースを付けて帰ってきた。カワエエな。
「あら、セガラちゃん達もう行くの?」
何やらいそいそとポッケに鍵なりを詰め込んでいる鍛治部のアンソニーを見ながらオカマドワーフは俺等が出かけることを察したらしい。
てか、だからコンビニ行くノリでその世界樹っていくところなん?
「うん、急に押しかけてごめんねエディー。」
「あら良いのよ。また来てちょうだい。お店の方にも…ね♡ムチュウ」
わああ、ごっつい投げキッス…
「翔也君も今度は一人でおいでね♡ムチュウ」
あ、お構いなく。ほんと。
「じゃあ行ってくるぞい」
あ、ほんまに行くんか。
「その前に…、夫婦阿吽の呼吸!!夕方!!帰ってきたら晩飯何が良い!!??」
いきなりオカマドワーフが流行りのアニメみたいなことをいい出した。
「なんでもい―」
あ、アンソニー…、その返しは良く無…
「阿吽の呼吸だっつんってんだろ手前!!!!!なんだ?主婦なめてんのか?毎晩の献立考える辛さをその腹筋に叩き込んで向こう2週間飯食えねぇ体にしてやろうかあ゛ぁ?!」
アンソニーにオカマドワーフのボディブローからのラッシュが決まる。
「くっ…ならば…夫婦喧嘩の間の深呼吸!凝ってる、肩?すき焼きなんかどうじゃ!!」
あー…、それも…
「手間がかかるわー!!!!!この安月給が!!!!豚か?豚ですき焼きやんのか?あぁ?!?!?」
我が家の光景にも少し似てんな、すき焼きだけに、煮てんな…、あ、うそうそ、エディーはん睨まんとって
「し…、生姜焼き…、かな…パタ」
世界樹行く前にヒットポイント零なってんで。
茶番劇を終え、セガラを先頭に、鍛治部、ロリショタエルフ、俺と続く。どこ向かってんの?まさかRPG的に歩いていくわけちゃうよな?
「世界樹で何買うー?」
ロリエルフ、だからそこはコンビニなん?もっとなんか神聖な場所何ちゃうの?
「まー、バリバリ君と…、あとは「おーい、粗茶!」と「ほおでんのちくわぶ」?」
コンビニやん
「翔也君、侮ってはいけないよ。バリバリ君と「ほおでんの白滝」を食べると通電性が高くなり人によっては電子が目に見えるようになるからね。」
めっちゃ異世界やった。
「わしはHarpyの十年モノに、鼠崖ダニエルじゃな」
なんかわからんけど多分ウィスキーやな
「しょーやは?」
言ったこと無いからな…、なんかステーキみたいなん食べたい気もするけど…
「さ、皆!準備はいいかい!?」
鍛治部のアパートの裏庭的な所につくと、タープを翻しながらセガラはニンマリと笑った。何やろ嫌な予感がする。
タープの下には3、4メートルの黒い…ヒゲ?
「久々のドライブじゃな」
いや、ヒゲやん?
「セガラお願いだから安全運転でね?」
いやだからクソでかい髭やん?
「さ、ヤック君、困惑している翔也君に説明してあげて!」
ぜひお願いしたく
「しょーや、これはオヤジ竜のチョビ髭だ!」
だから髭やん、後もうちょっとネーミングセンスなんとかならんかったか?
バイオリンの弓もクジラの髭やけど、ずいぶんオシャレに名前つけてもらったみたいやで?
「まぁまぁ、取り敢えずこれに跨って!」
クソでかい横に倒れた木みたいな髭に促されるまま跨る。
「それじゃ…」
「「しゅっぱーーーつ!!!!!しんこーーー!!!!」」
そして髭が飛んだ。空を。ロマンもクソもない。
「翔也君!!しっかりアンソニーに捕まっててね!!」
うん、いや、まぁこの鼻毛真拳を彷彿とさせる状況にはもうツッコむまい。
向かい風がまぁまぁ強くて、眼下の街並みがどんどん小さくなる。
あぁ、足元にあるのが髭じゃなかったらなぁ…
まぁ、俺の両脇にひしっとつかまってるロリショタエルフが可愛いから良しとするか。
「この髭はね、かつてこの異世界を創造した竜の髭なんだ!!!本来乗り物でも何でもないんだけど、魔力を通すと自由に飛べるから便利だよね!!!」
向かい風の中セガラが大声で解説を付け加える。
うん、そら乗り物ちゃうよな。
だって髭やもん。