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プロジェクト:異世界isekÆi  作者: 魔法烏新聞 幽玄会社
第四部 異世界×駆け出し漫画家 前編
83/124

閑話 嫌な予感





 異世界に来て一週間、烏が来た翌日。

俺たち一行はようやく原稿の執筆から解放されてこれでもかっちゅうくらい晴れ晴れした顔のセガラを先頭に、この廃教会から一番近い街、シンシナ・シティーへ向かおうとしてた。

その前夜は不気味なくらい静かな満月の夜やって、

なんでか知らんけど寝付けんくて、

ふとそういえばセガラがいつも夜遅くまで籠もりっきりの地下LABOってまだ見たことなかったなーと思って地下の部屋をノックしに向かった。

部屋の扉をノックしても返事が無かって、また寝落ちしてんなら布団くらいかけたげようかな、

そんな軽い気持ちで部屋の扉を開けてしまった。


その扉の先にナニが待ってるとも知らずに…。




その部屋には噂では現実世界換算で車3台位買えるという噂の大型魔導具水晶デスクトップが6台、車にして18台分2列にして並べてあって、セガラはその前で何をするでもなくアームチェアーに座って画面をじっと眺めてた。

画面にはものすごい勢いで色んなcodingの文字配列が流れてたり、

色んなウィンドウが開いては閉じて、開いては閉じてを繰り返していた。


セガラがそのアームチェアーをくるっと回して、こちらをじっとみる。

なんか怖い。取り憑かれた狂気マッドの《・》科学者サイエンティスト、そのものやった。


「あ、ご、ごめん。ノックしたんやけど」


「…。」


セガラは返事もせえへんでこっちをじっと見てる。

なんかやばい雰囲気を察知して「お邪魔しましたー」って部屋を出ようとした時、ふとどうしても気になるものが大型魔導水晶のウィンドウの一つに映し出されている。


「そ…、それは…」


「…。どうやら翔也くん、君は見てはいけないものを見てしまったようだね。」


セガラは一瞬ハッとした様な表情をして、それから深刻な顔でそう告げた。


「ま、まさか…」


「疑問に思わなかったのかい?

なぜ異世界に転移してきた意識の無い君の居場所にたまたま偶然僕達が居合わせて、君を介抱し、今日というこの日の夜まで僕達が親切にしてきたのかを…。

丁度良かった、今宵は満月、狼男である僕の生命活動が最も活発になる日だ。

そして幸か不幸か、ヂェムとヤックは今ぐっすりと寝ている。

彼等にはこれから起こる状況はあまり見られたくないからね。」


「ま、まて…、それじゃあまさかあのアマツってやつも…!!??」


「そう、彼もこの日を非常に楽しんでくれたよ。ククク」


「ク、クラパルスさんはどうなんや!?」


「彼は意外と堅物でね…、こういう事は本当はしたくないと今は言ってはいるが、なぁに時間の問題さ。」


「さぁ、後は君だけだよ。辰川翔也くん…

君が来てくれて本当に嬉しいよ…」


それまでの温厚なセガラとは違いこの日のセガラは獰猛な笑みを浮かべ、体中に、正確には体の一部に全身の血液を巡らせていた。


「俺は信じてなかった訳ちゃうねん、セガラ…。

けど聞かせてくれ…、なんで黙っとったん?

なんでこの異世界にも萌絵があるって黙っとったん!?!?!?!?」



画面に映し出されとったのはあられもない姿でポーズをとっている妖精族エルフやら、獣人族ビースター、果ては炭鉱族ドワーフの筋肉の引き締まったイケメンすぎるおにゃの子達。

とんでもない速さで処理が行われてるcoding等々は恐らくこの異世界にまだない萌え絵を魔工智能で生成する為のもの。

さっきの画面に映っとったんはその内の一枚。

小型魔導水晶スマホもろた時に俺等が使うみたいなインターネットサイトが無くて、当然ウフーンなサイトも無いと知って密かに絶望しとったのに…!!



―以下これまでの会話を()括弧内のセリフも含めてもう一度お楽しみください



「疑問に思わなかったのかい?

なぜ異世界に転移してきた意識の無い君の居場所にたまたま偶然僕達が居合わせて、君を介抱し、今日というこの日の夜まで僕達が親切にしてきたのかを…。

丁度良かった、今宵は満月、狼男である僕の生命活動が最も活発になる日だ(魔工智能学習チップの強化を図るには今日がうってつけってことだね)。

そして幸か不幸か、ヂェムとヤックは今ぐっすりと寝ている。

彼等にはこれから起こる(萌え絵の生成の)状況はあまり見られたくないからね。」


「ま、まて…、それじゃあまさかアマツって奴も(これを知ってお楽しみしとったんか?!?)…!!??」


「そう、彼もこの日(の魔工智能生成でできた画像)を非常に楽しんでくれたよ。ククク」


「(版権問題とかややこしいその魔工智能生成について)ク、クラパルスさんはどうなんや!?」


「彼は意外と堅物でね…、(立場上)こういう(クリエイターの仕事や権利に直接関わるような)事は本当はしたくないと今は言ってはいるが、(彼も手作り、ハンドメイドの良さは別にあると割り切るタイプで、創り手淘汰なんて起きるはずがないと信じてる派だから)なぁに時間の問題さ。」


「さぁ、後は君だけだよ。辰川翔也くん…

(2次絵に造詣の深い)君が来てくれて本当に嬉しいよ…」




この後二人で朝までめちゃめちゃ至高の種族、ポージングについて語り合った。





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