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プロジェクト:異世界isekÆi  作者: 魔法烏新聞 幽玄会社
第四部 異世界×駆け出し漫画家 前編
82/124

第四話 ひょんな事から仕事が決まる




で、一週間三人の雑用しながら魔法の練習を教えてもらいなんやかんや。

一応一週間のハイライト。



・最初に召喚できたあのクソうざったいシカはあれ以来出せへんかった。


・一回だけ出現しそうになって黒いインクが宙に固まったと思ったら、地面に落ちて文字になって

「シカとさせてもらうわ、‘‘シカ’’だけにな|¢゜)チラッ」ってなった時はセガラに本気で猟銃はどこで買えるか尋ねた。


・シカの代わりに今度は真っ黒のインク液でできた芋虫、アリンコ、ハサミムシ等が出現。ロリエルフがちょっと可哀想な人を見る目でこっちを見ていたことに傷つくも、ショタエルフヤックは喜んで手にとって遊んでくれてたので良しとする。


・セガラが吸っているスィガーロという謎の葉巻タバコがやたら美味くて早くもニコカスになってしまってる件


・昼飯時にクラパルス・ウォルクという訪問者が謎にエモさのあるこの廃教会に来たこと←イマココ



「いやー、すいませんどうもご馳走になっちゃって…ヘヘ」


テーブルの上に乗っかったこのクラパルス、何を隠そうからすだ。

実は前々から気になっとった。

この謎にエモい廃教会の周りには夕方烏が飛んでることがある。

そこまではなんか厨二感も満載でめちゃめちゃいい感じやのに、こいつら「まほー、まほー」って鳴きやがる。

台無しや。

スィガーロを片手に1日セガラ達の雑用を終えて、夕焼けをバックに俺が黄昏れているそこは廃教会…

烏が上空を舞い始める…、彼等の不気味な鳴き声!


「まほー、まほー!」


なんっでやねん!!!!

全っ部ぶち壊しやないかっ!!!




で、この烏というのが魔法烏と言うなんの捻りもない名前の品種の烏らしく、毎朝夕に魔法新聞を配達しているらしい。

たしかによくよく思い出すとなんかちっちゃいショルダーバッグ下げて、ご丁寧にそこから新聞をはみ出させてやがったわ。

で、この新聞を作ってるのが魔法新聞無限会社。

世界中に支社があり、未だに電報使ってるアホな異世界では新鮮かつ信憑性のある情報を提供してくれる素晴らしい組織なのだと。


「で、私がそこの代表取締役をしているクラパルス・ウォルクという訳です!ズズーッ」


茶をすするな烏風情が


「な!烏風情とは結構な物良いですね!!?

ワタクシこれでも結構凄いんですよ!?

なんてったって世界中に支社のある企業のトップですからね!?トップ!?Cスィー・E・《イー》Oオー!!!」


にわかには信じられん、あとCの発音が絶妙にウザい


「ちょっ!セガラさーん!?何なんですか!?この口の聞き方も知らない小僧は!?!?」


「あはは、異世界転移者だよ。この前うちに現れてさ、中々頼もしいんだよ!この前も高位の精霊獣を呼び出してたし!」


「へっ、へー…、じゃあやっぱりあのアマツさん以来の逸材と言うことですか?」


「もしかしたらアマツ以上かもよー??あ、はいこれクラパルスさんの好きなカラペボ」


「あっ、どうもこりゃサクサクッ」


「そうそう!!しょーやすごいんだぜ!!!芋虫出したり!ハサミムシ出したり!!しかもそいつらめっちゃ下手くそなツーステップ踏むんだぜ!!!」


やめてくれるか、なんの褒め言葉にもなってないそれ


「へ、へー…、そりゃまた腹の虫も踊る魔法な訳ですな!?」


なんでちょっと食いついてんねんお前


「ワタクシこう見えて結構なトリじたですから、魔蟲まちゅうしょくには結構うるさいんですよ」


まて、魔蟲食はまだしもトリ舌ってなんや


「魔蟲食もブームが落ち着いてから暫くですから、最近は二重食感の良さも分かっとらんシェフが多いんですよー!

ほら、なにせワタクシ、トリ舌ですから、結構その辺厳し目に見ちゃうんですよ、ええ、トリ舌ですから」


だからそのトリ舌はなんやねん


「トリ舌のクラパルスさんに酷評付けられると溜まったもんじゃないだろうなぁー、シェフも気の毒に…」


セガラ、トリ舌の解説をお願いします


「まぁ、その辺はワタクシも厳し目に行かざるをえません!

例えレストランの売上がワタクシのレビュー後に激減すると分かっていても!

そこは!

一級トリ舌マイスターの誇りにかけて!です!」


お前等わかっててやってるやろ?


「それはそうとセガラさん、原稿の最終チェックはもうそろそろ終わりましたか?!」


「あっ、ごめんごめん。あとちょっとで終わるからもう少しだけ待ってくれるかい?」


「もー、本当は〆切先週だったんですよー?

まぁ、他でもないセガラさんの寄稿ですから、早くパパっとやっちゃってくださいなもー」


「へいこらさっさー!」


確実に転移者アマツが仕込んだフレーズを口にしてセガラは地下LABOに降りていく。


「で、翔也さんはこの異世界で今後の展望等は何かお考えなのですか?」


 あ、いや、そこは突かれると痛い


「翔也はね!異世界漫画家になるんだよ!!絵すっごい上手なんだから!!!」


「そうそう!!翔也の描いた四コマ漫画すっげぇ面白いんだぜ!!」


おい、やめい


「四コマ漫画…?」


「そう!今日もね!さっき昼御飯の前にちょっと描いてくれてたの!!!カチャカチャ」


ほら、危ないから、食器片付けは俺がやるから


「そちら拝見しても?」


「いーよ!持ってきてやるよ!パタパタパタ」


や、やめ…


―自分の部屋から俺がテキトー(といいつつわりかしガチ)に描いた四コマ漫画を持ってきたヤック


「はいこれっ!!」


「ほぅ…マジマジ」


「ふむふむ…ヨミヨミ」


「へぇ…、クアッ!!クアッ!!w」


そんな鳩メガネかけといて笑い方はちゃんと烏やな


「なるほど、絵で日常の些細な出来事を簡潔に!わかりやすく!かつ面白く伝える!素晴らしい着眼点ですな!」


いや、そんな褒められるとなんか逆にこそばい


「これは読者にも楽しんでもらえる、斬新なアイデアです!良かったらうちの魔法新聞初の四コマとして専属契約致しませんか!?」


なんで新聞に四コマないねん、基本中の基本やろ


「な!?ど素人でも思いつくあって当然のコーナー!?」


そこまで言うてへんがな


「まぁ、異世界転移者の皆様はユニークな方ばかりですからな…

アマツさんにも以前新聞42回畳めばロケットなる超光速移動旅客機が出来るとご教授いただきましたし…」


そいつと一緒にすんな

なるわけないやろ


「ワタクシもやってみたのですが、ものの数回で折り曲げられぬ硬さになりまして、やはり生来の魔力量が関わっているものと…」


魔力関係あるわけ


「しかし、アマツさんに目の前で実際に演って頂いてもらったものですから、やはり素質ですな」


あるんかい

いやまて、なんでロケットになんの?なんなんそれ?異世界は世界ごとあほなん?


「信じる者は救われると仰っていましたが、やはり才能のある方のお言葉には、なにかこう、光が宿りますな!」


もう2話くらいのええ話第無しやん


「で、専属契約の方、どうですか?

もちろん、きちんとした報酬はお支払させていただきますし、寄稿ペースも最初は月イチ位からで全然構いません!」


え、なんかいきなりの展開すぎて…

現実世界では全然見向きもされへんかったし…


「いいじゃん翔也くん!ものは試しだよ!

彼等は世界中にエージェントが飛んでるから、どこでも決まった場所にいなきゃいけないって訳でもないしさ!」


「お、セガラさん!最終チェック終わりましたか!?」


「うん、はいこれ。次回は二週間後だったかな?」


「はい!コラムの方も引き続きよろしくお願いします!」


なんか、セガラはやっぱ凄い人なんやなとちょっと尊敬する

新聞にコラムて


「翔也くんも今回から載せてみるんだろ?」


ふぇっ?


「お!確かに急がば回れですな!」


それはあかんやつや、善は急げな


「この四コマも面白いですし、これを載せてみて読者の反応を見ればさらに気が変わるやもしれませんぞ!」


「しょーや!!漫画家!!!」


「おめでとうしょーや!!」



なんか、圧に負けて俺は月イチ連載の異世界四コマ漫画家になることになった。




「じゃぁ、今後とも一つよろしくお願いします、えっと、ウォルクさんでしたっけ?」


「あーいやもう、ワタクシの事はクラパルス代表取締役と気軽に呼んでください、はい」


全然気軽じゃねぇよ


「でもウォルクが苗字なんじゃ?」


「いえ、まぁ話すと長くなるのですが、このウォルクという名字は一族軒並み嫌っておりまして…

まぁ、魔鳥族らしからぬ名字とでも言いましょうか、ワタクシはそこまで気にしてもないんですけれど、一応公式の場以外では名字は伏せる事が多いのです。」


異世界にも色々あるんだな


「あ、あと翔也さんにはこれを受け取って頂きたく。」


ナニコレ、羽根?


「こちら魔法烏まほがらす新聞社の業務にお関わり頂く方にお渡ししている、我が社の社員たちの汗と涙と誇りと、漁ったゴミ箱の粘液が詰まった魔法の羽根!!」


いるかドアホガラス


「というのは冗談でございまして、きちんと魔樹脂から精製した我らが誇る黒翼の羽根をモチーフにした魔導具アイテム!

まぁ、平たく言えばバッジの様なものでございます。」


「私もそれ持ってるー!!けどどこやったっけー!!」


おい、烏さんの汗と涙と粘液の結晶を無くすんじゃない


「はい!ヂェムさんには以前夏の質問コーナー、及び気付き投稿にて最優秀賞に選ばれたその副賞としてお渡しさせていただきました」


へー、ちなみに大賞の景品はなんやったん?


「あ、大賞は魔法烏まほがらす新聞社の朝刊1年半くらい無料契約でございます!!」


くらいってなんやくらいって

しかもゴリゴリのビジネスやないかい


「で、僕が寄稿してる特典で夕刊もタダにしてもらってるから毎日2回!

お金かからず我が家には新聞が届きます!!」


烏が朝も夕方も「まほーまほー」うるさいのはそのせいか!

にしても、羽根なぁ…、バッジ言われても付けるとこないしなー

この異世界に来てからはセガラに服を借りて、っぽくはなってるものの、未だTシャツ短パン小僧感は否めない…


「こちらきちんとした品質検査を通しておりますので魔力も通るのですよ!」


へー


「は、反応薄くないっ!?結構便利なんですよ!魔力通してみてください!!文字とか宙だろうとどこにだって書けるんですから!!」


え、嘘やん

そんな訳…


スラスラスラ


ほんまや


「フフン!!凄いでしょう!?凄いでしょう!?書き心地も上等な万年筆の如しでしょう??」


まぁ、感覚としてはあれやな、プリクラの落書きペンに似てるな


「ちょっ!?プリなんとかがなにかはしりませんが褒められてないことは伝わりますよ!!?」


まぁ、でも確かに宙に文字書けるのは凄いな


「わ、わかればいいんですよ全く…、イマドキの若い子にはハトハト困ったものですな」


なにちょっと「ほとほと」を「はとはと」にして鳥ジョーク挟んできとんねん


「まぁ、若い子に“ハッと”させられることも少なくはありませんが…」


もうええゆうねん。










翔也の小型魔導水晶スマホにクラパルス・ウォルクが登録された!!!

翔也の職業に異世界四コマ漫画家が追加された!!


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