第十六話 そのオーガ、凶暴につき
「kid.... that beret isn't just a hat....」(小僧、そのベレー帽はただの飾りじゃねぇぞ)
すんごい渋い声で目の前にいた誰かがそう言った。まだ生きてたー…
さっきの一撃から守ってくれた?
汎用性の高い通常魔法弾の上位互換、魔砲…
爆風が去るとそこには大きな体のシルエット、
深緑のベレー帽は使い倒されてくにゃっとなって、
鍛え上げられたムキムキの肉体、
肩にはマシンガンの弾丸が虹色に並ぶ弾帯をかけ、
いくつもの魔導機関銃が参差に翼のように背中に並んで、
迷彩のパンツと鉄の鉤爪モチーフのブーツ
えっ?もしかしてシルベスター?
「just in time!!
(あっぶねー…、やっぱ死ぬ所じゃん…。
and as I saw, he was bout to get done...phew ...yup, I was right bout killing that two gunners too
(【予見眼】で見て慌ててきたけど、あっちの二人も殺しておいて良かったっぽいなー…)
and you lil boy!! that punch wasnt that bad tho!!」
それにしてもチビ!さっきの一撃は中々悪くねぇ!!呵呵!!!)
しゃがれた人目をはばからない大きな笑い声…、見上げるその巨体………、
さっきまで相手してた鮫の魔人達とは比べ物にならない程キレッキレの筋肉を黒い肌で覆った3メートルの大男は、
ドシンドシンと効果音が付きそうなほど豪胆に、先ほど吹き飛ばした家の瓦礫を蹴散らして広間へ足を踏み入れた。
「OMG!!! ISNT THAT YOU,Silbesta!!!!!! long time no see!!!」
(んっ!?おいおいおい、シルベスターじゃねぇか!!!?はは、なんだ珍しいやつに会うな今日は!)
「hey rex, why can't you let them slide this time,,,, just rookies」
(おいレクソン、若い奴等くらい見逃してやれよ。)
「NAaaaa, I mean i gotta take care of this business, you know? my promotion is on this.」
(お前は甘いな、だから堕天なんかすんだよ。見ろよそのくったくたの帽子をよぉ悪惡?革命軍なんてやるもんじゃねぇな、全く。)
「(sigh) .....why so care bout the titles that mich?」
(なんでそこまでして叙爵にこだわる?もう天子爵があるんだ、十分だろ?)
「becaause!!! that's everything!! you also better to think who you be around.」
(四段階あるうちの一番下だ!何、コネクション作りには自信がある、もうある方と懇意にもさせてもらってるしな…)
「alright, alright, say no more」
(哀れな脳筋だ…)
「say waAAAAAAAAAAAT!!!!!!!???」(んだってえ椏椏!?!?)
【古代魔法:恐竜拳】レクソンは黒い肌に力を込める。身体から血管が浮き出て、鱗型に肌がさらにボコついて、その溝から黒い魔力がシューシューと蒸発したように立ち昇―
早っ!?見えない…!!!
気がついたときにはシルベスタが銃の翼でガードしてるところだった。
パンチ一つの威力じゃない!!!!!!
巻き起こった風が台風の様に吹き付ける!
「kid, carry those three and run...as far as you can.im not sure how long I can stop that bastard」(小僧、あそこの二人を連れて逃げろ。この体もいつまで維持できるかわからねぇ)
って言われましても!!!!
こちとら人生三百回分の働きをして、見事リア充を沈めたところなんですがっ!?あ、はい、嘘です、さっさと動きます。だから睨まないでください。
体を起こし、足を引きずりながら崩壊した家の下敷きになってる白魔道士とロ《マ》リ双剣使を拾いに行く…
くっそ、高々三十メートルほどの距離がこんなに遠い…
後ろでは車の衝突事故みたいな音をさせてシルベスタとレクソンが闘いを始めていた…
「you mo fo never learn huh? no one fights against us!!! even the revolution army!!!!!!!!」
(天に逆らえば立たじゃ済まされんぞ!!!!再び聖戦でも起こすつもりか革命軍!!!!!)
【古代魔法:one inch rock Punch!!!】下半身を重機のようにどっしりと構えたレクソンは腰のひねりを利用して思いっきりパンチを繰り出す。
そんなはずはないと分かっていても飛んでくる拳が岩の塊に見える…!!
「us? after all this you still thinking you one of them?」
(この騒ぎの後にまだ天界にいれると思ってるのか?誇りはないのか?)
【攻撃魔法:銃撃の咆哮Ramble of ammo】二人共ゴリゴリの肉弾戦…、シルベスタはさらに銃器の翼の一斉射撃を繰り出す。
「you Reese's choco**** chips!!!!I chew you up to the pieces!!!!!」
(なんだそれ、ラーメンよりうまいのか?)
【攻撃魔法:king of the rambling sipirit!!!荒御魂の王者】レクソンの身体から立ち上る蒸気が異常な程に高温になってるのがわかる…
辺りの景色が陽炎の様に歪んでく…バフ系の呪文!?
「choco chips is you, Brownies...., we more like white cream or vanilla....」
(くだらない貴族の地位より、遥かに大事だ)
【支援魔法:第一滴血!!the first blood!!】負けじとシルベスタもバフをかける…、ってこれワイまでステータスが上がって…!?
てか二人共一撃一撃なんて速さだよ…、風がビュン!とか、ゴウッ!!ってなってる…、高速道路かよ…
とにかく今のうちに白魔道士とロ《マ》リ双剣使を連れてなるべく遠くへ…!!
確か馬溜まりにつないでいたブルーの愛馬が居たはず!!!
「なら、くれてみろよ。汁まで飲み干してクソにしてやるよ―」
【古代魔法:Cosmic lancer銀河槍】レクソンの腰さばきが異常だ…、まるで恐竜がボクシングを覚えたみたいな…って、やばいこれは広範囲―
愚GGGg羅raaaaaaAAAAAAAAAAAW!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「ヒイィィィいいいいいいい!!!!!やぁぁぁいああ!!!!!!」
頭を伏せ一撃を避ける。
ワイの頭の合ったところの空気が消し飛んで辺りの風がなだれ込む…、まるで竜巻…死んだお
とにかく逃げな―
「hey, where you going? (おい、どこいくんだよクソチビ?)」
【土属性魔法:Tanx a lot無数の戦車】レクソンが持ち上げた地面の土塊が大砲の様にこっちに…!!まずっ
「it's gonna be a " long road" don't bother .(手前の相手は俺だ)」
【特殊魔法:the Outpost explosion】ワイを追って一瞬の隙を見せたレクソンにシルベスタの右ストレートからのラッシュが決まる…
右ストレート、左フック、右アッパー、エトセトラエトセトラ…
宙に浮き最後にダメ押しの一撃に再び銃器の翼の弾丸の雨を降らせる…
いやもう、さすがにこれで生きててくれるなよ……、あっしまっ…フラグ…
「the second round...yeah?(第二ラウンドと行こうじゃないか?) 」
【古代魔法:BaNG the king gong!!王者のゴング!】爆煙を突き破り、レクソンが地面を衝突ざまに殴りつける。辺りに走る地響き、地割れ…
セコンドさん!!早く!!!!早くタオルを投げてっ!!!!!!!
スキル【ステータス表示】の値も異常だ…、異常すぎて文字化けを起こ00○×☆゜<…
一方のシルベスタは五千近くある魔力がガンガン減ってる…、このままじゃ五分も持たない…!!!
早く早く早く逃げろ逃げろ逃げろ!!!!!!!!!!!!!!!!
「the one who fell never get mic done!!!」(堕天したならず者がこのレクソンをやれると思うなよ惡!!!!!)
【古代魔法:鬼の鉄拳】腰に鉄塔が建ち並ぶ、回転?自転?公転まで引きつけたその腰のひねりは太陽から飛行機のパンチのラッシュを翔ばす…!!
愚ォ゙おおおおアァァ嗚呼嗚呼アアアアアアア!!!!!!!
まずいまずい!このままじゃまた全滅だ…!!
シルベスタももう限界が近いっ…!!どうしたらっ!?
その時どこか遠くからワイの脳内に声が響いた。
(おい、聴こえるか?陰キャ)
「(こ、こいつ!?ワイの脳内に直接!?)」
(コイツとは初対面で結構やな)
「(あ、違います。違います。一回言ってみたかったセリフだっただけです。堪忍してつかぁさい。)」
これまたイケメンな声が響いている。誰?
もしかしてついにワイにも女神の声が!!?!?
いや、本当にレベルアップ感があって嬉しいんだけど今それどころじゃ…
(力を貸す。目の前のそのデカブツ、倒せるな?)
おっけ、たぶんあれだな、この異世界の上の人達って基本無茶振りがすぐるんだろうな。
天使を殺してこいだの、ようやく白鳩スーツ倒した後のボロボロの体で三人抱えて走ってラスボスから逃げろだの、かと思ったらそのラスボス倒せだの…
(できんのかできねぇのかはっきりしろよ!!!)
はい!嘘です!!やります!やらせてください!!
(それでいいんだよ、いいか、作戦を言うぞ。俺等が力を貸す、お前がそこにある銃を撃つ、わかったか?)
なるほど!わかりやすい!…ってなるかぁ!!!!てかこれ弾切れだし、自分で言うのやだけどワイの武器だからシルベスターでさえ苦戦してるレクソンには効かないんじゃ…
そう言いかけて、その銃が青白く光り輝いているのが気になった。この銃にそんな仕様はない…ハズ…
(あれこれ説明してる時間は今はない!一発こっきり!外すなよ!!)
えー…、責任重大じゃん…、ワイプレッシャー弱いのに…。。。
もう拒否権も、他に可能性もなさそうなので諦めながらワイは渋々覚悟を決め、銃を構える。
((あれ?何してんのルクエル?))
あれ?もう一人声が?こっちはこっちで少しハスキーなイケメンの声だ…
(アマテル!ちょうどいい所に!ちょっと力貸して!)
頭の中に響く天の声は意外と呑気に他の誰かに話しかけている。
((いいけど…、どうし…、え?天穹弾くの!?大事じゃん!!!))
そうなんです。絶賛大大大ピンチです。助けろください。
(いいか!いくぞ!)
おけまる水産!!!!!!
(((無窮の空に月虹は日輪を彩る…、万里一空、人世の理を越える我が魂の慟哭よ、響け!轟け!)))
もぉ知るかぁぁぁぁああああああ!!!!!!!!うぉりゃいあああああああああ!!!!!!!!!
【最大攻撃魔法:ケントスペシャル!!!!】構えたライフルから一閃の光線が飛び出す!シルベスタがすでにレクソンの動きを自ら止めて、狙いは抜群!心臓ど真ん中!
「you... easaaaaaaaasyyyyyyyy!!!!!!!」(なめるなよォ惡羅ァァァ!!!!!!!!!)
レクソンは拳でその光線を胸の前で挟み殴り、勢いを殺す!
「痛だ!!!!!!!!!えええええええええええ!!!!!!!!!!!」
光線銃の反動とレクソンが放ったパンチの振動が容赦無く肋骨ボロボロのワイの体まで響いてくる!!!右肩内側が死んだ!
もうやられろよぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!
その時遥か彼方からワイの身体を突っ切って虹色の光のトンネルがレクソンまで向かって伸びていくのが見えた。
これは!?さっきのイケボ達の魔法!?
と、とにかく!!!
いけ!いけぇ!!!いけぇえええええ!!!!!!!!!!!!
「こんなっ…、こんのクソチビガキ畏威異威威いいいいいいいいい―」