第十三話 Ready or not
真面目なワイは飲んだくれ三人組とアホ三人組をほったらかし、着々と情報収集を進めていた。
その甲斐あって、つい先日に見慣れない馬異駆車が上空を走り去っていったとの目撃情報を手に入れる。
その事をシルベスター達に話し、いざ向かおうと言った時だった。
教会の非常用の鐘がけたたましく打ち鳴らされ、「火事だーーー」という裂帛の叫びが…
「何があった!?」
やはり昼間から飲んだくれてはいても女保安官さんのこういう時の機微は素早い。
が、最早最悪の状況が目に浮かぶ。
急いで火元へ駆けつけようと宿を出て、村の中心部へ走り出す。
敵さんは寧ろ「お手間は取らせませんよー」という風に火災の禍々しい光と煙を背にワイらを待っていた。
【白スrィムジン】を停め、腕組みをしながら俺たちを待っていた白鳩スーツと馬異駆車に乗った手下共、凡そ二十人ほど。
【 マート組 構成員 スカァろ】「ぶっ殺してやらぁぁぁ嗚呼嗚呼あ!!!!!」
【 マート組 構成員 フカ・フキュアン】「シャークシャックシャック!!!!!!」
【 マート組 構成員 鮫島オビレ】「こんな雑魚雑魚しい見た目の奴等が相手とは、興〝ザメ〟だな…」
【 マート組 構成員 ハァイ・シュワッハ】(ポマードをつけてキメ顔アホ)
【 マート組 構成員 ティブロォン・デル・ディアブロ】怒(#^ω^)
文字面はどう考えても当て馬ならぬ雑魚の当て鮫のくせして、全員ステータスがDランクからCランク冒険者並みにある…
全員鮫の魔人?魔物?人間の限界を超えて追い込みすぎだ肉体に、鮫肌、ヒレをユラユラさせながら手に持っている魔導機関銃も厄介だ…ドウシヨ
「暴力団魔法組織なんて反社もいいとこの親玉に尻尾振って、よく白昼堂々大通りを歩けるもんだね。蓮大。」
白魔道士マッケンシーは毅然とした態度で既に攻撃魔法の準備を始めながら白鳩スーツに言った。
ってあれ、もしかして白魔道士は白鳩スーツと知り合い?白つながり?
「悪いが、痛いファンの追っかけはそのくらいにしてもらおうか。お前ら、蜂の巣にしろ!」
白鳩スーツが髪を撫で付けながら言った。なんでだろう、コイツの一言一句に腹が立つのは…
白鳩スーツの合図で乱戦が始まり、銃弾が四方を飛び交う!!
駄っダッダッダッ弾ッダッ
drrrrrrrrrrrrrrr drrrrrrrrrrrrrrr drrrrrrrrrrrrrrr!!!!!!!!!!!パキューン!!パキューン!!
ひぃいいいいいいい!!!!!死ぬっっるる!!!死ぬって!!!!まじで死ぬからぁぁぁあああああっっ!!!!!
低姿勢!!ジグザグっ!!!ジグザグっ!!!!
開戦の合図の魔導機関銃の火が吹くと、全員一斉に建物の物陰までダッシュする! 銃弾バキューン
「雑魚の露払いは私に任せな!!」
【狙撃魔法:整った算段銃】一人広間に残りいつもの上体くっそ反らし体勢で女保安官さんが手下共を撃ち抜いていく!
よしここは任せよう!!
別に白鳩スーツがよっぽど強いステータスしてたからーとか、そういうんじゃない。全然そういうんじゃない。 銃弾ピューン
でもアチラコチラに銃弾がバンバン飛んでる!
こんな所からは早くずらからないと!死ぬ!
ューン銃弾
狙撃手の意義!!
ーーー ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ピューーン銃弾
ひぃぃいいいい!!!!!!!!!!
頭の上を木の壁を突き抜けて銃弾がかすめる!!! 銃弾パキューン
くっそっ!取り敢えず見晴らしのいい所に…!
銃弾ピューーン
「ボウズ!援護する!走れ!」ミーーーーーソラシドファ#ミ♪
【特殊魔法:Grock 83】背中に狙われた銃弾はブルーのハーモニカの魔法で弾道をあっちこっちに変えていく……
よしっ!行けブルー、君に決めた!他の味方に当てないよう気をつけてねっ!!!
ブルーの声で弾け飛ぶように二十メトール先の一番高い民家まで走る! 銃
弾
ピ
ュ
はぁ…っ、はぁ…っ、ゼェゼェ…
息を切らしても一気に階段を登り、3階の窓から位置を取る。
スキル!!【魔鳥の眼】Level3+!!!!
シルベスターが丁度手下の一人を空中まで掴み飛び上がるのが見えた。よしそのままっ!
HEAD SHOT!!!!!!!!!
シルベスターの視界と自分の視界をリンクさせながら建物に隠れてる手下も撃ち倒していく、結構な数…
狙いを済ませろ、風の流れを読め、十字を合わせ…
HEAD SHOT!!!!!!!!!
HEAD SHOT!!!!!!!!!
HEAD SHOT!!!!!!!!!
戦場の状況を見て、最も効率の良い順番に、正確無比に手下を撃ち抜いていく。
既に広間の外に出た女保安官さん、ブルーが上手く敵を引きつけてくれている!
数もある程度減ってきた…、鮫の魔人の中には額ど真ん中に命中させてんのにまだ生きてるやつとかいて、だいぶ手こずったけど…
「くっそ、なんでお前と殺し合わなきゃいけないんだよ蓮大!
死んだアイツらはこんなこと望んじゃいねぇぞ!!!」
ある程度手下が片付き、シーンとなった広間にロ《マ》リ双剣使いの声が響く…
「…。」
一方の白鳩スーツさんは何も言わず彼女の声のする方を気にする素振りも見せない。
「また前みたいに一緒にクエストに出かけようよ!
もし組を抜けるのが難しいなら僕ら協力するからさ!!!!」
ロリ双剣使いに重ねるよう別の建物の陰からも声が広間に響く。
やっぱり白魔道士君たちと白鳩スーツは元々同じパーティーだったんだ…
「話のわからないストーカーが一番怖いな…。おい、ミサイルよこせ。」
白鳩スーツが仲間からグレネードランチャーを受け取る。
…、…、…っ!?!?
あれはまずいっ!!!!!!!!!
BOOoooooooOOOOOOOmmmmmMMMMMMMM!!!!!!!!!!!!!!!!
黒煙
黒煙黒煙黒煙
黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙ぶすぶすぶすっ…黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙………゜。。〇● 黒煙黒煙黒煙
黒煙
黒煙
「クソっ!!!なんでだよ!!蓮大!!!!」 黒煙黒煙黒煙黒煙黒煙黒
黒魔道士が悲しげに黒煙の中叫ぶ…。 黒煙黒煙黒煙
白魔道士とロリ双剣使いの隠れていた建物の半分は完全に崩壊して、家の中が見える。
俺も急いで【防御魔法:魔法石壁】を張ったのになんて威力だよあのミサイル… 黒
「お前の居る魔片組織の親玉は俺達の仲間を殺したやつなんだぞ!!!!!!
なんでだよっ!」
黒魔道士がどんだけ白鳩スーツに呼び掛けても、あいつは少しも反応する素振りを見せない。くっそ、なんでアイツこんな良い仲間がいるのに…
「その仲間とつるんでれば経験値でも入ってくるのか…?」
白鳩スーツの男は冷たく言い放った。自分が撃ったミサイルで火傷を負い、気を失ったロリ双剣使と白魔道士の方を見下ろしながら。
「手前ぇぇえええええええええええええええ!!!!!!!!!」
【召喚魔法:液状化毒霧】ぶちっという音が聞こえそうな程、白鳩スーツの言葉に激昂する黒魔道士。薬杖バトルゲートルを振りかざし、毒の紫のスライムを何体も辺りに召喚する。
毒
銃弾
毒 銃 毒 毒
毒 銃弾 弾 銃弾 銃弾
毒 銃弾 パ
銃弾 ュ 毒
ー 銃弾
‐
「相変わらずうるさいなお前は。」
【攻撃魔法:warlock28+warlock 27】白鳩スーツはその紫スライムを見事に撃ち抜いて、辺りに霧散させていく。
二丁拳銃の逆手持ち!?絶対弾数多い奴じゃん!!!
くそっ…、やられたスライムたちが蒸発して濃霧になってく…
これじゃ視界が…!!!
「蓮大!!!!!!!」
【毒魔法:以毒制毒】かろうじて見える黒魔道士と白鳩スーツは近距離でお互い毒魔法と銃弾を連発していく。その衝撃魔導波と毒霧のせいで狙いが上手く定められない!!スキルの【魔鳥の眼】も使えないっ!!ピンチ!!ワイ大ピンチ!!!
とにかくアイツを…
!?あれ?奴はどこへ…
「ストーカーの次は盗撮か…」
【風属性魔法:air strike】
えっ?
かろうじて【熱探知】のスキルで白鳩スーツのステータスを追った時だった。
多分俺が女神様から貰えなかったチート級のスキル【照準補正】【自動装填】エトセトラエトセトラが【ステータス表示】に映っていて、
その景色を埋め尽くすように、目線と平行に飛行機雲みたいな銃弾の軌道が近づいてきていた。
濃霧で視界が不自由なのを逆に利用された…
おまけにこの毒の霧でジャミングを起こしていて相殺もできない…、くそっ!!
跳躍で3階分の建物飛べるのはずるいってー…




