第士話 到着した七人のさすらい
【ド陰キャの狙撃手 ケント・オルカ】
あー、大変だったー…
魔片王に言われた通り〚雲の門〛へ向かった俺ら。
その雲の門は、あの暗黒街の目と鼻の先にあって、ほぼとんぼ返り状態…
雲の門というよりただのくっそでかい銀の豆を見上げる…
しかもデケェ…
体育館の舞台いっぱい位のデカさのその豆…
「かつて天空に住む巨人族がこの異世界に降り立つ時に置いてった携帯食料の名残らしい。門が開くと天にまで蔦が伸びる。それを登るだけだ。」
「ファッ!?」
となったワイの隣でスラム三人組がクスクスと笑い出す。
「そんな訳無ぇじゃん!この豆のここが入り口になっていて転移魔法陣に乗るんだよぶぁーーか!!」
おもっきり罵ってくるロリ双剣使いマリアンナ。ご褒美だが、ちらっとシルベスターの方を見るとぷいっと目をそらされた。冗談とか言うんか…
「お前だって実際乗ったことねぇだろ!」
茶々を入れる黒魔道士さん。「あっ?うっせえな!本で読んだんだからいいんだよ!」と続く2人のやりとりがリア充っぽくて眩しい。
転移魔法陣に乗ると再びジェットコースター3時間ノンストップの乗り物酔いがワイを襲う。
そうして辿り着いたのは雲海が眼下に広がる茫々とした土地。またこの感じか…、ド田舎にもほどがあるだろう…、ちょっと開けた空間恐怖症になりつつあるワイをスルーして【大草原のブルー】【赤毒蛇の保安官】【貧困街三人組】の一行はずんずんと歩き進める。
見えてきたのはアルプスの立った立たないが始まりそうな平和な村。
こんな所にあんなヤンキー達が来るのか?
取り敢えず村にて宿を取り、情報収集と称して皆バーに向かう。
村唯一のバーには〚エルクバー〛の看板。
温かみのあるウッドデッキか見せ前に広がる。田舎は土地が安い。
ドアをくぐると、エルク、でかい鹿が角を壁にこすり当てていた。ナンヤコレ
バーカウンターの鹿の角を生やした若いお兄さんは画面映えのため目下グラスを拭いている最中だ。あれ、こんなアニメ無かった?
「生一つ。」
昼下がりなのに迷いのない【大草原のブルー。】
「あ、私も。」
昼下がりなのに迷いのない【赤毒蛇の女保安官】
「スピリットロータスのショットと、適当につまみをくれ。」
昼下がりなのにの以下略
「へっ、鹿のジジイが店なんかやって良いのかよー??」
ウザ客をやる事に躊躇いのないロリ双剣使い。
「営業シカ資格ならあるぜ、鹿だけにな」
渋い声にキメ顔で何言ってんだこの鹿のバーテン。
「こらマリアンナちゃん、ダメだよお店の人にそういう物言いしちゃ!」
ナイスフォロー白魔道士!
「でも鹿なのにどうやって酒類販売許可取ったんだよー!?」
多分その「酒類販売許可」という最近家庭科で習った言葉を使いたいだけのロリ双剣使い…
「カクカクシカジカナノサ、シカだけにな!」
あ、あかん。なんかイラって来た。
「俺、コイツと友達になれないかもしれない…」
黒魔道士…、禿同
「馬鹿なやつさ、馬が合わねぇのはハナからわかってたのに、鹿だけにな…」
以下大喜利大会を開催します。
「最近鹿のアニメが多いって聞いたけどどう思いますか!?」
何聞いてるの白魔道士?あと多分一作だけだからね?あの一作だけだからね?
「俺しか勝たん!!鹿だけにな!」
そのフレーズは使われてたな、たしか
「次のアニメに必要な要素とは!」
乗り出した黒魔道士!
「特殊視覚効果だろうな…、鹿だけにな!」
はいはい
「鼻声だけど大丈夫なのか?」
何で乗っかってきてるのシルベスター?
「風邪を引いても歯医者に行くからさ、シカだけにな!」
キレを落とさないなコイツ…、じゃあせっかくだしワイも…
「狙撃手に必要な要素とは!!!」
「てめぇの死角から狙うことさ、鹿だけにな!」
一方厨房―
独身馬鹿の絶品熱々料理の名前は「料理中は独身馬鹿、胃袋を掴んだ食後はただしカノカレー!!」
料理の名前の由来は一口食べれば何処の馬の骨とも知れぬお前を骨抜きにする絶品だ・か・ら!
そして胃袋を掴まれたお前と俺は食後はれてバカップルという算段だ!
さあ今夜のお泊りを期待する愚かな男子たちよ!
そのレシピを刮目せよ!
「時代は料理もできちゃう系、馬鹿で甲斐甲斐しいひょろひょろ男子の行徳のまな板の上」
以上鹿との茶番をお届けしました。
コイツらはダメだ…!
ワイだけでも真面目に村に出て情報収集せねば!
なにせおっかないマフィアのボスが日本人のハラキリショーを今か今かと待ち構えていらっしゃる!!
バーを後にし村を徘徊する。
そして見つけたのは村のサイズに対して完全にオーバーな立派な古びた教会。
それでも手入れがされているのか、こざっぱりした印象を受ける。
中に入ると丁度僧侶の人が授業をやるというのでワイも拝聴することに…
ふむふむ…、なになに…、
魔法はファンタ・カンパンの定理を用いて…移送空間上の…クカー
寝散らかすことしばし、目を覚ますと教会には割と人が入っていた。
おじいちゃんおばあちゃん、村の若い人達、着物を来た花魁…花魁!?
あれっ、あの人…、確か〚森の都〛付近にいた…
授業が終わり、村人が教会を出ていきはじめる。
ワイはなんとなくさっきの花魁の後をつける
決してストーカーではない
美人で儚げ、百八十ぐらいありそうなスラッとした体型に心を打たれたからでもない
決して違う
その人がホームシックになりがちなこの心細い異世界で日本人の伝統衣装を着ていたからでもない
情報収集の為だ。
花魁のお姉さんを追うことしばし、ベンチに腰掛けるこれまた美少年。に声を掛ける花魁さん。
「こんな処に野良のショタ…少年が…。童、どこから来たのだ?」
花魁お姉さん、今ショタって確実に言いましたよね?
「えっとね、あの丘!」
少年はまだ五歳くらいかな?かわいいなー
「そうか…、おとっさんおっかさんがおらず一人では寂しかろう。さぁ、おいで。」
あっ、抱っこしに行った…まんざらでもないクソガキの表情…カワレー
ワイも抱っこ…じゃなかった声を掛けて何か手掛かりはないか聞きたかったが、なんとなく邪魔しづらい二人の雰囲気…
教会からお父さんらしきさっきの僧侶も出てきて、三人は家族のようにそのままどこかへ行ってしまったのでワイは諦めてバーに戻る。
バーに戻るとそこではすっかり出来上がった様子の女保安官さんが貧困街キッズ三人組にダル絡みを始めていた。
異世界に来てまでこんな光景を目にするとは思わなかったが女保安官さんのおっぱいはおっきい。
「お前ら!私はな!カウボーイアカデミーの首席だったんだ!早撃ち大会の記録保持者でもある!ふふん!!」
いつもは大人ぶった態度をしている女保安官さんは酒のせいか少し子供っぽくなっている。
過去の自慢話を年下にふっかける面倒くさい爺みたいになってはいるが、おっぱいはおっきい。
「歴代2位だがな。」
と、バーカウンターで自分達が客がいないのを良いことに銃の手入れをしているブルー。でも、こういうウィスキーを片手におじさんが渋い事をかましてるのは最高!これぞ異世界!!!!
「あっ!うるせぇぞ!!ブルー私に記録抜かれたから僻んでんだろっ!!!」
可愛い怒った声で過敏に反応する女保安官さん。「大体、遠撃ち大会の方も、私が熱さえ出してなきゃ抜かれてた!私のほうが銃の扱いにかけてはう・え!はーはっはっは!!!」とウザさ全開で言いながらブルーの肩に手を置く彼女のおっぱいはおっきい。