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プロジェクト:異世界isekÆi  作者: 魔法烏新聞 幽玄会社
第二部 異世界勇者パーティーが全滅した件 後編
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第四十六話 all or one, at least one falls




   【砂の勇者 砂崎泰晴】




ここは…?


俺は確か【魔人パクリカ・レプリカ】と戦ってる最中で―




「やめて、もうやめて!!!」




俺はまたいつか見た夢の中にいた。


女の人のその優しげで懐かしさのある声に引き戻されたかのように。


以前より少し視界がクリアに見える。


やはり目の前にいる男は、よく見るとだいぶ酔っているように見える。




「なんだ、その目は?」




尊厳を傷つけられた苛立ちの声、男は次の瞬間右手の拳を思いっきり顔めがけて振りかざしている。


避けようとするのに体が思った様に動かない…


俺はその場に倒れ込む。


毒…?


夢…?


男が馬乗りになって、再び殴りかかってくる。




「誰の子だ?あぁ!?俺のじゃねぇ!俺のじゃねぇ!!」




コイツ…、何を言って…


呼気にアルコールの混じった唾が不愉快にも飛んでくる…




「まぁ、今殺しちまえば全部元通りだ…、な?だから」




俺は男が立ち上がって自分の腹めがけて脚を蹴ろうとしているのを避けようとするのに、体がやはり動かない。











BANG!!!!!!!!!!!!

一発の銃声










男の蹴りが来る前に、ひどく大きな銃声音がして、耳が割れるように痛くなる。


かろうじて目に映る男は床に血を流して倒れていた。









「あーあー、かわいそうに…、意識を失ってるな…。

けど泰晴君、君には聞こえてるだろ?

彼女は薄目も開いているから、微妙に俺の姿も見えるかもしれない。どうだ?」









俺は全身ぐったりした疲労感に包まれながら、その視界に赤のタイツスーツを着たあのピエロ、【魔人パクリカ・レプリカ】が居ることに戦慄していた。


ピエロは俺をお姫様抱っこで抱えると、近くにあったベッドにそっと置いて、自分は枕元にミシミシと音を立てて座った。


…。


夢の中じゃないのか…?


【魔人パクリカ・レプリカ】はたばこに火をつけてゆっくりと息を吐いた。







「実は、今から17年前面白い予言をもらってね…

君があった【占術家】からじゃない、あれほどの占いの精度を持った人間はあの()()()()()()()そう多くはいないからね。 


彼女らの名前はー…、なんだったかなー…、あっ!そうそう!【星占いの巫女】といったな。


【占術家】ほどではないにせよ、彼女等も中々預言に関しては上等なものでね。

なにせ、この力を使ってこの俺から400年も逃げ仰せてきてたんだ、結構凄いだろ?」









パクリカは誇らしげに言った。








「とにかく、その予言というのが「近い内にこの俺を滅ぼすものが現れる。」そういう預言だった。


未来を測る事に関してはとりわけプライドの高い奴らが、いくら死に際のセリフとは言え適当なことを言うはずはない。


その頃は俺にとっても重要な時期でね…、とにかく血眼になってそれらしいやつを片っ端から消していったんだが…


いや、どうもこれって人物が見つからなくてね…





その頃だ、あっちの異世界に転生者や転移者と呼ばれるおかしな能力や資質を持った人間がポコポコ現れ始めた。


俺は直感でわかったよ、「あっ、コイツらのどれかだ」ってね。


だがあまりにも数が増えすぎた上に、どいつもこいつも思ったよりはヤれそうにはない…


そこでさらに未来で俺を殺しうる勇者探しを始めたのさ。


で、君を見つけた♡


さぁ、もう気づいてると思うけれど、君はDV男がある晩、酔って妻に暴行を加えたことで流産した子供だ。」








は?


あり得ない、そんなはずはない、そう思っているのに頭の何処かで否定できない何かが引っかかっている。


俺の二十年の記憶は…?








「俺の予想だと母親の記憶を元に作られたものだろうなー…


だって泰晴君、君、この部屋を見て何の違和感も感じないだろう?


アナログのテレビに、ちゃぶ台、雑誌の日付は198∞年となってる


他の転生者のお友達ならこの場所には違和感しか感じないはずなんだが…


他にも例えば、君は学生時代にスマホを持っていた記憶、無いだろう?」








言われて、まるで嫌な脂汗が吹き出るような感覚がする。








「本来の世界線で、君は魂となって宇宙の彼方を流れ続けた後、母の記憶を自分のものと勘違いして最初の異世界にやって来る。


その次のあのサンダース国王も迷惑だよね。そんな君を召喚してきちゃうんだから。


まぁ、あの【王杖】にしたって借り物だから仕方ないんだろうけどさ。


君は類まれなる資質を持ち、仲間を連れ、よもやいくつかの並爻へいこう世界線では俺を見事に殺す立派な勇者にまでなった。





これには正直俺も困り果てたさ。


どうすればこれを食い止められるのか…、


で、思いついたのが四次元の時空間に縛られない俺たち魔族だからこそ出来る慈善事業だったって訳さ。


君が本来死産になるはずのこの瞬間で、このDV男を殺し、君の転生そのものを無かったことにする。


君も元の世界でママと幸せに生きられるし、お互いウィンウィンだろう?」








さっきまでお前と戦っていた俺は…?


仲間はどうなる?








「今ここで話をしている俺と、異世界で今まさに君を殺そうとしている俺は同時に存在している。


まぁ、君達転生者は『魔片』の良い材料だから少し惜しい気もするけれど、仕方ないね、こればっかりはさ♧


後はあっちの俺が君を殺せば、君は異世界での一切の記憶を失って、見事現実だけを生きる人間となれるわけだ!bravoブラボー!!!」








あの異世界をどうする気だ!?


そもそも異世界に居るはずのお前がなんでこの現実にいんだよ!?








「さて、新しいパパのベッドタイムストーリーはこのくらいにして、もうそろそろお眠り。

明日の朝が来れば、そこの女と一緒に全てを忘れて、君は現実を生きるのだから―」









lemme tell you something. it must've boring but hey, it's just a bed time story for you and actually you have really no choice but to hear, baby....

最後にもう一つ良い忘れていた。

when you saw me in the dark gloomy aisle, you thought yourself a hero...from Isekai, yeah?

初めて裏路地で君が剣を俺に剣を振りかざした時、君は自分を勇者だと思っていたな…

and you are right, absolutely right.but.....

間違いじゃあない、間違いじゃあないんだ

I read the light novel as I read the Bible.

毎週日曜、教会で聖書をめくるたびに思うよ。もしかしたら君達はあの頃から何も変わらないんじゃないかと…

I'm so sad, this is the end....

こんなお別れになるとはね…

anyway, I gotta things to do...

so, sweat dreams

さて、用事が残ってる。甘美なる現実におやすみ、ぼうや。





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