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プロジェクト:異世界isekÆi  作者: 魔法烏新聞 幽玄会社
第二部 異世界勇者パーティーが全滅した件 後編
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第三十五話 王国家転覆






【魔人パクリカ・レプリカ】の自宅の一つ、古民家の下にある地下施設、魔片製薬所にウーメルとケントが突入する少し前。

王城の【謁見の間】にパクリカはいた。

隣にはさっきまで地下牢で拷問、監禁されていた彼の側近である【ダミー・マミー】を連れている。




「相変わらず金満家きんまんか然としているな、魔人よ。」


「おやおや、劈頭へきとうから結構なご挨拶じゃないか、国王陛下。いや、俺はマクスズース最高神第十七使徒って呼んだほうがいいか?♤」




王は玉座に欣然きんぜんとした態度で座り、手には物々しく【王杖おうじょう】を掴んではいるが、その心中は苦虫を噛み潰したよう様な思いでいっぱいであった。


フライドチキン共和王国のある大陸とは別の大陸を統治する神から譲り受けた力で本来常に王城に張られている高位の魔族だけを通さない結界が突如として消えたのである。


それ自体は本来ならばまだ国王の焦燥を煽る程ではなかったが、自分自身の加齢による力の衰え、その結界をすぐに張り直すことのできない自分が何よりも腹立たしかったからであった。




「寄る年波、星霜せいそう苦衷くちゅう察するにあまりあるけれど、とにかく時間が押しているんだ。

そこ、どいていただけるかい?」




パクリカはいくつかの段差の上にある荘厳そうごん荘重そうちょうな玉座に座るサンダース国王の前に悠然と立ちながら言った。









僭上せんじょうの沙汰、はなはだだしい!!!!!!

逆賊パクリカ、この場にて死罪とする!!」









サンダース王は【魔人パクリカ・レプリカ】の魔力に少しも怯まず。

王杖おうじょう】を床に突き立てた一鳴らしで、辺りで様子を見守って剣を構えていた騎士団が一斉にパクリカに斬り掛かった。




「全く…、面倒な。」




パクリカは自分の隣にいた【ダミー・マミー】の方をチラと見る。

全身を包帯で覆われ、その包帯の余ったところが床に垂れている。

雑に巻かれた包帯の所々から見える皮膚はどこも紫とピンクに毒々しく染まっている。






【闇属性魔法:異肉去蟻いにくきょぎ】蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻ありアリァㇼ…






騎士団達が斬りかかりだすより早く、【ダミー・マミー】の魔法と能力スキルが発動し、人喰い蟻の様に呪詛じゅその言霊が辺りを駆け廻る。


高さ二十メートル、奥行き百メートル程の【謁見の間】が急に暗くなり、騎士団達の体に先の呪詛の蟻が這い回りだす。

あちらこちらから悲鳴が聞こえ始める。

耳から、鼻から、穴という穴から体内に蟻が潜り込み【ダミー・マミー】に与えたダメージ分だけ肉を喰い千切ってい蟻く蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻


蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻…………………





蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻「ひっ、ひぃぃいいい蟻いいいいいいい!!!!!!!!!!!!!」蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻「く、くるな蟻ぁぁ!!!!!!!!!蟻!」「やめろおおおお蟻蟻蟻蟻蟻お!!!!!!!!」蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻「ひっ、ひぃぃいいい蟻いいいいいいい!!!!!!!!!!!!!」蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻「いっ、いや蟻だぁぁぁ!!!!!!!!!!!!た、たすけてえ蟻ぁえええ!!!!!!!!!!」

蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻







           蟻ㇼ……



ーーーーーーーーーーーブチッ!ーーーーーーーーーーーーーーー




玉座へ駆け寄った蟻の一匹を【王杖】の柄で捻り潰すサンダース国王。

しかし股肱ここうの部下、右腕である騎士団団長、副団長は共にいない。

最早打つ手は無かった。


少しずつ、ノタリノタリと歩み寄る【魔人パクリカ・レプリカ】をじっと見つめながら、国王は五百年続いたこの王国の最期を悼んでいた。




「安心しなよ、国民はこの先何も知ることもないだろう。

君のその体、便利そうだしね…

まさしく傀儡政権パペットにしてあげよう♡」




パクリカが最後の段差を上り、右手をかざす。

【王杖】がサンダース国王の手から【魔人パクリカ・レプリカ】の方へと飛んでいく。

パシッ、とそれを受け取るとパクリカは杖をひっくり返して持ち替え、柄の部分でゆっくりと、ゆっくりと国王の首を貫き潰した。








「さて、それじゃあ次はお引っ越しだ。」




パクリカは【王杖】を楽しそうに振りかざし、辺り一面に繊細、精密に転移魔法陣の式を書き連ねていく。

その式の光芒が幽玄であれば幽玄であるほど、〝何か違う〟としか表現のできないズレのような物がそこにはあった。

だが、魔法式そのものに一切の無謬むびゅうは見当たらない。



転移魔法陣が発動する。

地下牢までの空間がそっくりそのまま、魔片製薬所に移り変わっていく。

そして【謁見の間】入口の大扉の奥が闇に包まれる。

そこにあったのは天王寺達女子四人を連れ出したウーメルとコウモリの姿のガネリオだった。


「なんで…ここに…」


ガネリオの不安と困惑混じりの声が【謁見の間】に水面に落とされた雫のように響く。











「これで今期のサンダースのコレクションはほとんど全部かな?

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