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プロジェクト:異世界isekÆi  作者: 魔法烏新聞 幽玄会社
第四部 異世界×駆け出し漫画家 後編
114/124

第三十三話 何度目の敗北か







   【陰キャの狙撃手 ケント・オルカ】




暗殺ギルドのおじさんに教えてもらった場所に着いた頃にはすでに時遅しだった。丁度城みたいにでかい屋敷からおじいさん二人が肩を貸しあって命からがら抜け出してきたのと鉢合わせ、見た目からセガラさんが言っていた二人だと分かると、うろ覚えの応急処置と初級の回復魔法をかける。



「ちょっと遅いぞ!!」



助けたはずの相手になぜか叱咤されているのは何でだと若干思わなくもないが、自分が遅かったのは悔いても悔やみきれない。

おじさんたちが言いたいのはすでに頭のおかしい紅魔眼の娘は連れされてしまったということだろう…



「おいロッド、手当てしてもらってそりゃ無いだろ。」

「うるせぇな、遅いもんは遅いだろ!?」

「す、すいません…。あの、この場所はセガラさんがいる本部にさっき伝えたので直に救援が来ると思います。それで、あの聞きたいことが…」

「なんじゃ?」



てひどいケガをしていたロッドという人はご機嫌斜めだった。急所は外されているものの、機動性を奪う様に無駄無く攻撃が当てられている…、それに…



「彼女の居場所をお二人なら知ってるんじゃないかって…」

「you know her name?(名前は?)」

「名前…、はわからないです…。」



その時彼女の名前も聞いてないことを思い出した。



「おい、あんま意地悪すんなよ、大人気ねぇな…」

「普通名前くらい聞いとくだろ?これだからスマホとか覚えだした世代はダメなんだよ…、俺たちの頃はなまず名前聞いて…」

「あー、始まった…『俺たちの頃は〜おじさん』の登場だよ。少年、俺達のことはもう良いから行け、こっから山道ずっと言った所に教会がある、恐らくはそこに向かったはずだ。」

「あ、ありがとうございます!」



二人に礼を言って背を向けた所でまだ「大体今時の若い連中はどーゆうれんあ…」とか何とか言ってる。これは後で全部終わったらまだなんか言われるかもしれない…。

森の獣道を走っても全然息切れがしないのは新調したスーツのおかげか、それともクリスさんの鬼訓練のおかげか…

とにかく体力がついてこの先もなんだか冒険者として異世界でやってけそうなことに、事態の深刻さとは別に少しの高揚感があった。あるいはあまりに深刻な状況すぎてアドレナリンみたいなのが出てたのかもしれない。

だから、その教会で待っているのがクリスさんだなんて思いもよらなかった。



「finally...(ようやく来たか…)」


「何でクリスさんがここに…?あの、友達を探してるんです、クリスさん何か知って…」


「if I know, then wat?(知ってるって言ったら?というかここで鉢合わせてる時点でもうわかるよな?)」


「教えて貰えないですか」


「一応聞くけど、その子の好きな食べ物は?」


「へっ?」


「好きな食べ物はって聞いてんだよ」


「…、し、知らない…です。結構派手な見た目で、おっちょこちょいな感じなんですけど…」


「i know who she is and why you can't even say her Goddamn name...(やれやれ、それでどうやって…、まぁいいか。その分野は俺もよくわからんしな。)」


「あの、何か知って…」


「知ってるも何も、俺の親友ダチとデート真っ最中!悪いがおじゃま虫は駆除してくれって依頼だ。」


「通してはもらえない…、ですか?」



嫌な汗が額を伝う。

仮にここでこの人と戦ったら負けるのは100%確実…、だからと言ってこの人が見逃してくれるかも怪しいし、そもそも居場所を聞き出さないと話にならない。もし勝てるとしたら一瞬の隙を突くしかない。

自分より遥か格上のこの人に、

手取り足取り、わずかな期間だったけど自分に稽古をつけてくれたこの人に、

暗殺ギルド最強のSランク冒険者のこの人に…。



「生を受け、陽を背負いて塑性 蘇る陰キャは非合理な弾性 打ち続けた悲しみの魔導書グリモア、銃口にまた魂と込めるまで 弾け!撃て!放て!」

【狙撃魔法:musketマスケットライフル】貸して貰った赤いベレー帽が魔法陣で装備してた銃を古めかしい銃に変える。迷う暇はない。無茶は覚悟だ、姿勢を低く目眩ましの土煙をつむじ風と巻き起こしながら突っ込む。


「alright, tryin to be a man huh?(覚悟くらいはできてんのか)」

【召喚魔法:蛇妃だっき】目の前におびただしい数の蛇が悪魔を型取りながら銃弾を飲み込んでいく。足元に倒したバケツの水のごとく別の蛇が広がる。赤と紫の毒々しい鱗と捕食者の眼、噛まれたら終わり…。そっちに気を取られてると上空に跳んだクリスさんに撃たれて終わり…。無理ゲー…。


「新米冒険者用の手加減モードとかありませんかっ!?!?」

【スキル:照準補正、閃光弾!!毒属性付与!】赤いベレー帽が頭の周りに同じ色の魔法円陣を拡げる。そこからさらに丸い光の鎖が右眼に垂れる、厨二病上等!狙え、僅かな隙間、滑り込ませろ、敵の最も得意な分野さえ、飲み込み返せ、自分の一撃…!!



「young musketeer, how many times shed tears under the manuscript mask is paper you can't tear

(若い兵士よ、何度その破れぬ原稿に涙を落とした。)

cuz there must be a, dear, your dreary but dream from ears and years of real frugal fear and anger, brave heart

(勝ち取りたい夢か、現実に敗れぬと約束した幾星霜か、滲む)

all coalesce to stream rudimentary, ready to be rude mentally? egregious attitude at etude ?

(不躾に、斜に構え、改めぬ態度で筆と世界を穫る覚悟はできたか?)

from first blood to crippled like writing time in front of table,

(机の前、躄の如く血潮のインクが語る物語を)

with ink and venom energy spitting fire when you rocking roll your tongue, two lines twister like Gene, the strongest mutant ever!!

(正義のジャンプヒーローみたいに届けてみせろ)

got your elixir, excelsior, elements actually academic admittedly, so wat, so is f lame thrower

(エリクサーもポーションも頭陀袋に見せた手ぬぐいに染み込ませて)

why u 'n' I verse to the universe, remember?

(見上げた頂上、太陽の隣)

light saver, my eyes shining like the sun blazing 4:20 still, catching up the brightest star alone, be right my estaエスタ calienteカリエンテ!!!

(どれ程熱く、渾渾と輝けば並べるのだろうな)」

【召喚魔法:赤棟蛇あかかがし】教会の門前、覆われた何ヘクタールもの敷地の床の端から端まで真っ赤な魔法陣が毒々しいエフェクトを伴って広がる。



乱れ飛ぶ銃弾、撃ち合いはどれも致命傷に至って無かった。

手加減してくれていたのはなんとなくわかっていたけれど、この一撃はどうやらそういうのじゃないらしい…

なんだよこの魔力…、あり得ない量の蛇が湧き出、夜空の星から降り注ぐ光を昇り、摩天楼を築き上げる。



「それ絶対手加減じゃないですよっ!!!!!!」

【上位魔法:射撃カラクレナイ】ライフルに紅い光線がハンダごてで縫った導線の様に走り抜けていく。魔力の配分なんて余裕は無い…、全身全霊、出なきゃこの人達は越えていけない…!!


「でけぇ世界の潮流に抗えず、かといって傍流にも飛び出せねぇ目出鯛めでたい奴だなお前は!!!!」

【一段登って一段落】不味い…、さっきの一撃をものともせず摩天楼頂上から猛スピードでクリスさんが突っ込んでくる。それにこの魔法、以前トレーニングで見たことあるっ!!!!八段の連撃…、躱しきれ…


【二段目から四段目の間に算段に次ぐ散弾】しまっ…、ショットガンの範囲が並じゃない…!!


【油断、毒弾閃光の独断先行、誤断】リロード、けど隙がないっ…!!


【段々と上り詰め、死地抜ける頃には貫禄段違い】二発はブラフ、頬をかすめ真後ろに飛んでいった魔法弾。後一撃…。これを躱せば一瞬のクールダウンをしていた。そこを狙う…、摩天楼2階分位まで辺りの山になった蛇を足台に駆け登る。向こうは落下してる、こっちが間合いを詰めるのには弱いは…ず…っ!?!?


「トラップ!?」

さっき躱したはずの2発の銃弾が背中でネットのように広がり、ワイヤーで引っ張られるようにクリスさんの方へまた戻っていく!

それもすごい速さ!、不味い…、不味すぎる…、追いつかれる…、足を取られる…っ!!!!!


「甘いよな。銃構えるってのは自分で相手に二重丸付けて格上だって認めるようなもんだってよく分かっとけよ。」

【蛇は地、断罪の種をまた育てるだろう。それより他、あの翼に牙を届かす方法を知らぬのだから。】


「ハナからそれくらい教えて貰って、ずっと底辺ですがなにかっ!?!?」

その時クリスさんが一瞬ハッとしたように見えた。戸惑いとか、何かそういうのが手元を狂わせたように見えた。

でもそんなん関係ないくらいにこっちの体勢は崩れて、くそっ!!!




【蘇生魔法:糾弾の旧調銃弾きゅうちょうじゅうだん 】




「お前は思い出さなきゃならない、なんでこの異世界に来たのかを―」
















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