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プロジェクト:異世界isekÆi  作者: 魔法烏新聞 幽玄会社
第四部 異世界×駆け出し漫画家 後編
105/124

第二十四話 白鳩スーツ




   【平和の伝道師 綛谷蓮大、またの名を白鳩スーツ】




  俺は他人が嫌いだ。

基本当てに出来ないやつが多いのからだ。見た目で判断するなと教えるやつもいるが、それは間違っている。

見た目に大体現れる。雑魚は雑魚、カスはカス、俺クラスは稀、まじでレア。


事務所に部下や若い衆に舐められないように踏ん反り返りながら眺めるこれらの履歴書…

なんでこんな奴等をわざわざ使って仕事をしなくちゃならないんだ?

上の奴等ももう少し頭を使えばコイツラを雇えば雇うだけ無駄ということがわかる。


俺はため息をつきながら、その日の午後、面接室に向かった。



【名前】 綛谷蓮大【職業】 勇者

【攻撃力】 210【守備力】  203【魔力】  408【体力】  300

【スキル】  オートリロード、照準補正、鳥の眼レベル3



【名前】 新田にった久宗ひさむね【職業】 ダンジョンマスター【Level】 42

【攻撃力】 48【守備力】 156【素早さ】 123【魔力】 154【体力】 112

【スキル】  デスゲームLevel3:



【名前】 宮田斗亜輔【職業】 ダンジョンマスター【Level】 36

【攻撃力】 148【守備力】  102【魔力】  65【体力】  239

【スキル】  デスゲームLevel3:



【名前】志野売 彩華【職業】 ダンジョンマスター【Level】 32

【攻撃力】 166【守備力】 465【素早さ】 444【魔力】 367【体力】 34

【スキル】  デスゲームLevel3:チェーンソー

【備考】パクリカ様が珍しく御自分でお連れになった方です。



「私が提供するチート級能力…、それは名付けて!【エンドレスデスゲーム】。

この力は魔法発動条件さえ予め満たしておけば解除、解呪絶対不可能!

この【エンドレス.デスゲーム】があれば…―」


御大層な触れ込みだな…。

当時はそんな風に思っていた派遣会社の悪魔との契約は瞬く間に実績を出した。

今回配属された悪魔が転生者に貸し与える能力…、予めフィールドを設定し、その中では強制的デスゲームへの参加が起きるというもの。

寝込みを襲われ、拉致され、ゲーム開始寸前にそのフィールドに放り込まれればどんな上級冒険者ですらその能力回避することは出来ない…

いまや女神だけではなく、悪魔もチート能力を貸し与える…。敵に回るとなると厄介だ。



「ダンジョンマスターと呼ばれる者はゲームの親となり、負ければ子役のプレーヤーと同じ様に死にます。死ねば能力は生き残った者に自動でなる、つまり、【エンドレスデスゲーム】!」


「ふんっ、自分だけは高みの見物とは随分と偉そうだな…」



俺はこんな生業に身を落としてしまったが、それでも義侠心くらいあるとは思っている。



「勿論彼らダンジョンマスターには私の能力を最大限楽しんでいただく為に!全ゲームに参加していただけます!

自分の振り分けられたフィールド以外では子役として!つまり二十四時間三百六十五日、デスゲームを楽しめる!」



得意気にひげをねじっていた怪しげな悪魔の事を憎々しげに思い返す。

そのエンドレスデスゲームとやらのフィールドの資料映像は今でも鮮明に覚えている。今いるこの場所と全く同じだ。

嵌められた…、今回俺をプレーヤーに選んだ奴がいる…。








椅子に縛り付けられておまけに手錠と鉄球の足枷に重り…、動けない…



「たっ、助けて…」「たふけてくれぇぇえ!!!」「き、きゃあ嗚呼あ!!!!!!!!!」



分厚いすりガラスの奥の叫び声。チェーンソーのおどろおどろしい機械音がさらなる恐怖を煽っている…。



「助けたら?助けたければ」



目の前の女がスカした態度でそう言ったが、その目は窪んで沈みきっている。



01:28ピッピッ…



だめだ…、もう時間がない…、一か八か、唯一の出口の扉についた硬い南京錠を渡された銃で手枷を付けたまま狙う。



誰がどう死のうが俺の知ったことじゃない。



だが銃弾がカキンッと分厚い出口の扉に阻まれた音だけが部屋に響いた。


00:00ピッ



ヴィーと音がなって手足の枷が外れる。


「あなた…、なんで私を撃たなかったの…!?撃ちなさいよ!!!殺してほしかったのよ!!!」


ヒスか…、うぜぇ


「もう嫌…、こんな所…」


この女の事は知っていた。書類には随分初期からこの能力に耐えきれず、自ら参加者の安置された部屋まで行き、毎回自分を殺すよう懇願している冒険者だ。


熱っ…、火事…?


開かれた唯一の出口が壁伝いに燃え始めていた、どうやら次のゲームはすでに始まっているらしい。行くしかない。


この部屋の床がぬかるんでいるのは何も血だけじゃないだろう。引火すればあっという間に黒焦げだ。


女が出口から出てくる様子はなかった。






出口の先の通路まで出て、ほんの少しだけ階段下を見下ろした時、向かいの閉じられていたドアが開いた。

反対の出口から出てきた男は女の腕を肩に回し、こちらを見て一瞬固まった。


あれは…辰川!?!?なんでここに!?

出口の向こう、通路を挟んだ先にかつての知り合いが居る。それにしても…、



「こんな所で会うとはな。お前も死んだ口か?」



自分で発した質問を聞きながらどうでもいい事だと瞬時に思い直す。階下の通路には恐らく刺客であるダンジョンマスターが居るはずだ。


さっさとそいつらを殺し、考えるのはそれからにしよう。




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