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第169話 水着お披露目!



 ナンパをされた。


「いや、ナンパが嬉しいなんて……そ、そんなことないって。……困ってたし、助かったんだってホント」


「ふーん、どうだか……」


 水着を誉められたことを素直に喜べばいいのに、すっかりタイミングを逃してしまったさよな。

 この日のために、猛に見せるために選んだというのに。


 ……だけど、これでよかったのかもしれない。もし正面切って水着似合ってるなんて言われたら、悶えて動けなかったかもしれないし。

 もっとも、こんな状況でなければ水着のことを言及なんてしてくれなかったかもしれないが。


「タツシ様もナンパされてたみたいですね?」


「いや、俺の場合は……どうだろ」


 次にナンパについて、達志に標的を向けたのはリミだ。さよなの隣に立ち、ジトッと半目になり達志を見つめる。


 こちらもさよなと同じくビキニタイプだが、違うのがワンショルダータイプということ。

 これは肩を大きく露出しているスタイルになっており、高校生でありながらリミにはどこか大人の色気を漂わせる。


 桃色を基調としたそれは、ただでさえ校内二代美少女に選ばれるリミの魅力を何倍、何十倍にも引き上げている。


「お、リミ似合ってるじゃん。かわいいよ」


 と、怒っているはずのリミに達志は感想を告げる。

 するとリミの顔はみるみる赤くなっていき、その場に屈んでしまったではないか。


 さっきまで不機嫌だった気持ちが、吹き飛んでしまった。達志のその、打算のない台詞に、純粋な子供であるリミはノックアウトされてしまったわけだ。


「あぁ、私もこれだけ純粋だったらなぁ」


 と、一人ぼやくさよなの言葉を聞いた者はいなかった。


 さて。

 水着に着替えている女性陣を待つ間、人生初の(少なくとも達志にとっては)ナンパをされた達志と猛であったが、戻ってきた女性陣には厳しい目を向けられてしまっていた。


 さよなとリミは、どこか不機嫌そうなご様子。リミは、達志の褒め言葉により陥落してしまったが。

 もちろん、ナンパをしたならともかくとして、ナンパされただけの、それも断ろうとしていた達志と猛に罪はない。

 だが、それで割りきれるほど乙女心は単純ではない。


「いいではないですか。ナンパをされるということは、それだけお二人が魅力的ということでしょう? 男性として誇っていいのでは?」


 ここで、ナンパされたことに怒るでなく、むしろ誉めるような言葉をかけるのはセニリアだ。

 さよなやリミと違い、彼女の言葉には特に焦りとか怒りとかそういったものはない。本当に、喜ばしいものだと思っているのだ。


「せ、セニリアさんがそんなこと言っちゃうと、ますます私の立場が……」


 自分はぷりぷり怒っていたのに、セニリアは真逆の反応。それはさよなにとって、なんというか……器の大きさを見せつけられたような気がした。


 さよなの隣に立つセニリアの水着は、一見するとワンピースタイプ。

 しかし、リミによってその場で回転させられると、背中が大きく空いたデザインになっていることがわかる。


 前はワンピース風、後ろ姿はビキニ風……それは、いわゆるモノキニという種類の水着。

 前面部分は露出の見られないものだが、背中部分は大胆にカットされた部分が目立ち、セクシーな水着となっている。


 水色を基調とした水着は、セニリアのスタイルを引き立てている。普段堅い人物の、見ようによっては大胆にも見える姿……

 それはこれまでのセニリアとは、また違った一面を見せていた。


「おぉ、セニリアさん似合ってんじゃん。背中とか大胆だなー」


「……どうも、ありがとうございます」


 その水着姿を見て褒めるのは、誰であろう猛だ。その褒め言葉を受け、表情を変えずにお礼を返すセニリアだが……気のせいか、その頬は少し赤い。

 そのやり取りを見たさよなは……


「わ、私は……私は……うぐぐ……」


 と、誰にも聞こえない声で泣いていた。もっとも、水着を褒めらえたのに素直に受け取れなかったのは自分であるのだが。

 それにしてもこの男たち、褒め言葉のレパートリーが少なすぎである。


「ささ、最後はユカさんですよ~♪」


「わっ、ちょっ……」


 そんなさよなの落ち込みや、照れているであろうセニリアの姿に気づかないまま、リミは後ろに隠れていた人物を引っ張ってくる。

 それは誰であろう、残った由香である。


「ゆ、由香、お前……」


 その姿を見て、達志が一言。


「……なんで、パーカー羽織ってんの?」


 この一言だ。

 達志が言うように、由香はパーカーを羽織っている。前をジッパーで閉めるタイプのもので、チャックを上まで上げてから水着姿を見せないように完全防御している。


 それでも、すらりと伸びた白い脚を隠すことはできていないが。


「だ、だって……はずか、しいよ……」


 隠している理由は、ただこれだけの理由だ。

 恥ずかしい……真っ赤な顔になっている由香からは、妙な説得力がある。


 だが、せっかく選んださよなとしては、こうやって隠されたのでは意味がない。


「観念しろ由香ちゃんー! 脱げー!」


「さ、さよなちゃん!? 目が怖いよ!」


 やけくそになったさよなが、由香のパーカーを脱がしにかかる。リミも面白がってそれに参加し、二対一に。二人相手に、自らを守りながら戦い抜くのは至難の技だ。


 故に、パーカーは脱がされていく。美女たちがキャッキャ言いながら絡み合っている姿……悪くない。


「あら、なにしてるの、楽しそうね」


 ここへ、忘れ物を取りに行っていたみなえも合流。状況がわからないが、とりあえず楽しそうに笑っている。


 涙目になる由香の様子に特になにを言うでもなく、のんきに椅子に座る。そんな状況でも、さよなとリミの手が止まることはない。

 そしてついに、由香が羽織っていたパーカーが完全に脱がされてしまい……


「う、うぅ……」


 その白い肌が、さよなの選んだ水着が、青空の下にさらされる。それを見た、三人の反応は……

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