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僕たちは『打算』で付き合っている。

作者: 最条真

 僕たちは打算で付き合っている。

 この現代日本において裏表のない、打算のない人間など存在しないだろう。


 打算で人に優しくする。そうして人に嘘をつく。

 日常生活を送る中で嘘をつかない清廉潔白な人間がいるとしたら、まずその存在が嘘だろう。


 何一つ繕わなくていい気軽で手軽で楽な関係。

 飲み会を休む口実には彼女を使うし、反対に彼女だって僕をその理由に使う。


 上司の愚痴が言いたくなったら家に集まって酒を交えるし、なんとなくテンションを上げたいときは今話題のクレープやらを食べに行く。


 リビングの扉を開けると、そこには既に酒のツマミを作っている彼女の姿がある。


「あ、(たか)。おかえり」


「だだいま、深月(みづき)


「ちょっと待ってね。もうちょっとで料理できるから」


「今日のツマミは?」


「さやえんどうとポテサラ」


「はい神」


 いつもの適当なやり取りを交わしながら俺はネクタイを緩め、いつものように我が家の食卓に着く。

 そこにすこし送れて彼女がツマミの皿を持ってきて、お互いに缶ビールで乾杯したら飲み会の始まりである。


「「かんぱ~い」」


 ここからはいつもの流れだ。

 酒を飲み、ツマミを口に運び、日頃の愚痴を言い合う。

 彼女と一緒にいる時間は楽しい。ここまで気軽に色々話せる友達もいないだろう。


 そう、友達。俺たちはただの友達である。

 ただ体よく飲み会から逃げるために彼氏彼女と言う関係を偽っているだけ。


 正確には彼氏彼女なんて関係ではない。

 文字通り僕たちは打算で付き合っている。


 彼女とは中学の同窓会で再会した。もとはといえばクラスメイトだったのだが、そこはさっぱりお互いに印象にない。実りない中学校生活を送っていた証拠だ。

 同窓会で再開して、酒を飲んで話したら意外と馬が合って、二次会をこっそりと抜け出し二人で勝手に三次会に突入しラインを交換し――――――、お互い勤めている職場が同じだったことが発覚し、後はノリと勢いでこんな感じになっている。


 こんな関係が続いて早半年。意外なことにうまく行っている。

 友達以上で恋人未満。打算に満ちた僕たちの関係は。


 思えば愚痴の相手が欲しかっただけだ。打算に満ちた現代日本で打算のない関係ほど珍しいものはない。

 気軽で手軽で楽に愚痴を吐き合える関係。表面上は彼氏彼女で通している。


「ねぇ、鷹ぁ~」


「どうした。深月」


 どうやら酔いが回ってきたようだ。彼女の呂律がマトモに回ってない。俺は酒は強い方だが彼女は弱い。なので介抱役は決まって僕である。とりあえずベッ卜に連れていかなければ。そうして彼女を抱えようと側に駆け寄ったところで――――――、


「好き」


 ほっぺにキスをされた。


「......!?」


 突然のことでマトモに反応出来ない。驚きながら彼女の顔を見ると、してやったりと言わんばかりの笑顔でピースをしていた。


「ふふ、驚いた?」


「めっちゃ驚いた」


「......よかった」


 そう言い残して彼女はテーブルに顔を埋めて寝た。どうやらこれが彼女の最後の遺言らしい。

 すやすや、と彼女は寝たが、ともかく俺は気が気ではなかった。だってほっぺに急にキスをされたのだ。いたって普通で清純で一般的な男がこれにドギマギしない筈がない。


「やべぇ」


 ほっぺに未だに唇の感触が残っている。柔らかくて、熱い。

 本当にヤバイ。なぜなら女性経験など俺にはまったくないのだ。この状況を適切に対処する術など持ち合わせる術がない。


 どうするのが正解だ。ここは男の本能に身を任せ、理性を無にするのも手かもしれない。

 そう一瞬バカな考えがよぎって、止めた。


「信用してくれてるから、こんな寝顔さらしてるわけだしな」


 間抜けな寝顔を見て、思わず笑みが漏れる。

 彼女の信用に、こちらは誠意で答えるべきだ。


 毛布でも持ってきてやるか、とその場を後にする。

 もう一度言うが僕たちは打算で付き合っている。そこに恋愛感情は恐らくない。お互い相手がいるわけでもないが、きっと彼女は恋愛対象にはならないのだと思う。きっと恋には打算なんてなくて、もっときれいで素晴らしいものだと思うから。


 きっとこの感情を恋なんて呼ばない。

 彼氏彼女を偽ってこそいるが、僕たちが本当にその関係になることは多分ない。

 大人になればなるほど疑い深くなる。打算を疑う。だから恋が出来なくなる。


 恋は賞味期限が短い。子供のうちは甘酸っぱくても、大人になると食傷気味になるだけだ。

 なので、僕たちは恋ができない。打算に満ちた関係の方が安心する。


 もう一度言うが、僕たちは打算で付き合っている。



「――――――襲わないのかよ、にぶちん」



 そんな彼女の呟きも、僕は盛大に聞き逃して。

 再度繰り返すが、僕たちは打算で付き合っている。


 恋愛感情は、恐らくない。

大人になればなるほど恋愛が難しくなる。じゅうごさいだからよく分からないけど。

社会人のラブコメってなんで無いの!? 作りました。短編だけどね。

やっぱ自給自(k


色々拗らせてる感じのやつ書きたかったんです。恋愛感情ないとか言ってるけど恋愛経験無さすぎて分かってねぇだけだから!!! 

ちなみに深月ちゃんは普通にお酒強い。

容姿の描写してませんが想像にお任せします。あなたが思う美少女を想像するのだ。


評価ください(強欲の壺)


ちなみに二十分で仕上げました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 20分!?Σ(゜д゜;) 書くスピード早すぎやろ((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル
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