表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/25

テレマコスの宣言

なかなか完成しないペネロペの織物に求婚者達は不満を積もらせていた。

アンティノオス:「あれから何年経つというのだ・・・遅すぎる」


美男子の求婚者エウリュマコスは、ペネロペの侍女の一人メラントと深い仲になり、

ペネロペの様子を探らせていた。

侍女メラント:「エリュマコス様、ペネロペ様は昼に織ったハタを夜にはほどいております」

エウリュマコス:「なるほど・・・賢い女性だ」

侍女メラント:「あ、あの・・・」

メラントは恥ずかしそうに顔をあからめた。

エウリュマコス:「そうだったな、ご褒美をあげなければならんな」

そういってエウリュマコスはメラントを建物の陰につれていった。


そこへテレマコスがやってくる。

テレマコスは何処からか聞こえてくる女性のなまめかしい声をきく。

テレマコス:「な、なんてことだ・・・」

エウリュマコスとメラントの関係を覗いてしまったテレマコスはその場を離れる


足早に歩くテレマコスに、一人の中年の男が声をかける。

中年の男:「テレマコス殿」

テレマコス:「あなたは?」

中年の男:「私はメンテスといってな、お父さんのオデュッセウスとは旧知の友じゃ」


メンテスは傍若無人に振る舞う求婚者たちを見て言った。

メンテス:「この有り様はひどい。心有るものがみたら憤慨するだろう」

テレマコス:「・・・はい・・・ですが、私にはどうすることも・・・」

メンテス:「勇気をもちなさい。父上は勇猛な男だったぞ」

テレマコス:「・・・はい」テレマコスはうつ向きながら答えた。

メンテス:「あなたはもう子供ではない父上を探す旅に出られてみてはいかがかな?」

そう言ってメンテスはその場を去った。


テレマコスはメンテスの言った「父を探す旅」という言葉に思いめぐらしながら眠りについた。


翌日、テレマコスは意を決して、求婚者たちに宣言する

テレマコス:「求婚者の皆さん大変申し訳ないが出ていって下さい。」

求婚者:「お!なんだかボクちゃんが張り切ってるよ」

テレマコス:「これは家長としての勧告です。」

ペネロペ:「テレマコス、おやめなさい」

テレマコス:「母さんは黙ってて下さい。私はもう子供ではありません」

ペネロペは息子の勇ましさが頼もしく部屋の奥に下がった。


リーダー格のアンティノオスが言った。

アンティノオス:「俺たちが従わなければどうするんだ?」

テレマコス:「神に訴えて復讐します」

求婚者達は大笑いした。


テレマコスは顔面蒼白になり、ブルブルと身を震わせた。

求婚者:「・・・おいおい、アンティノオス、なんかマズイぞ」

アンティノオス:「そのようだな」

いつもと様子が違うテレマコスに、数名の求婚者は笑うのをやめた。

アンティノオス:「まあまあ、ボクちゃんがそういうなら、今日は引き下がるよ」

アンティノオスは他の求婚者たちを引き連れてオデュッセウスの屋敷を出た。


テレマコスは胸を撫で下ろし、その場に座り込んだ。


この様子を見ていた中年のメンテスがテレマコスに駆け寄ってくる

メンテス:「よくあれだけの人数を前に頑張りなされた」

テレマコス:「もうヘトヘトです」


メンテスはテレマコスを休ませ、今後のことについて話し合うことにした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ