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戻らぬ王

エウリュコロス:「お前たち、あともう少しの辛抱だ、家畜には手をだすんじゃないぞ」

エウリュコロスはオデュッセウスに代わって部下に言った。

部下:「大丈夫ですよ、なんにもしてませんから」

イライラしていた部下たちが何故か満足そうにしていた。


翌朝、天候は回復し船は出港することが出来た。

オデュッセウス:「なんとか出港出来たし、これでひと安心だな」

エウリュコロス:「それがなオデュッセウス・・・」


雲が晴れトリナキエ島に帰ってきた太陽神ヘリオスが自分の家畜小屋にやってくる。

太陽神ヘリオス:「なんじゃこりゃ!」

一番大切にしていた立派な牛が解体されバーベキューにされていた。


ヘリオスはすぐさま大神ゼウスのもとにやって来てなんとかするように問いただした。

ゼウス:「たしかにお主のいう通りだな、わしも裁かねばなるまい」

そういって、ゼウスは雷を船に投げつけた。


あたりは急に暗くなり大雨が降り雷が鳴り出した。

そして、稲妻がオデュッセウスの船を真っ二つに引き裂いた。


ものすごい轟音と共に部下たちは海に投げ出された、オデュッセウスは岩にしがみついた。

船と部下たちは、渦潮の怪物カリュプディスの口の中へと吸い込まれていった。

しばらくして、カリュプディスが吸ったものを吐き出した。

あまりの勢いにオデュッセウスの手は岩から離れた。

オデュッセウスは吐き出された船の竜骨にしがみついて海を漂流する。


何日漂流したかわからなくなった頃、

オデュッセウスは海の女神カリュプソ(覆い隠すもの)の住む島へたどり着いた。

カリュプソはオデュッセウスを深く愛し、オデュッセウスはこの地で7年過ごすことになる。


一方、十数年も王であるオデュッセウスが帰ってこないイタケでは、

女王ペネロペの求婚者達が我が物顔で、オデュッセウス邸に居座っていた。


息子のテレマコスは、まだ実力がなく求婚者達からも甘く見られていた。

テレマコス:「母上はなぜ、彼らを追い払わないのです?」

テレマコスは、毎日家に来ては飲み食いをし母親に求婚してくる彼らが嫌いだった。


ペネロペ:「テレマコス、彼らはこの国の有力者でもあります。失礼があってはなりません」

テレマコス:「ですが、父さんは王様じゃないですか」

ペネロペ:「確かにオデュッセウスは立派な王様です。ですが・・・」

安否のわからないオデュッセウスを待つだけでは、女のペネロペに国を治めることは難しかった。


事実、ペネロペの実家の父イカリオスからは、

求婚者の一人であるエウリュマコスとの結婚を勧められていた。

エリュマコスは美男子で家柄もよく結納金も多かった。


求婚者の一人が騒ぎだした。

求婚者A:「トロイア戦争が終わって何年になると思ってるんだ!戦争で何かあったか帰路で何かあったか、どちらにしろ死んじまってるよ」

求婚者B:「まぁそう言うなよアンティノオス、ペネロペちゃんが泣いちまうぜ」

アンティノオス:「ペネロペ、王のいない一大事の時だ、いつまでも王がいないのは国の不備だ」

ペネロペはうつ向きながら答えた。

ペネロペ:「この織物を完成させた暁には、求婚者の誰かと結婚いたします」

この一言に、求婚者達から歓声があがった。


アンティノオス:「その言葉、ここの全員が聞いたからな、全員が証人だ!」

ペネロペは奥の部屋にさがり涙を流した。

ペネロペ:(私はなんて迂闊な発言をしてしまったのだろう)


その日以来、ペネロペは昼は機織り、夜はその織ったハタをほどなくという生活をおくった。


それからさらに月日が流れた・・・

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